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マイクロソフト、.NETの個人向けウェブサービス“HailStorm”について説明

2001年05月30日 16時17分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は30日、開発者向けに同社の“Microsoft.NET”の最新情報を紹介するコンファレンス“Microsoft .NET Developers Conference 2001”を東京/台場で開催した。

基調講演では、“Microsoft .NET戦略とテクノロジーロードマップ”と題し、同社取締役エンタープライズ・セールス/マーケティング部門担当兼デベロッパー・マーケティング本部長の鈴木和典氏が、同社が提供する予定の.NET向けウェブサービス“HailStorm”など、.NETテクノロジーの最新情報やロードマップについて説明した。

MS鈴木氏
“Microsoft .NET Developers Conference 2001”で基調講演を行なう同社取締役エンタープライズ・セールス/マーケティング部門担当兼デベロッパー・マーケティング本部長の鈴木和典氏。会場は東京/台場にあるホテル。本日は東京ビッグサイトで“Linux World Expo/Tokyo 2001”も開催されており、お台場周辺は業界関係者だらけだ

マイクロソフトは、すべてのデバイスがインターネットに接続される環境を想定し、OSなど既存環境に依存しないオープンなプラットフォームとしてインターネットを利用するためのテクノロジーとして、昨年よりMicrosoft .NET構想を打ち出している。.NETのキーとなるのが、プラットフォーム非依存で、再利用可能なソフトウェアを意味する“サービス”であり、マイクロソフトは.NET構想実現に向けてウェブを利用した“ウェブサービス”を推進している。

鈴木氏は、マイクロソフトが今後提供する個人ユーザー向けの基本的なウェブサービス“HailStorm”(コードネーム)について説明した。

HailStormは、個人ユーザーが自身の情報を管理するためのウェブサービス。どこでもどのようなデバイスでも個人が特定され、その人にとって必要な情報を取得できるもの。.NETビルディングブロックサービス上に展開され、さまざまなインターネットアプリケーション、デバイス、サービスに接続可能で、ユーザー自身に代わってパーソナルネットワークに情報を転送することを承認できるようになっている。HailStorm自身がはXMLで記述されているため、XML対応システムと必要な情報を交換可能。

現在同社が提供を予定しているHailStormサービスは、myProfile、myAddress、myApplicationSettings、myDevices、myDocuments、myFavoriteWebSites、myLocation、myWallet、myNotifications、myCalender、myContacts、mylnbox。

また、HailStormの個人認証システムとして、Microsoft Passportを搭載する。Passport認証はWindows XPの認証システムと統合されるため、Winodws XPからPassport対応ウェブサービスにはシームレスにアクセスできるようになるという。

HailStormは、個人の情報だけでなく、グループや企業でメールやカレンダーなどさまざまな情報を統合/共有できる。また、Windows、Windows CE、UNIX、Macintosh、Palmなどあらゆる端末に適用可能で、すべての開発言語をサポートするという。

マイクロソフトは、HailStormのビジネスモデルとして、サービスを利用するエンドユーザーにサービス使用料をもらうことを基本的な考えかたとして上げている。サービス料金は定期購読/定期利用をベースに、利用する機能や利用頻度に応じて課金される仕組みを検討しているという。また、マイクロソフトが提供するサブスクリプションでも利用できるため、サードパーティーが再販することも可能。これらの内容はまだ検討段階だが、同社は今年中に、価格体系などを含めた具体的なビジネスモデル内容を提供するとしている。

開発者向けには、開発環境として、VisualStudio.NETのほか、SDK、サポートなどを低コストで提供するべく検討中だという。テスト環境は、ホスティングサーバースペースの一定期間の利用や、ローカルでの利用環境の提供を予定している。マイクロソフトが提供するサービスをベンダーが自社のアプリケーションに組み込む場合はライセンス契約となり、エンドユーザーからの課金については利用頻度に応じて年間レートを設定するという。なお、サポートや大規模導入は別契約となる。

マイクロソフトは、HailStormの技術情報を米国で10月に公開、その後開発者用β1版を2001年末に、正式版を2002年にリリースする。PassportのWindows XPとの統合認証は2001年下期リリースとなる。HailStormのエンドポイントは、MSN、Windows CE、Pocket PC、Windows XP、Stinger、Visual Studio.NET、Officeの予定。

さらに、そのほかの.NETテクノロジーロードマップとして、Visual Studio.NET 日本語版のβ2版を今夏に、正式版を年内にリリースする。.NET Framework 日本語版はβ2版を今夏に、正式版を年内にSDKとして配布するという。

また同社は、イースト(株)、(株)ジェイティービーと協力し、ウェブサービスの実験として、社内システムとシームレスに連動する出張手配ウェブサービス試験サイト“Webサービス対応パイロット版 ビジネストラベルソリューションシステム試験Webサイト”を開発者向けに公開した。同試験ウェブサービスは、Windows 2000 Server、SQL Server 2000、Exchange 2000 Serverをベースに、.NET Framework β1上で稼動している。

サイト画面で、出張出発日と目的地を指定すると、航空便指定画面、ホテル指定画面が順に表示される。飛行機の時間やホテルの種類などを指定すると、適した飛行機やホテルが検索され一覧表示される。これらの航空便やホテル検索は、JTBが提供するシステムを利用、利用者側の出張申請システムとBTS出張手配サービスをSOAP経由で連携させている。

イーストは、JTBの関連会社である(株)JTBビジネストラベルソリューションズと協力し、社内システムと連動して出張手配サービスが利用できる試験ウェブサービスを開発、同サイトを運営する。同サイトでは、パイロットシステムの概要やウェブサービスで公開されるメソッドのリファレンス、ウェブサービスの利用方法なども開発者向けに解説されている。

鈴木氏は、「.NETの実現により、インターネットに接続される機器を対象にプラットフォームに依存しないソリューションが提供され、エンドユーザーは必要な情報にアクセスし、自分が行ないたいことがいつでもできるようになるだろう。.NETはあらゆるものにポジティブなインパクトを与え可能性を高めていくもの。マイクロソフトは.NETのためのさまざまなテクノロジーと、そのテクノロジーを実装した製品を提供する」と締めくくった。

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