- 出題
- グローバルナレッジネットワークインク 田中宏志
OSI参照モデルでエンドツーエンドの通信品質を確保するのはどの層か。
- A 物理層
- B データリンク層
- C ネットワーク層
- D トランスポート層
CCNA試験では、ネットワークを理解するうえで基本となるOSI参照モデルの問題が多く出題される。OSI参照モデルとは、ISOが策定したOSI(Open Systems Interconnection)というネットワークアーキテクチャのモデル図である。図1のように、ネットワークの構成要素全体を7つの層に分け、それぞれの階層(レイヤ)ごとにプロトコルを定めている。
図1●OSI参照モデル |
物理層は、ビット列の伝送を行なうための取り決めがなされている。具体的には、コネクタの形状やピン配列、電圧や電流に関する仕様のほか、符号化方式についての規格を定義する。
データリンク層は、1つの物理的メディアに接続されている近隣デバイス間でフレームを送信する方式が定められている。たとえば、フレームの形状やハードウェアアドレス(MACアドレス)、媒体アクセス制御方式、エラー検出方式や再送制御、フロー制御について定める。
ネットワーク層は、パケットの中継、およびエンドツーエンドを定義する役割を持つ。具体的には、ソフトウェアアドレス(TCP/IPの場合はIPアドレス)と呼ばれる番号で発信元と送信先を識別する。ソフトウェアアドレスは、そのデバイスが存在するネットワークを表わす番号とネットワーク内でデバイスを識別する番号(IPアドレスの場合はネットワーク番号とホスト番号)で構成されており、そのデバイスが存在する場所に応じて管理者が番号を割り当てる。このため、ソフトウェアアドレスを見れば、最終的な送信先に到達するにはどのネットワークを経由すればよいか分かる。
トランスポート層は、エンドツーエンドの通信品質を確保する方法が定められている。データリンク層のプロトコルによっては、エラー訂正やフロー制御を行なわないものもあるので、トランスポート層に該当するプロトコルがこれらの機能を補い、発信元が送信したデータを確実に送信先に届ける仕組みだ。
セッション層は、プログラム間通信を行なう方式を定義する。具体的には、プログラム間通信を実現するのに必要な、セッションと呼ばれる仮想回線の開始、終了、および制御方法を定めている。
プレゼンテーション層は、データの表現方法を定義する。たとえば、文字を表現するためのコード体系や、画像や音声をバイナリ表現する方式、データを圧縮、暗号化する方式などである。
最後のアプリケーション層は、ネットワークを利用するアプリケーションそのものの通信方式を定める。たとえばファイル転送を行なうアプリケーションの場合、最初にファイル名を送信し、次にファイルサイズを送信、続いてファイルそのものを送った後、最後にファイルの最後を表わすデータを送る、といった取り決めを行なう。
なお、エンドツーエンドの通信品質を確保するのはトランスポート層である。したがって正解はDである。