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シトリックス、アプリケーションをASP対応にするソフト『MetaFrame XP』を発表

2001年05月16日 04時38分更新

文● 編集部 中西祥智

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ブラウザー内にデスクトップが

シトリックス・システムズ・ジャパン(株)は15日、都内で記者発表会を開催し、WindowsアプリケーションをASP(Application Service Provider)対応にするソフトウェア『MetaFrame XP 1.0 for Windows』を発表した。同日より受注を開始する。

『MetaFrame XP 1.0 for Windows』
『MetaFrame XP 1.0 for Windows』

『MetaFrame』はASPを実現するサーバー側のソフト。同製品を導入したサーバーでアプリケーションをインストール・公開すれば、クライアント側はウェブブラウザー内でそのアプリケーションを実行できる。ASPであるため、動作速度はサーバー側の性能次第で、クライアント側のマシンスペックはそれほど問題にならない。

また、同社によると『MetaFrame』で提供できるサービスはアプリケーションだけではないという。実際、会場内のデモ機では、ウェブブラウザー内にサーバーのデスクトップ画面が表示されていた。権限さえあれば、そこからリモートでサーバーを操作することも可能だ。同社は『MetaFrame』を販売パートナーを通じてエンドユーザーに提供しており、パートナーによっては、さまざまな利用法が考えられる。

ウェブブラウザー内の『Adobe Acrobat』
ウェブブラウザー内で、『Adobe Acrobat』が起動している。アプリケーションをブラウザーのウィンドウいっぱいに表示することも可能
ウェブブラウザー内のデスクトップ
アプリケーションだけでなく、デスクトップそのものも表示できる。Administratorの権限があれば、サーバーの操作も行なえる

Windowsとウェブをつなぐ製品

米シトリックス・システムズ(Citrix Systems)社マーケティング担当副社長のディビット・ワイズ(David J.Weiss)氏は次のように説明した。「これまではWindowsの世界だったが今や世界は変わった。今はウェブの時代、ウェブサーバーでのアプリケーションホスティングの時代だ」

米シトリックス・システムズマーケティング担当副社長 ディビット・ワイズ氏米シトリックス・システムズマーケティング担当副社長 ディビット・ワイズ氏

また、ワイズ氏は同社の製品群をWindowsアプリケーションとウェブをつなぐものと位置付けた。そして、接点である製品にアプリケーションと情報を集約することで、ユーザーはその1ヵ所にアクセスすればすべての情報を得られるという利点があるとし、全世界で15万企業、2400万人以上に「世界中どこでも、どんなデバイスでも」使えるサービスを提供していくという。

強化された管理機能

『MetaFrame XP 1.0 for Windows』で、前バージョンに比べて最も強化されたのは、あらゆる面での管理機能だという。同製品ではすべての管理機能が、“Cirix 管理コンソール”に統合された。

“Cirix 管理コンソール”
“Cirix 管理コンソール”(画面は英語版)

管理コンソールでは、アプリケーションのインストールやクライアントへの公開、ライセンスの管理、サーバーのロードマネージメント、プリンターの管理などが行なえる。

アプリケーションのインストールは、インストールイメージをすべて記録してパッケージ化したファイルで行なう。サーバー単位あるいはサーバーのグループ単位で行なえ、トラフィックの少ない時間帯を予約することも可能。また、レジストリ情報も管理しており、アプリケーションを完全にアンインストールできるという。

また、それぞれのサーバーの状態を監視でき、しきい値を設定することで自動的に警告を発したり、レポートの出力なども行なえる。サーバーへの負荷を均等に割り当てるロードバランシングも、細かい評価基準を設定可能で、負荷の低いサーバーへアクセスを誘導する。プリンターの管理では、リソースの割り当てや帯域幅の管理などが可能。

『MetaFrame XP』はユーザーのニーズに合わせて3つのパッケージが提供される。部門ワークグループなど単体サーバー向けの『MetaFrame XPs』、大/中規模ユーザーで数十台のサーバー向けの『MetaFrame XPa』、エンタープライズアプリケージョンサービス配信で数百台から1000台以上のサーバー向けの『MetaFrame XPe』の3パッケージとなる。

価格は公表していない。しかし、従来はサーバー数に対する価格だったのが、今回からは同時接続ユーザー数に対する価格に変更されたため、サーバーを追加しても新たな料金は発生しない。

ASPは今後伸びるのか?

同社代表取締役社長の田中正利氏によると、日本法人の売り上げは、2000年度は前年比で約4倍になっており、2001年度は前年比2倍を目指すという。全社の売り上げに対して日本法人の占める割合は現在5%程度で、田中氏はさらに伸びる余地があると予想している。

シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長 田中正利氏シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長 田中正利氏

田中社長は企業やエンドユーザーに対してASPの普及・促進を図る任意団体“ASP インダストリ・コンソーシアム・ジャパン”の専務理事も務めているが、最近まで、日本でのASPの認知度は相当低かったという。

しかし、近年は経済の低迷に苦しむ地方自治体などが、ASP事業者やデータセンターなどを誘致し始めた。これは、企業や通信事業者のコールセンターが地方に分散していることと同様に、安い施設費、人件費などによるものだ。これらの動きによって、ASPの認知度が高まり、需要が増えることを田中社長は期待している。

だが、田中社長も、ようやくパソコン、ネットワークを導入し始めた日本企業、特に中小企業がASPの重要性を認識するのには、まだしばらく時間がかかると予想している。

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