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JASRAC、平成12年度徴収総額は1063億円、要因は着メロ

2001年05月23日 22時12分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は23日、定例記者会見を行ない、平成12年度の事業報告と今後の著作権管理事業への取り組みについて説明した。

遠藤会長
JASRAC会長の遠藤実氏は、「法改正によりJASRACも様変わりしているが、デジタル化にも自信を持って対応したい」と挨拶

着メロで徴収使用料が増加

JASRACが平成12年度に徴収した使用料等の総額は1063億3000万円(前年度比7.4%増)。JASRAC側は、増額となった要因としてカラオケ管理の契約率が上がったこと、携帯電話、特に着信メロディの普及により、機器に内蔵されるICチップへの着メロ録音使用料、およびインタラクティブ配信(着メロサービス等)の使用料が増えたこと、業務用通信カラオケや有線テレビジョン放送、DVDビデオにかかる使用料について利用者との協議が整い過年度分の使用料を含めて入金されたこと、などをあげている。徴収総額のうち、携帯電話ICチップへの着メロ録音使用料は約20億円、着メロダウンロードサービスの使用料は約12億円にのぼるという。

また、10月1日に施行される著作権等管理事業法(※1)に対応するため、JASRACはすべての権利の委託を受ける既存のシステムから、著作者の意思でJASRACに委託する権利を選択できるシステムにし、手数料もそれぞれの権利に見合った料金に改めるという。選択できる支分権の範囲や料金設定などの改正案は、6月20日に行なわれる通常総会で発表される。また、新システムは2002年4月1日にスタートするという。

※1 著作権等管理事業法:2000年11月29日に公布された法律。著作権および著作隣接権(著作権等)を管理する事業を行なう者について登録制度を実施、管理委託契約約款や使用料規定の届け出および公示を義務づけている。施行は10月1日。

また、著作権等管理事業法の施行に伴い、いくつかの団体および民間企業が、音楽著作権管理事業に参入する動きがある。これについて、吉田茂理事長は、「法律の主旨が著作権の自己管理や委託の選択なので、ある意味当然の動き。新しい土俵で新しい団体とフェアに競争する。公益法人としての使命を追求し、なるべく広く権利者の権利を預かりそれを円滑に利用してもらう。JASRACの原点である演奏権の管理に力を尽くし、外国の著作権協会との協力を進める。また、インタラクティブ配信や高速大容量配信にも対応していく。競争ということで厳しい立場になることが予想されるが、利用者に信頼してもらう団体となるべく努力する」としている。

法律施行後のシェア変動についてJASRACは、事業参入を目指す団体が主にインターネット配信での事業を中心に展開しようとしているため施行後のシェア変動計算がしにくく、最悪の場合をシミュレーションしながら準備を進めているという。なお、施行後は各種使用料の改訂を行ない、使用料全体の平均値を現状の14%から13.6%に引き下げるとしている。

インターネットを利用した音楽配信などのインタラクティブ配信に適用する使用料は、有料音楽配信(商用配信)については2000年6月にネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)との間で合意、使用料規定の認可を受け施行されているが、個人サイトを含めた非商用配信(試聴サービス等)の使用料については7月1日の施行となっている。この非商用配信に対する使用料規定が施行されると、例えば小学生がMIDI音源データを作成しサイトに掲載した場合でも、1曲150円の使用料をJASRACに支払わなければならない。JASRACは7月1日の施行に向けて、音楽配信を行なっているサイト(非商用の個人サイトを含む)を監視するための専用検索エンジンを開発、著作権管理システムの早期構築を目指すという。

平成13年度から適用される放送使用料規定の改訂については、NHK、日本民間放送連盟(民放連)と合意し、改訂手続きに向けて最終的な詰めを行なっているという。この改定に伴い、NHKの放送使用料は現在の実質0.52%から1%へ引き上げとなり、民放はNHKの料率にリンクする形となる。ただしNHKとの協定は10年で、今後10年の間に0.52から1%に引き上げるというもの。民放との協定は5年で、それが過ぎる段階で再度話し合いが必要となるという。

カラオケの管理状況は、3月31日現在の契約率が76.1%(前年同期は69.8%)と向上した。契約率がアップしたのは、使用料規定を改定し内容をシンプルにしたことで、契約申込書の取りまとめが円滑に進んだこと、法的措置を大量に実施したこと、TVCMなどの広報活動が効果を上げたことなどが理由という。平成12年度に実施された法的措置は504件(552店舗)で過去最高の件数となっている。

平成12年度で最も儲かった曲はサザンの『TSUNAMI』

またJASRACは、2001年JASRAC賞を発表した。2001年JASRAC賞は、2000年4月から2001年3月までの1年間に、JASRACからの使用料分配額が多かった作品の関係権利者(作詞者/作曲者/音楽出版者など)の功績を称えるもの。国内作品の分配額1位に“金賞”、同2位に“銀賞”、同3位に“銅賞”、国内作品のうち外国入金の分配額1位に“国際賞”、外国作品の分配額1位に“外国作品賞”が贈られる。受賞作品は以下の通り。

  • 金賞:『TSUNAMI』(作詞者/桑田佳祐、作曲者/桑田佳祐、音楽出版者/(株)アミューズ、(株)セブンノーツ、歌唱/サザンオールスターズ)
  • 銀賞:『SEASONS』(作詞者/浜崎あゆみ、作曲者/D・A・I、音楽出版者/(株)フジパシフィック音楽出版、(株)バーニングパブリッシャーズ、(株)プライム・ディレクション、歌唱/浜崎あゆみ)
  • 銅賞:『LOVEマシーン』(作詞者/つんく、作曲者/つんく、音楽出版者/(株)アップフロント音楽出版、(株)吉本音楽出版、(株)テレビ東京ミュージック、(株)電通音楽出版、歌唱/モーニング娘。)
  • 国際賞:『美少女戦士セーラームーンBGM』(作曲者/有澤孝紀、音楽出版者/(株)テレビ朝日ミュージック)
  • 外国作品賞:『Livin' La Vida Loca』(副題:GOLDFINGER 99、作詞者/Desmond Child、Robi Rosa、作曲者/Desmond Child、Robi Rosa、音楽出版者/Universal Polygram Intl' Publiching、A Phantom Vox Publishing、(株)ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング、ワーナー・チャペル音楽出版(株)、歌唱/RICKY MARTIN)

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