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マイケル・デル会長記者会見――「デルモデルの効率の高さが強み」

2001年05月11日 22時19分更新

文● 編集部 佐々木千之

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デルコンピュータ(株)は11日、米デルコンピュータ社のマイケル・デル(Michael Dell)会長兼CEOの来日記者会見を行なった。2001年第1四半期(1~3月期)に世界市場において第1位シェア(台数ベース、米IDC社調べ。以下同)(※1)となったことや、同期の米インテルアーキテクチャーのサーバー市場でシェア第1位となったことを背景に、優れたデルのビジネスモデルによって、パソコン売り上げが鈍化する中でも、売り上げ、シェアともに拡大し続けているなどと語った。デル会長が日本で記者会見を開くのは'97年9月以来のこと。

※1 デルコンピュータは世界市場においても国内市場においても、売り上げ台数は公開していない。売り上げについては四半期ごとの決算報告の中で示している。2001年第1四半期については17日(米国時間)に発表予定。

なお、日本ガートナーグループ(株)のデータクエスト部門が4月23日に発表した同四半期の世界市場における出荷台数は、デルが416万台(12.8%)、コンパックが394万3000台(12.1%)、ヒューレット・パッカードが232万1000台(7.3%)、IBMが200万台(6.2%)などとなっており、総出荷台数は3252万台としている。

マイケル・デル会長兼CEO
マイケル・デル会長兼CEO

デル会長はIDCのデータを挙げながら、同社の成長率が業界他社に比べ非常に高いと説明した。それによると、インテルアーキテクチャーサーバー市場は'96年から2000年まで290%成長した。'96年に10位だったデルは、コンパックコンピュータ社の4倍の平均成長率を記録して2位になり、2001年第1四半期には1位にまで成長したという。2000年第4四半期(10~12月期)に、デルはサーバー市場において前年比35.7%伸びたが、これはデル以外の成長率(11.7%)の約3.5倍となっている。

ノートブックについては現在世界シェア4位で、2001年第1四半期の対前年比成長率は38.7%と、これもデル以外の成長率12.5%を大きく上回る。デスクトップではさらに顕著で、デル以外の成長率がマイナス2%と縮小する中で、27.1%と大きく伸びた。そのうえで、デル会長は、アメリカ、イギリスカナダ、スウェーデンなどの世界市場の45%を占める国々で4割以上のシェアを持っているが、残りの国々でのシェアは5%未満であり、まだまだ成長する余地は大きく残されているという。そしてこの第1四半期に、米コンパックや米IBM社、米ヒューレット・パッカード社などが前年比でわずかな伸びか、あるいはマイナス成長となり、さらに売り上げの伸びもマイナスに近い状況の中でも、デルだけがシェア、売り上げ共に伸びていると述べた。

世界市場の2001年第1四半期における、IAサーバー、ノートブック、デスクトップのカテゴリー別成長率
世界市場の2001年第1四半期における、IAサーバー、ノートブック、デスクトップのカテゴリー別成長率。デルだけが驚異的な伸び率を示している

そして日本法人については、第1四半期にサーバー市場において前年比85.5%(デルを除く市場は27%)、ノートブック市場では142.1%(同27.9%)、デスクトップ市場では35.3%(同0.4%)と、(※2)すばらしい伸びを示しており、業績に満足しているとした。

※2 デルは前述の通り、出荷台数を明らかにしていない。なお、IDCジャパン(株)が2月22日に発表した2000年度の国内パソコン出荷実績によると、デルコンピュータは58万7000台出荷、シェアは4.2%で第8位となっている。総出荷台数は1413万台。

質疑応答で記者から、業績は伸びているということだが、先日デルが発表した人員削減はどういうことかとの質問があったが、これに対してデル会長は「ここ5、6年で従業員が2万人から4万人規模まで増加した。以前は2001年度も市場が大きく伸びると予測していたが、米国市場の縮小が急に起きたための措置だ」と述べた。ただし、「米国市場の第1四半期においてデル以外は18%売り上げが落ちているのに対して、27%伸びている」と付け加え、米市場においてもマイナス成長になったわけではないとした。

サーバー事業について、16~32wayといった大型サーバーの投入についての質問には「ハイエンドサーバーは一部の顧客においては重要であるが市場は小さい。1~8wayまでがデルの主要サーバーだ」としながらも、「ただしItaniumを使ったハイエンドサーバーの開発は行なっている」と将来のハイエンドサーバーへの展開に含みを残した。

ノートブックなどモバイル関係が伸びていることに関して、PDA市場に参入する予定についての質問には「PDAは確かに数としてはかなり伸びてきているが、どこも利益はあまり出ていない状況だ。現在のところ参入計画はない」と否定した。

記者団からの質問に答える、デル会長と浜田社長
記者団からの質問に答える、デル会長(左)と浜田社長(右)

どうしてデルだけが成長を続けられるのか、その理由はなにかという質問も出たが「我々の直販ビジネスモデル“デルモデル”の効率が高いことが強みだ。他社はこの10年間でデルモデルを模倣しようとしたがすべて失敗した。パソコンのコンポーネントが毎週1%値下がりするという状況では5日分の在庫しか持たないデルモデルは、50~80日の在庫を抱える他社に対して非常に優位にあることは明らかだ」と述べた。

デル会長は関連して「コンパックはこれまでサーバービジネスで利益を確保して、ほかのビジネスに回していたが、デルがサーバービジネスに参入してシェアを伸ばした結果、コンパックはそうした戦略がとれなくなり、サーバーを含むエンタープライズビジネスからの利益は68%減少した。デルはその分シェア、利益共に伸びている」とした。

さらに今後注力する事業分野としては、企業向けストレージ事業と企業向けのコンサルティング事業“デル・テクニカル・コンサルティング(DTC)”を挙げた。コンサルティングというサービス事業に本格的に取り組むにあたっては「ハードウェアが儲からないからサービスをやるのではない。ハードウェアの売り上げは増加しており、サービスを手がけることによってさらに売り上げの増加を見込んでいる」(デルコンピュータ(株)の浜田社長)と述べた。

コンパック、IBM、HPなどが米国のパソコン市場の縮小で苦しむ中、前年同期比20%以上も伸びているデルの強さは際だっている。人員削減を余儀なくされたとはいえ、米国内だけのことであり、また企業買収で人員が増えたわけではないので、組織的な無駄は少ないはずだ。市場が小さくなってダメージを受けるのは他社ばかりという状況では、デルの成長はとどまりそうにない。ただし、日本においても高い出荷の伸びが報告されているが、前出のIDCジャパンによる2000年度出荷実績によれば、同社のシェアはまだ4%台と、日本電気(株)や富士通(株)の20%台と比べればまだまだ低いためだという見方もできなくはない。デルではDTCなどのサービスと組み合わせることで、シェアを一気に拡大する考えだ。

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