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【FOMA続報】発表会一問一答詳細――延期とは一言も言っていない

2001年04月27日 23時47分更新

文● 編集部 佐々木千之

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26日の(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモのFOMAサービス発表会には、10数台のTVカメラを含む200人以上の報道陣が詰めかけた。発表会は立川社長が一気にプレゼンテーションを行なった後、短いFOMAサービスのイメージビデオを挟み、質疑応答の時間が長時間に渡って用意される異例のものとなった。発表会概要は先に報じたとおりだが、ここでは質疑応答の詳細についてお伝えする。

大勢の報道陣が詰めかけた
海外のメディアも含め、発表会には大勢の報道陣が詰めかけた

記者団からの質問に対するNTTドコモの回答者は、立川敬二代表取締役社長、野村秀樹常務取締役営業本部長、津田志郎常務取締役ネットワーク本部長、榎啓一取締役ゲートウェイビジネス部長の4人。なお、複数のドコモ側の複数の役員による回答も便宜上1つにまとめている点はご了承いただきたい。

試験サービスからとなったことについて

[記者] FOMAサービスを延期した理由は不具合によるものか?
[ドコモ] 延期ではない。当社では以前からFOMAサービスを5月末に開始するとしており、当初計画通りだ(立川社長)。

現在基地局約200局を設置して試験を行なっている。理解してほしいが、不具合はある。特にソフトウェア上の不具合で、現在はその検証を行なっている。5月30日に向けてさらなる検証作業を行なう。不具合が残っていても、通常のサービスを提供する上では問題ないと判断した。正式サービスの実施を10月からとしたのは、実際のユーザーの利用状態からのフィードバックを得る目的と、(NTTドコモだけで行なっている)検証で予想しなかった不具合が出ることに対応したものだ(津田常務)。
FOMA試験サービスの提供条件
FOMA試験サービスの提供条件
[記者] プログラムというのは端末のプログラムのことか?
[ドコモ] 基地局、無線交換制御、端末それぞれのプログラムについて検証している。3月の3GPP(※1)グをサポートする上で、盛り込むべき事項があった。基本的にはネットワーク側で対応するものだが、一部は端末側にも及ぶ。この検証のため、当初の想定よりも時間がかかる見通しとなった。ただ、サービス自体は開始しても大丈夫だと考えた。試験サービスを行なうことはユーザーのトラブルを減らすのによりよいと考えた(津田常務)。
※1 3GPP(Third Generation Partnership Project):第3世代(3G)携帯電話の標準化団体。各国の携帯電話標準化団体が参加している。IMT-2000の仕様について3ヵ月ごとに修正が行なわれている。

立川敬二代表取締役社長
立川敬二代表取締役社長。「試験サービスは“延期”ではない」と繰り返し強調した
[記者] 試験サービスになるという告知がサービスインのわずか1ヵ月前は遅すぎないか。
[ドコモ] 遅すぎる? ドコモは以前から、FOMAサービスの詳細について4月に明らかにするといっている。1ヵ月前の情報開示は遅くはない。そういう時代だと理解している(立川社長)。

FOMAのサービス内容について

[記者] 国際ローミングはどこの国と可能なのか? この1年のうちに増えるのか?
[ドコモ] 海外では、具体的実施時期を明らかにしているところがないので明確には言えないが、いろいろな計画は聞いている。イギリスのハチソン3G社は2002~3年に(IMT-2000サービスを)やりたいといっているし、アメリカのAT&T社もやりたいといっているが確定はしていないようだ。アジア諸国でも2002~3年くらいではないか。韓国には2002年のワールドカップ開始までにサービス開始してほしいと要望しているが、まだ明確にはなっていない。どこの国でも、W-CDMA規格でやってくれれば、そこと国際ローミングサービスが可能になる。ドコモが(W-CDMA規格採用を)促進していきたい(立川社長)。

5月に提供する端末では国際ローミングはできない。これは2001年3月の3GPPによるIMT-2000規格で、国際ローミングに関する部分の詳細が決定されたため。2002年春をめどに、国際ローミング対応端末を提供する予定(津田常務)。
[記者] パケット通信は384kbpsのものしかないようだが、iモードは利用できるのか?
[ドコモ] 現行の端末とFOMA端末で利用できるiモードサービスは同じ。384kパケット通信サービスで利用できる。Javaアプレットのダウンロードは軽くなる(榎取締役)。
榎啓一取締役兼ゲートウェイビジネス部長
榎啓一取締役兼ゲートウェイビジネス部長
[記者] デュアルネットワークサービスとはどういうものか?
[ドコモ] PDCとFOMAに同じ電話番号を付けることができ、両方に同じ番号で接続可能になる。ただし、一方が通話中は他方は利用できない。端末側は特に対応作業は不要で、ネットワーク側の措置で可能になる。料金は検討中。FOMAとPDCに1台で対応するデュアル端末も将来の検討課題(津田常務)。
津田志郎常務取締役兼ネットワーク本部長
津田志郎常務取締役兼ネットワーク本部長
[記者] M-stage musicはどんなサービスか?
[ドコモ] 現在PHSで提供しているのと同じ音楽コンテンツの配信サービス。ダウンロードは64kデジタル通信サービスで行なう(津田常務)。
[記者] iアプリの容量は増えるのか?
[ドコモ] 現行のiアプリ(10KB)と同じだ。ただし、他社との競争もあるのでFOMAに限らず拡張を目指して検討している(榎取締役)。
[記者] UIM(※2)はほかの端末と交換可能か?
※2 UIM(User Identity Module):CPUとメモリーを内蔵した小型のICカード。端末の電話番号やユーザー情報が記録されており、UIMをユーザーが差し替えることで、簡単に機種変更が可能となる。

UIM(User Identity Module)
UIM(User Identity Module)は端末とセットで提供する
[ドコモ] 理論的には可能だが、試験サービスでは1人のユーザーには1つの端末しかない。本サービスが開始されれば、自由に行なえる(津田常務)。
[記者] UIMはロック(ドコモ以外のキャリアーで使えないように)するのか?
[ドコモ] ロックをかける予定だ。5月からサービスを始める事業者はほかにないので、事実上問題にならないだろう。現在は各方面から意見を聞いている状態だが、市場の現実として、端末とキャリアーが固定されていることで、端末価格が抑えられ、結果として需要の増加に結びついている。UIMと端末が独立して販売され、どこのキャリアーでも利用できるということになるまえに、日本のキャリアーとしてどういう方策がよいのか議論が必要だと考えている(津田常務)。

事業計画など

[記者] FOMAサービス発表にあたっての満足度は?
[ドコモ] 以前は試験サービスではないほうがいいと考えていたが、iモードの状況を見て少し考えが変わった。今はこれこそが新しい導入方式であると考えている。このやり方をほかの欧米のパートナーにも教えてあげたい。そういう意味で満足している(立川社長)。
[記者] FOMAで英ボーダフォン・エアタッチ社など他社に勝てると思うか?
[ドコモ] 相手の戦略が気にならないわけではないが、最善策を講じていると考えている。(FOMAを)他社に先行して始めることによるイメージアップは強みの1つだ。ボーダフォンや他社もIMT-2000についてはいろいろ考えているだろう。KDDIもサービスについて発言している。新しいサービスをいかに提供していくかということが、競争力の1つだと考えている。ユーザーの皆さんに喜ばれるサービスをいろいろ用意し、それが受け入れられればよい(立川社長)。
[記者] (本サービスでなく試験サービスからとなったことによる)NTTドコモへのイメージダウンについてはどう思うか?
[ドコモ] 我々のFOMAサービスに対するアナウンスは、あくまでもこれが正式なものであり、(マスコミが)勝手に流した情報については関知しない(立川社長)。
[記者] FOMAの収支見通しについてはどうか?
[ドコモ] 通信事業は甘くはない。初年度から黒字になることなどあり得ない。現時点における計画では、4年目に単年度黒字、5年目に累積黒字という計画。その計画のもとで料金を決定している(立川社長)。
FOMAサービスの展開計画
FOMAサービスの展開計画
[記者] 総務省には試験サービスになるということをいつ伝えたのか?
[ドコモ] 監督官庁とは当然相談している。電気通信事業法による試験サービスの実施についても相談して今日の発表に至っている。事業内容に変更がある場合は、そのつど変更内容について総務大臣に提出することになっており、それに従っている(立川社長)。
野村秀樹常務取締役兼営業本部長
野村秀樹常務取締役兼営業本部長
[記者] 延期ではないというが、通常の考え方であれば延期ではないのか?
[ドコモ] 遅れた遅れたとおっしゃるが、NTTドコモとしては延期などとは一言も言っていない。サービスの開始方法を変えただけで、遅らせたつもりはない(立川社長)。
[記者] FOMAが開始することによる事業への影響は?
[ドコモ] 現在の端末はかなり行き渡っており、新規加入者が音声通話やiモードを使う割合は減ってきている。つまりよく利用する人は、以前から使っているということだ。これはドコモに限らず世界的な傾向だ。FOMAは、(データ通信などを)よく使うユーザーがまず購入するわけで、FOMAユーザーが増えれば、ドコモ全体の事業収入はよくなると考えている(立川社長)。
[記者] ドコモの歴史には、FOMAはいつ始まったと書かれるのか?
[ドコモ] 歴史が証明することになるが、5月30日がFOMAサービスの開始日。そもそも社外の皆さんに使ってもらって、お金も取るわけで、いい加減なことはできない(立川社長)。

想定するユーザー、価格設定など

[記者] 試験サービス終了後は料金は変更されるのか?
[ドコモ] 料金については、試験サービスと基本的に同様の金額。もちろん、試験サービスが終われば定額(基本)料金は発生する。また、現行の携帯電話料金にいくつもプランが用意されているように、FOMAでも複数のプランを用意する(立川社長)。
[記者] 正式サービス開始時、端末の価格は店頭でいくらぐらいになるのか?
[ドコモ] 原価レベルでいうと、スタンダードでは製造コストが現行の携帯電話に比べ3~5割アップとなる。ビジュアル対応機ではさらに高くなるはず。データカードは現行のPHSのデータカードと同レベルだ。店頭価格はわからない(立川社長)。
[記者] どのようなユーザーを想定しているのか。
[ドコモ] 最初の利用者は法人ユーザーが多いと見ている。その理由は、FOMAは高速・広帯域が売り物であり、業務で利用してこそメリットが大きいため。ただ、システムを組む必要があり、導入に当たっては時間がかかるという返事をもらっている(立川社長)。
通話しながら在庫確認を行なっている例
発表会で流されたFOMAのプロモーションビデオによる、ビジネスシーンでの利用例。通話しながら在庫確認を行なっている例
[記者] 初年度15万人を目指すというが、例えば100万人が買おうとしたら買えるのか?
[ドコモ] ユーザーの要望があるなら、メーカーと協力して対応したいが、ネットワーク側で即応するのは難しい(津田常務)。
[記者] 試験ユーザーが4000人というのは少なすぎないか?
[ドコモ] この試験サービスでは、輻輳(※3)のテストを想定しているわけではない。iモードの問題(※4)の経験から、何か問題が起こらなければよいがということ。我々が想定しない使い方をするユーザーもいるのではないかと考えた。4000人は十分な数字だと考えている。公募の際には多様なユーザーから選びたい(津田常務)。
※3 輻輳(ふくそう):特定の交換設備に通信が集中することで、交換機の機能が低下する現象。

※4 ユーザーが急激に増加したことから、数回に渡って、数時間iモードが利用できなくなるという問題が発生した。

[記者] 試験サービスのユーザーはどのように選ぶのか?
[ドコモ] 法人および個人から公平に選んでいきたい(津田常務)。
[記者] 10月からは機種がさらに増えるのか?
[ドコモ] 今年度は15万人のユーザーを想定しており、それに見合うだけの端末を販売したい。機種が増えるかどうかはわからない(野村常務)。
[記者] メーカーには(試験サービスになることを)いつ伝えたのか?
[ドコモ] 本日伝えた。
[記者] 国際ローミングの細部仕様が3月に決定することは予想していたのか?
[ドコモ] 標準化作業というものは、1回で終わるものではない。どんどんバージョンアップしていくものだ。FOMAがこれまでより難しいのは、国際的なものになったことだ。決定には時間がかかる。標準化作業も細かい部分でまだ継続して行なっていて、3ヵ月ごとに出てきている。問題はどのバージョンまでを取り込むかということだ。

ドコモは3月の3GPPで、「こんなやり方では困る」と文句を言って各社のコンセンサスを得た。今後はバックワードコンパチブルを確保することになったので、変なものは出てこないだろう。そうでなければ、メーカーもキャリアーも両方が困ることになる(津田常務)。
TV電話機能を使う例
ビジネスシーンでの利用例その2。営業担当者が出先で専門的な質問を受けた際に、TV電話機能(64kデジタル通信)を使って直接担当者が顔を見ながら答える、という例
[記者] 64kデジタル通信の価格が通話の1.8倍というのは高いのではないか? 今後安くなるのか?
[ドコモ] FOMAの通話モードの帯域は12.2kbpsであり、単純に64kbpsの通信であれば5倍になるところを1.8倍に抑えた。パケットでは現行(0.3円)よりも1桁安い0.05円に抑えている。64kデジタル通信モードは、単に画像を配信するだけのものではなく、積極的にビジネスに使えるものとして売り込んでいきたいと考えている。そのときの価格としては割安であると考えているが、(値下げには)ユーザーの利便を考えて対応していきたい(立川社長、津田常務)。
試験サービスで提供されるFOMA端末
試験サービスで提供されるFOMA端末
[記者] どの端末が人気があると予想しているのか?
[ドコモ] これが公募のいいところ。公募による人気の様子を見て、本サービス開始時の参考にできる(立川社長)。

延期でないというが……

立川社長は、質問する記者が“延期”という言葉を使うたび(3、4人はいた)に、「延期ではない」と繰り返し、「このニュースを世界がどのように受け取ると思うか?」という問いには、「あなた方(記者)の書き方次第だ」と答えるなど、神経質ではないかと思えるほど“FOMAサービスは5月30日に開始”だとこだわった。iモードで何度も繰り返されたサービス停止や、最近の503i端末を巡る回収騒ぎを見れば、サービスの前に試験サービスを行なうというやり方は理解できる。これまでと違って、規格をドコモだけで決めているわけではなく、しかも世界初のサービスとなれば、なおさらだ。

しかしながら、公募するとはいえサービスを利用できるのが4000人限定では、競争率はかなり高いものになることが予想され、使いたいユーザーの多くは手に入れることはできないことは確実だ。「基本サービスは提供できる。料金もいただく」というが、数回のレポート(アンケート)が必須で、万一トラブルがあっても保証されないであろうから、意地悪な見方をすれば、お願いしてやってもらうべきテストをお金を取って行なうと言えなくもない。OSのベータ版のテストとどこが違うのだろうか。公募方法についても、「10日前後に公開する」としており、募集方法の詳細どころか、2週間程度先の発表日も決定していないのも気になるところだ。

個人的には、試験サービスはFOMAサービスのために必要だし、ユーザーのメリットにもなると理解できる。しかし、“世界で最初のサービスが日本からはじまるのか。どんなすごいサービスだろう。エリア限定でも価格が高くてもそんなにすごいなら利用してみたい”と期待しながら待っていたユーザーにとって見れば、やはり“サービスの延期”だろう。10月の正式サービス開始時に、試験サービスの経験やフィードバックから、よりよい形でサービスインすることを期待したい。

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