日本ネットワークアソシエイツ(株)は30日、東京・渋谷区の本社で記者発表会を行ない、企業向けのウイルス対策製品として、アンチウイルスゲートウェイアプライアンス『WebShield e500 Appliance』、アンチウイルスポリシー管理ソフト『ePolicy Orchestrator(イーポリシー オーケストレーター) 2.0』(ePO 2.0)、クライアントアンチウイルスソフト『VirusScan 4.5.1』を発表した。
『WebShield e500 Appliance』 |
WebShield e500 Applianceは、アンチウイルスソフトとハードウェアをセットにしたアンチウイルスアプライアンスで、企業のインターネット側のゲートウェイとして設置する。SMTP、HTTP、FTP、POP3の各プロトコルに対応し、ウイルスの検出が可能。電子メールに関しては、コンテンツフィルター機能により差出人、宛先、本文、添付ファイル名を指定してスキャンできる。この機能はウイルス対策以外に、誹謗/中傷メールの送受信を防ぐためにも利用できるとしている。ウェブブラウザー経由で管理できるほか、同時に発表したアンチウイルス管理ソフトePO 2.0に対してレポート送信が可能。
WebShield e500 Applianceのハードウェアは、Pentium III-1GHz×2、256MBメモリー、18.2GBのUltra160 SCSI HDD×2(RAID1)、100BASE-TX×2を、高さ2Uのラックマウントタイプ筐体に搭載している(米STEEL CLOUD社製)。OSは米RedHat社のLinuxを採用している。1時間あたり10~15万通の電子メールをスキャンできるという。価格は初年度のサポート込み(ソフトのバージョンアップ含む)で275万円、7月末に出荷予定。ハードウェアとソフトウェアを1つにして提供することで、管理費用が低減できるとしている。なお、5月31日から7月31日まで、10社限定でe500を12月末まで無償で貸し出す、無償モニターキャンペーンを実施する。
ePO 2.0は、同社のクライアントアンチウイルスソフトMcAfee VirusScanのウイルス定義ファイル、スキャンエンジン(プログラムのコア部分)、サービスパックの自動更新、ポリシーの集中管理、およびウイルス発生状況のモニターが可能な、管理ソフト。同社が従来提供していたePO 1.0の新バージョンで、Windows 2000サポート、MSDE(Microsoft Data Engine/SQL7.0のデータベース管理、レポートのグラフ表示対応、ユーザー階層化管理の高速化、(株)シマンテックからのデータ収集に対応した。WebShield e500の管理と、レポート作成機能も統合した。価格は100ノード分で13万3000円(1年間のライセンス料込み)、6月中旬に発売予定。
『ePolicy Orchestrator 2.0』の管理・更新機能の概要 |
VirusScan 4.5.1は、アンチウイルスクライアントソフトの新バージョン。ウイルスが感染する可能性のあるファイルのみスキャンするデフォルトスキャン機能、ファイアウォールやプロキシー環境下でもファイル更新が行なえるPassive FTP機能、スキャンエンジン更新機能、ネットワークドライブのスキャンに対応した。価格は100ノード分で60万円(1年間のライセンス料込み)、6月下旬発売予定。
マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャの能地将博氏 |
IPA『2000年ウイルス発見届出状況』によるウイルス感染経路 |
日経インターネットテクノロジー(2000年2月)によるウイルス対策製品の導入状況 |
発表会では、マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャの能地将博氏が日本企業のウイルス対策の現状と、新製品の特徴について説明した。能地氏によると「企業の2000年度におけるウイルス感染経路は90.1%がメール(※1)。これに対して94.6%の企業がクライアント向けアンチウイルスソフトを導入しているものの、全社的に導入しているのは65.7%(※2)に過ぎない。また、アンチウイルスソフト向けに毎週提供しているウイルス定義ファイルの定期的更新率を見ると、新しい定義ファイルが出たとき90%以上更新するというユーザーは35%(※3)に留まっている」とし、こうしたことが複合要因となってウイルスの被害が収まらないという。
※1 情報処理振興事業協会(IPA)調べ。※2 出展:(株)日経BP『日経インターネットテクノロジー』2000年2月号。
※3 出展:(株)日経BP『日経インターネットテクノロジー』2000年8月号。
ネットワークアソシエイツによる、ウイルス対策製品にかかるコストと、ウイルスの被害を受けた場合のコストの比較表 |
さらに能地氏によると「例えば企業内であるユーザーのパソコンがウイルスに感染したとすると、その対策のためにIT技術者が1時間の作業が必要で、さらにその間ユーザーがパソコンで仕事ができないことになる。こうした駆除作業コストと生産性損失コストは、ウイルス対策製品をきちんと導入/運用するコストの4~5倍になる」という。そして「ソフトウェアアップデートや定義ファイルの配布の自動化、ウイルス発生状況のモニターなど、管理することが重要」とし、ウイルス対策における管理の重要性を強調した。
ネットワークアソシエイツでは、今回の3製品を組み合わせて使用することで、ウイルス対策に関わるIT技術者の負担も軽減するとしており、メールウイルスへの対策と管理コストの低減と合わせて、積極的に売り込む構えだ。