マイクロソフト(株)は31日、ビジネスグラフィックスツールの最新版『Microsoft Visio Version 2002』を7月19日に発売すると発表した。標準パッケージの『Microsoft Visio Standard Version 2002』と、StandardにIT向け機能を追加した『Microsoft Visio Professional Version 2002』の2種類が用意される。
『Microsoft Visio Standard Version 2002』のパッケージ |
対応OSはWindows 98/98SE/Me/2000/NT4.0。Windows 95は対象外。またNEC PC-9800/9821シリーズも対象外となっている。価格はオープンプライスで、推定小売価格は、Standardが2万2800円、Professionalが6万4800円。
『Microsoft Visio Professional Version 2002』のパッケージ |
製品ラインナップが変更
Visioは、Officeファミリー製品の1つとして位置づけられるビジネスグラフィックスツール。既存のMicrosoft Visioは旧Visio社(2000年1月7日付でマイクロソフトと合併)が開発した製品であるため、今回発表されたVisio 2002は、完全なマイクロソフト製品として自社開発された最初のバージョンとなる。
従来のVisioシリーズは、Standard Edition、IT向け製品のProfessional Edition、設計用途向け製品のTechnical Edition、ITプロフェッショナル向け最上位製品のEnterprise Editionという4ラインナップだったが、今回より、製品ラインナップを変更した。
Standard Editionはそのままだが、従来のProfessional EditionとTechnical Editionを統合して新Professional Editionとなった。さらに従来のEnterprise Editionの機能のうち、ネットワーク自動探索機能やActive Directory自動作図機能などを、Visio Professional専用アドオン『Microsoft Visio Network Tools』(年内発売)として提供する。
また、従来のEnterprise Editionのソフトウェア/ハードウェア設計のうちフォワードエンジニアリング機能については、年内リリース予定の『Microsoft Visual Studio.NET Enterprise Edition』で提供するという。
Office XPを補完するデスクトップツール
Visio Standard 2002は、デスクトップツールとして機能するもので、さまざまな図形をドラッグ&ドロップするだけで作図可能。また、Office XPとのシームレスな統合を図り、共通のルック&フィールで、親和性を向上させている。Office XPと同様にクラッシュ回復機能を搭載するほか、オートコレクトやスペルチェッカ、クリップオーガナイザといったOffice XPの機能を共有できる。ただし、スマートタグには未対応となっている。
『Microsoft Visio Standard Version 2002』の画面 |
各種サブウインドーを1つにまとめることが可能になったほか、図形を一覧表示するステンシル部分をサブウインドーとして利用できるようになった。ステンシルや作図画面の背景色など色設定も変更できる。
また、従来は作成した図を拡大表示すると線のギザギザが目立ったが、今回のバージョンではアンチエイリアス処理により高品位で滑らかな線の表示が可能となった。さらに、図形を塗りつぶす際、透明度を設定できる。JPEGなどのイメージファイルも貼り付け可能で、貼り付けた画像は明るさやコントラスト、透明度、ぼかしなどを調整できる。
なお、従来はWordやPowerPointなど他のOffice製品にVisioで作成した図を貼り付けた場合、カラーパレットが異なっていたため微妙に表示色が違ったが、今回はOffice製品と同じカラーパレットを採用しているという。
Excelなどの外部データをインポートして組織図を作成する際、組織図内に表示するフィールドの設定を組織図作成後に変更できるようになった。オフィスレイアウト作成では、曲線の壁が追加され、窓などを壁に配置すると曲線に合わせて自動的にスナップする。
Microsoft Project 2000と連携し、Project 2000のファイルからタイムラインやガントチャートを自動作成できる。ファイル形式はVisio 2000と同じで相互に互換性を保っている。また、Visio 5.0形式での保存も可能。
ITプロフェッショナル向け機能も強化
Professionalで提供されるIT向け機能としては、Active Directoryから情報を取り込んでディレクトリー構造の図式化や文書化、Exchange Serverの組織情報から組織図自動生成、SQL Serverのデータベース構造を解析したER図自動生成などがある。
『Microsoft Visio Professional Version 2002』の画面 |
また、オフィスレイアウトを作成できるフロアプランで、人やコンピューター、プリンターといった情報をExcelやExchange Server、Active Directoryなどから取り込み、その情報を図形にドラッグ&ドロップすることで、情報を追加できる。さらに、情報の値によって図形の色分けも可能。
開発者向け機能として、プロパティやメソッドが90種類以上追加されたほか、COMアドインをサポートする。またVBA(Visual Basic for Applications) 6.3を搭載し、VBAプロジェクトのデジタル署名に対応している。
さらに、XMLファイル形式に対応し、図面、ステンシル、テンプレートといったバイナリファイルをすべてXML形式で出力できる。これにより外部アプリケーションやデータベースとの連携が容易になったという。
そのほか、Visio Enterprise Netowork Toolsで提供される機能として、WMI(Windows Management Instrumentation)によるネットワーク自動探索および自動作図、ネットワーク機器の詳細図形、Active Directory構造のインポートと図式化、Exchangeサーバートポロジーの自動作図などがある。
なお、Office XPで導入されるライセンス認証が、今回のVisio 2002にも搭載されている。
マイクロソフト製品マーケティング本部オフィス製品部マネージャの横井伸好氏。「昨年1月にVisio社と合併し、Officeファミリー製品にVisioを加えた。以後、急速にユーザー数が増え、現在のユーザー数は全世界500万人、うち10%が日本ユーザーとなっている。Officeツールとしてワープロやプレゼン資料に必要な図形を作成する場合はStandardを、サーバーシステムの設計、導入、保守を支援する用途にはProfessionalを推奨する」 |
同社は、6月1日~7月31日までの期間中にVisio 2000 日本語版パッケージ製品を購入したユーザーを対象に、優待価格2000円でVisio 2002にアップグレードできる“Microsoft Visio 2002 パスポート キャンペーン”を実施する。