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DiMAGE 7

DiMAGE 7

2001年05月23日 19時06分更新

文● 行正

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自由度の高い操作性

背面からは液晶モニタと電池ボックスが飛び出したようなデザインとなっている。単3電池は液晶下に並べて装着する。背面から装着できるため、ネックストラップでカメラを首から下げた場合、レンズを下に向ければ電池を落すことなく交換できるのは便利そうだ。

 液晶モニタ横のカーソルボタンは、プッシュスイッチにもなっている5WAYボタン(上下左右+押下)で、メニューを表示させての機能選択に用いるのは当然だが、DiMAGE 7では非常におもしろい使い方もされている。「フレックスフォーカスポイント(FFP)」と呼ばれるこの機能は、カーソルボタンを1秒以上押しつづけるとモニタ画面中央部に小さな十字が表示され、カーソルボタンで移動した画面上の任意の位置がフォーカスの合う位置となる。
 似た機能としてカシオ計算機の「QV-3500EX」の「フォーカスエリア指定機能」があるが、QV-3500EXでは画面を9分割したその中央部のみ指定可能なのに対して、本機は自由度が高いフォーカス位置を選択できるわけだ。これはDiMAGE 7がCCD画像からリアルタイムに合焦を検出するためだが、標準では中央部とその左右の3点でフォーカスを検出している。中央から外れた位置にフォーカスを合わせたければ、一度カメラを振り向けてフォーカスロックさせてシャッターを押すというのが一般的で、DiMAGE 7でもこの機能は持っている。フレックスフォーカスポイント機能は、三脚などを使って撮影する場合には意外と重宝するだろう。



基本的な操作は右側上面のモードダイヤルと、その前側にある「P」ボタンを使ってスポーツや風景、ポートレートなどの撮影モードを切り換えることができる。上面の液晶には基本的な情報が表示される。

 液晶モニタの上側に液晶ビューファインダが配置されており、その右側にある小さなスイッチでモニタ表示とビューファインダ表示を切り替える。おもしろいのは自動切り換えのモードが用意されている点で、このモードを選択すると、液晶ビューファインダを覗き込むと自動的にモニタが消えてビューファインダが点灯、顔を離すとモニタ表示となる。これはファインダ部にある赤外線センサによって顔(でなくてもいいが)の接近を検出するしくみで、同社の一眼レフ銀塩カメラにも採用されている(αシリーズではファインダを覗き込むとシャッターを半押しにしなくても合焦する)。モニタ/ビューファインダの切り替えを考えることなしに利用できるのは快適だ。



フラッシュをポップアップし、液晶ビューファインダもチルトさせた状態。レンズは望遠側にしている。

 さらに、液晶ビューファインダ部は上に90度チルトする。カメラを上から覗き込むようにして構図を決めるウェストレベルファインダとしての利用は、旭光学の「PENTAX EI-2000」や、キヤノンの「PowerShot G1」、「PowerShot Pro90IS」のように、液晶モニタがチルト(もしくはスイベル)する製品が多いが、ビューファインダに可変アングル機構を採用した製品は珍しい。どちらが便利かは実際に長く使いつづけてみなければ判断に苦しむところだが、ローアングルでの撮影において非常に使いやすいことは間違いない。



富士フイルムのFinePix4900Zとの比較。本体サイズ/形状が同じ兄貴分であるFinePix6900ZがDiMAGE 7の対抗機種となるだろう。

 機能面でも、DiMAGE 7は32MBのSDRAMをバッファに搭載することにより、レスポンスを高速化し(CFへの書き込み中の撮影など)、APOレンズの採用による色収差の減少、12bit A/Dコンバータ搭載による階調表現力の向上、プリ発光により自動調光機能を持つ内蔵フラッシュなど、高度な機能が盛り込まれている。さらに、露出だけでなくコントラストや彩度のブラケティングを可能とするなど、現行のデジタルカメラではほとんど類を見ない機能を搭載するなど、非常に意欲的な製品だ。



タブ付きのメニューは操作性はよい。設定しているのは、右側モードダイヤル下にあるAE/AFロックボタンの機能設定。

 試用したモデルは製品前のβバージョンであったため、撮影サンプルに関しては 製品版とは異なる可能性は高いことをご了承いただきたい。試用した際には、β機のためかオートホワイトバランスに多少不自然で画像そのものは多少ノイジーで、合焦速度は遅めという感触を受けた。いずれも未チューンのソフトウェアによるところが大きいようだ。
 ただし、高いレンズ性能による歪みの少なさや、高い画素数からくる解像感の高さは、リサイズすることを前提と考えても魅力的だ。



撮影サンプル1。F2.8、1/60。オートモード。撮影データは2560×1920ドットだが、掲載用に640×480ドットにリサイズしている。

 16万5000円という標準価格は、個人ユーザーにとってはかなり微妙なところだ。レンズ交換型の一眼レフ高級デジタルカメラが20万円を切らない現在において、ライバルとなるオリンパスの「E-10」か、富士フイルムの「FinePix 6900Z」あたりだろうが、DiMAGE 7の実売価格は15万円前後になりそうだ。10万円台前半のデジタルカメラ製品群だけでなく、10万円前後のデジタルカメラを検討する際にも、最も魅力の高い機種となるだろう。



撮影サンプル2。F3.3、1/180。オートモード。撮影データは1600×1200ドットだが、掲載用に画像の一部を640×480ドットにトリミングしている。

 また、価格未定のまま発表(9月発売)された姉妹機「DiMAGE 5」に関しても、CCD画素数(321万画素)以外はDiMAGE 7とほぼ同じ仕様だ。DiMAGE 7の価格から考えれば、標準価格で10万円前半、実売では10万円を切る程度の価格であれば、10万円前後で発売されている他社製品にとって驚異的なライバルになるだろう。



撮影サンプル3。F3.3、1/180。オートモード/マクロ。撮影データは1600×1200ドットだが、掲載用に640×480ドットにリサイズ。


撮影サンプル3の一部を元画像の解像度のままトリミングしたもの。

DiMAGE 7の主な仕様
撮像素子 2/3インチ有効495万(総524万)画素インターライン原色CCD
レンズ f=7.2~50.8mm(35mmフィルムカメラ換算:f=28~200mm相当)、F2.8~3.5
記録画素数 2560×1920/1600×1200/1280×960/640×480ドット
記録メディア CFカード(TypeII、microdrive対応)
液晶モニタ 1.8インチTFT液晶
ファインダ チルト機能付き0.19インチ反射型強誘電液晶
測光方式 多分割(300分割)測光方式、中央重点測光、スポット測光
インターフェイス USB1.1、ビデオ出力、DC入力
電源 単3×4本(アルカリ乾電池、ニッケル水素充電池)
本体サイズ 116.5(W)×112.5(D)×90.5(H)mm
重量 約505g(本体のみ)

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