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インテル、プレス向けに“IA-32アーキテクチャーデイ”を開催

2001年05月22日 02時40分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は21日、都内のホテルに報道関係者を集めて“インテルIA-32アーキテクチャ・デイ”を開催した。ノートパソコン向けおよびワークステーション向け新プロセッサーの発表や、インテルの取り組みについて説明した。

まず、同社取締役副社長の佐藤真衛氏があいさつし、ワークステーション向けの新しいプロセッサーブランドとして、NetBurstマイクロアーキテクチャーを採用する『インテルXeonプロセッサ』を発表した。Xeonはシングルないしデュアルプロセッサーを搭載した、ワークステーション市場がターゲットとしているが、この市場は今年33~34%と、大きな伸びが期待できるとしている。

取締役副社長の佐藤真衛氏
取締役副社長の佐藤真衛氏。手に持っているのはシャープが17日に発表した薄型ノート『PC-MT1』

また2001年第1四半期におけるPentium 4のプロセッサーのパソコン市場における立ち上がりに触れ、“新マイクロアーキテクチャーの立ち上げとして最速のものにする”という計画通り順調に立ち上がっているとし、「2001年末には、デスクトップパソコンプロセッサーの50%はPentium 4になる」と述べた。この計画と目標は、4月19日に開催した“インテル・デベロッパー・フォーラム 2001 Springジャパン”において、米インテル社のアナンド・チャンドラシーカ(Anand Chandrasekher)副社長が示したのと同様のもの。

モバイルプロセッサーについては、「モバイルで使うからといって性能を犠牲にすることはない。インテルはノート用プロセッサーについて日本メーカーと連携をとりながら開発してきた。小型・軽量化は日本のお家芸ともいうべきものだ」として、17日にシャープ(株)が発表した、超低電圧版モバイルPentium III-500MHz搭載のB5サブノート『PC-MT1-H1』を掲げながら紹介するなどした。

超低電圧版モバイルPentium IIIとCrusoeを比較

続いてe-マーケティング本部長のマイク・トレイナー(Michael Trainor)氏が、モバイル用プロセッサー5製品『超低電圧版モバイルPentium III-600MHz』、『低電圧版モバイルPentium III-750MHz』、『超低電圧版モバイルCeleron-600MHz』、『低電圧版モバイルCeleron-600MHz』、『モバイルCeleron-800MHz』を発表した。(※1)トレイナー氏は、モバイルパソコン市場予測グラフを見せながら、「モバイルパソコンはパソコン市場の全体の30%を占め、堅調な伸びを見せている。日本においてはモバイルパソコンの占める割合は50%に達する人気で、ミニノートブック(B5ファイルサイズ以下)とサブノートブック(さらに小型のノート)製品は、日本が主導的立場にある」と述べた。

※1 インテルが“超低電圧版”プロセッサーを発表するのは、1月30日の『超低電圧版モバイルPentium III-500MHz』『超低電圧版モバイルCeleron-500MHz』に以来2回目、また“低電圧版”では2000年6月19日の『低電圧版モバイルPentium III-600MHz』、2001年1月30日の『低電圧版モバイルCeleron-600MHz』、2月27日の『低電圧版モバイルPentium III-700MHz』に続く4回目のこと。

e-マーケティング本部長のマイク・トレイナー
e-マーケティング本部長のマイク・トレイナー氏。後ろに見えるのはモバイルプロセッサー搭載ノート
モバイル市場予測グラフ
モバイル市場予測グラフ

トレイナー氏は“低電圧版プロセッサー”をミニノート向け、“超低電圧版プロセッサー”をサブノート向けと位置づけ、「最高のパフォーマンスを発揮しながらも、ミニノート/サブノートが要求する熱設計値や消費電力をクリアーしている」と述べた。さらに、米トランスメタ社の“Crusoe-600MHz”(『TM5600』)と、超低電圧版モバイルPentium III-600MHzの消費電力とベンチマーク結果を比較するグラフを示して「トランスメタのものよりも40%低い消費電力で、2倍の性能を発揮する」と述べた。

超低電圧版/低電圧版モバイルPentium IIIの位置づけ
今回発表した超低電圧版/低電圧版モバイルPentium IIIの位置づけ。これを見るとモバイルPentium III-1GHzの後継が空きになっている。Tualatinが入るのだろう
超低電圧版モバイルPentium IIIとCrusoeの消費電力とパフォーマンス比較グラフ
超低電圧版モバイルPentium IIIとCrusoeの消費電力とパフォーマンス比較グラフ

説明会場には、今回インテルが発表した製品を含むモバイルプロセッサーを搭載した、パソコンメーカー各社のノートパソコンを展示し「インテルのモバイルプロセッサーがモバイルライフスタイルやビジネス形態を後押しする」とした。インテルが2001年後半に投入するとしている“Tualatin(テュアラティン)”(0.13μmプロセス版のPentium III)については触れなかった。

超低電圧版/低電圧版モバイルPentium IIIの各モード
プロセッサー 最高性能モード バッテリーモード
超低電圧版モバイルPentium III-600MHz 600MHz(1.1V) 300MHz(0.975V)
低電圧版モバイルPentium III-750MHz 750MHz(1.35V) 500MHz(1.1V)
超低電圧版/低電圧版/モバイルCeleronのコア電圧
プロセッサー 内部コア電圧 平均消費電力
超低電圧版モバイルCeleron-600MHz 1.1V 1W未満
低電圧版モバイルCeleron-600MHz 1.35V 2W未満
モバイルCeleron-800MHz 1.6V 3W未満

Xeonでワークステーション市場の制覇を狙う

午後のセッションでは、e-マーケティング本部長の佐藤宣行氏がXeonプロセッサーの位置づけとマーケティング戦略について説明した。Xeonは既報のように、Pentium 4と同じNetBurstマイクロアーキテクチャーを採用し、マルチプロセッサーに対応した、ワークステーション向けプロセッサー。“Foster(フォスター)”というコードネームで呼ばれていた製品だ。

e-マーケティング本部長の佐藤宣行氏
e-マーケティング本部長の佐藤宣行氏
日本のワークステーション市場予測
日本のワークステーション市場予測。グラフ中濃い紫に見えるのがインテルアーキテクチャーのワークステーション

佐藤氏は、インターナショナルデーターコーポレイションジャパン(株)調べによる、日本のワークステーション市場予測グラフを示した。それによると、2000年のワークステーション市場はおよそ17万台、その過半数がインテルアーキテクチャーのワークステーションで占められており、今後市場全体が伸びると共に、インテルプロセッサーのシェアも急拡大すると述べた。

Xeonプロセッサーの位置づけ
Xeonプロセッサーの位置づけ。下半期には2GHz版を予定している

今回発表したXeonは1.4/1.5/1.7GHzであり、従来のPentium III Xeon-1GHzと比較して30~90%のパフォーマンス向上が図られたとしている。また、デュアルプロセッサー構成とした場合、シングルプロセッサーに比較してアプリケーションにもよるが、30~80%性能が向上するという。また2001年後半には、2GHz動作のXeon投入を予定していることも明らかにした。

シングルプロセッサーとデュアルプロセッサーのパフォーマンス比較グラフ
Xeon-1.5GHzにおける、シングルプロセッサーとデュアルプロセッサーのパフォーマンス比較グラフ

佐藤氏は、ワークステーションで使われる、CAD/CAMなどのグラフィックス関連ソフトウェアや、構造解析ソフトウェアのNetBurstマイクロアーキテクチャーへの最適化も進んでおり、ワークステーションメーカーも含めた幅広い業界の支持を得ていると強調した。

今回のXeonの2次キャッシュが256KBだったことや、同時に発表したインテル860チップセットがデュアルプロセッサーまでの対応であったことから、記者から大容量2次キャッシュ版Xeonや4way以上のマルチプロセッサーへの対応について質問が出た。これについて佐藤氏は、大容量2次キャッシュを搭載するXeon、4Way、8Wayといった製品についても対応すると答えた。

これまではインテルの完全な独占状態だった、インテルアーキテクチャーのワークステーション向けプロセッサーだが、まもなく米AMD社が改良型のAthlon(Palomino)によってその市場に食い込もうとしている。デュアルプロセッサーまでをサポートするチップセットを用意する点も同じ。これに対してインテルはPentium ProやPentium II Xeonから続く実績と、新アーキテクチャーのXeonをAMDより先に投入することで、先行する立場を最大限に利用するつもりだ。ただし、説明会で展示したXeon搭載ワークステーションは4社(うち2社は参考出品)とインテルの発表時としては少なく、某メーカーの技術者からは「Xeonの数を確保するのが難しい」という声も聞かれるなど、まだ順風満帆とまではいかないようだ。

『hp workstation x4000』
Xeon-1.5/1.7GHzを搭載する日本ヒューレット・パッカードの『hp workstation x4000』
『Precision WorkStation530』
Xeon-1.4GHzを搭載するデルコンピュータ(株)の『Precision WorkStation530』
『Express 5800/50』(参考出品)
Xeon-1.7GHzを搭載する日本電気(株)の『Express 5800/50』参考出品だが、近日中に発表の予定としている
『IntelliStation M Pro(6850)』(参考出品)
Xeon-1.7GHz搭載の日本IBM(株)『IntelliStation M Pro(6850)』(参考出品)夏に発表予定としている
IntelliStation M Proの内部
IntelliStation M Proの内部。Xeon用の“Socket F”(白いソケット)が見える

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