米Caldera International社は31日、同社の日本法人である“カルデラ株式会社”を設立したことを発表した。
米Caldera Systems社は7日付で米The Santa Cruz Operation社(SCO)のサーバーソフトウェア事業部とプロフェッショナルサービス事業部の買収を完了、これに伴い米Caldera Internationalが設立された。
カルデラ(株)は米Caldera Internationalの日本法人として設立、旧SCOの日本法人である日本SCO(株)のサーバーソフトウェア事業部が、カルデラ(株)に統合された。カルデラ(株)は、日本市場において、Caldera製品と、旧SCOのUNIX製品(知的財産権を含む)を取り扱うことになる。代表取締役社長には旧日本SCOサーバーソフトウェア事業部長の麻生誠氏が就任。なお、旧SCOは社名をTarantella社に変更、日本SCOもタランテラ(株)となっている。
カルデラ(株)の資本金は、現在も事務手続きが完了していないため未公開となっているが、富士通(株)と(株)日立製作所が出資を行なっている。
出資理由として、富士通ソフトウェア事業本部Linux統括部統括部長の大空瞭氏は、「Linuxのディストリビューターの中には、最新カーネルやソフトをすぐにパッケージ化する会社もあるが、ビジネスで使うことを考えると安定性に欠ける。カルデラはビジネスでの利用を考慮した信頼性の高いパッケージを作っており、企業向けに最適なソリューションを提供できる」とコメント。
また、日立製作所情報・通信プラットフォームグループプラットフォームソリューション開発本部Linuxビジネス推進センタセンタ長の萬田雅人氏は、「Linuxにはいろいろなディストリビューションがあるが、他とまったく付き合わないわけではない。日本のユーザーは欧米と違い、要求が厳しい。カルデラのLinuxはビジネスを意識し信頼性、性能ともにまとまったパッケージとなっており、ソリューションとして提供しやすい」としている。
本日都内で行なわれた発表会で、Caldera InternationalのCEOであるRansom Love(ランサム・ラブ)氏は、「Linuxは現状、組み込みやローエンドPCなどクライアントLinuxとしてうまく機能しており、ほとんどのLinux会社がこれらの市場にフォーカスしている。カルデラはその中ではユニークなもので、SCO買収によりUNIX技術を取得したことで、UNIXとLinuxを統合し、1つのプラットフォームでThinクライアントからエンタープライズまで適応可能な高いスケーラビリティーを持つLinuxソリューションを提供できる。BtoCビジネスはマージンが低いが、BtoBは高いマージンを獲得できるチャンスがある」と語った。
また、今年2月以降、米マイクロソフト社幹部が“オープンソースは知的資産を破壊するものだ”として、GPL(※1)を批判している問題について同氏は、「オープンソースが登場したためにビジネスモデル自体が影響を受けている。GPLはオープンソース開発モデルについてのものであり、ビジネスモデルではない。マイクロソフトの言い分は一部妥当なものだ。ただその批判は、オープンソース全体に対して言っているかのような印象を受けた」としている。
※1 GPL:GNU General Public License。フリーソフトウェアのライセンス。コピーレフトを保証するライセンスでもあるカルデラ(株)は、今後、『OpenLinux』、PCサーバー用UNIX『UnixWare』の次世代製品となる『OpenUNIX』、管理ソフト『Caldera Volution』の日本語版を発売する。