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HDDビデオレコーダ研究

HDDビデオレコーダ研究

2001年05月28日 20時37分更新

文● 山之内正

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使い勝手のソニー、ハイブリッドのビクター

HDDビデオレコーダの先駆けとなった、ソニーの「Clip-On SVR-715」。

 地上波/アナログBS放送の録画再生に用途を絞り込んだソニーの「Clip-On SVR-715」は、構成が最もシンプルで操作もわかりやすい。録画中に録画開始点にさかのぼって再生したり、ほかの録画済み番組を再生するといったHDDビデオレコーダ特有のタイムシフト再生機能に加えて、EPGと連動した録画機能がたいへん充実しているのが特徴だ。本機種には、HDD容量を40GBに拡張した新モデル「Clip-On SVR-515」も登場している。

 EPGの番組データを利用して録画済み番組のタイトルやジャンルを表示するだけでも便利だが、本機はさらに一歩進んで、登録したキーワードに適合する番組の自動録画機能も盛り込んでいる。「サッカー」「プロ野球」といったジャンルでもいいし、好みの俳優の名前でも構わない。1週間分の番組データを含むEPGからあらかじめ登録したキーワードに合致する番組を取得し、自動的に録画してくれるのだ。この機能を進化させると、ユーザーごとに関心のある番組を勝手に録画し、そのなかから視聴者が自由に選んで楽しむという、いわゆる家庭内ビデオオンデマンドが実現することになる。ソニーのHDDビデオレコーダは、それを先取りすることで、ビデオの使い勝手を根本的に変えようとしている。

 HDDのランダムアクセス性能を生かす機能も完成度が高い。目的のシーンを効率よく探すためには、サーチ速度が速いだけでは十分とはいえない。SVR-715は、番組中の任意の位置にインデックスを入力したり、画面の内容でシーンの切り替わり点を検出して自動的にインデックスを作成する機能を積んでいるが、これは他社のHDDビデオレコーダにもぜひ載せてほしい機能のひとつだ。また、任意の位置で番組を分割したり、2つの番組をひとつに結合することで、外部機器(VHSテープやDVD-RAMなど)に書き出すための簡易(カット)編集も行える。こうした機能も、容量的に限界がありメディアの交換もできないというHDD記録の短所をカバーするには欠かせないものだと思う。



S-VHSとHDDビデオレコーダを融合させた、ビクターの「HM-HDS1」。

 ビクターは、HDDビデオレコーダを既存のビデオ環境とフュージョン(融合)させた「HM-HDS1」を発売した。S-VHSデッキをHDDビデオレコーダと同じ筐体に内蔵し、HDDからVHSへのダビング機能を盛り込むことで、長期保存には向かないHDDビデオレコーダの短所を埋め合わせることを狙っている。アナログ録画機を合体させたHDDビデオレコーダは、本機が唯一の存在だ。

 本機の用途の中心は、関心のある番組をまずHDDに流し録りし、必要な番組、または必要なシーンだけをVHSにダビングするという使い方だ。こうした使い方がHDDビデオレコーダの現状での最適な利用スタイルだと考えているわけで、これは互換性や既存録画環境との共存を重視するビクターらしい考え方といえる。ビデオデッキの買い換えを考えているユーザーや、スペースを有効利用したい人にもアピールする製品になっている。



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