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アナログ・デバイセズ、JPEG2000に対応したICチップを発表

2001年05月15日 22時57分更新

文● 編集部 中西祥智

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アナログ・デバイセス(株)は15日、業界初という“JPEG2000”方式での画像の圧縮・伸張を行なうICチップ『ADV-JP2000』を発表した。同日に製品の供給を開始する。価格は1万ロット注文時の単価が14ドル(1725円)となっている。

右上のチップが『ADV-JP2000』
右上のチップが『ADV-JP2000』。下の2枚の画像は、左が100対1の割合でJPEGで圧縮した画像、右は同じく100対1でJPEG2000で圧縮した画像

“JPEG2000”は、標準化団体ISO(International Organization For Standardization)で規格標準化が進められている画像圧縮技術。従来のJPEGよりも高圧縮、高品質な画像圧縮方式。従来のJPEG方式は画像を“離散コサイン変換(discrete cosine transform:DCT)”で変換(※1)するが、JPEG2000方式は“ウェーブレット変換 (wavelet transform)”で変換(※2)する。それによって、高圧縮時に発生するブロックノイズと呼ばれる格子状のノイズや、モスキートノイズと呼ばれる水面の波紋のようなノイズは発生しないという。

※1 画像を小さなブロックに分け、高速フーリエ変換を用いて周波数成分を示す係数を得る。それらを量子化・符号化して圧縮する。

※2 画像全体を周波数帯域に分け、ウェーブレット関数によって縦横それぞれの周波数成分を得て、量子化・符号化して圧縮する。

また、JPEG2000はひとつのファイルから複数の解像度の画像を取り出すことができ、サムネイル用の画像を別途作成する必要がない。可逆性圧縮が可能で、ウォーターマーク(透かし)の挿入や、圧縮する際の画質、ファイルサイズなどの細かい指定も行なえる。

『ADV-JP2000』内部構造
『ADV-JP2000』内部構造

今回発表した『ADV-JP2000』は、7mm角の48ピンLFBGA(Low-profile Fine-pitch BGA packaging)パッケージに格納されており、プロセッサーやDSPなどのコプロセッサーとして機能する。0.18μmプロセスで製造され、300万画素の画像を1秒間に5枚圧縮できる性能を持つ。消費電力は100mWで、動作電圧は1.5~1.8V、I/O部分は3.3V。ダイサイズとトランジスター数は公開していない。

同社では『ADV-JP2000』を主にデジタルカメラ向けと位置付けている。発表したロードマップでは、今後2001年第4四半期(同社の会計年度は11月スタートのため、第4四半期は8~10月)に産業機器用にコプロセッサーではないスタンドアロンで機能する製品を、また2002年度には“NetCam”などにも対応した製品を出荷するとしている。

製品ロードマップ
製品ロードマップ

同社によると、従来のJPEGとJPEG2000は計算量ではそれほど変わらないが、数学的な性質が違うため汎用のDSPやプロセッサーで処理するのは難しく、具体的な数字は明らかにしなかったが、『ADV-JP2000』なら汎用プロセッサーよりも相当高速に処理できるという。ただし、同チップはJPEG2000方式による画像圧縮・伸張以外の処理、たとえば従来のJPEG方式での画像圧縮などは行なえない。

アナログ・デバイセズ社プロダクト・ライン マネージャ ロジャー・スミス氏アナログ・デバイセズ社プロダクト・ライン マネージャ ロジャー・スミス氏

米アナログ・デバイセズ(Analog Devices)社プロダクト・ライン マネージャのロジャー・スミス(Roger Smith)氏は「来年にはウェブブラウザーやそのほかのアプリケーションに、JPEG2000のコーデックが標準で搭載される。それまではコーデックをダウンロードする形になるが、プラグインとして簡単にインストールできるため、過渡期は比較的スムーズに移行」し、将来的にはJPEG2000が従来のJPEGと置き換わるという見通しを示した。

また、スミス氏はデジタルカメラ市場で激しい競争が行なわれていることを挙げ、ほかの製品と差別化するために、メーカーがJPEG2000に積極的に対応すると予想した。しかし、『ADV-JP2000』は1個14ドルという価格設定のため、すべての価格帯にすぐに普及することはなく、高級機種から順に採用されるだろうとの予測を語った。

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