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Athlon-1.2GHzのオーバークロック性能を試す

2001年04月23日 22時13分更新

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●FSB設定クロック150MHzの目標達成なるか?

H.Oda!氏作のWCPUIDによる測定結果画像、FSB設定クロック150MHz

 根拠もなく適当かつ単なる希望として掲げた目標だが、FSB設定クロック150MHzでシステムが動き出した。BIOS画面に表示されるデーターも設定通りだ。しかし、メモリーには厳しいオーダーのはず、「最悪フリーズするかも」と覚悟をしたのだが無難にWindowsがスタンバイした。手始めにSuperπを立ち上げて104万桁を計算させてみる。初期値の計算から5秒おきに計算がクリアーされていった。ところが9回目のループを終了した時点でSuperπからエラーを告げられてしまった。おそらく他のテストでも無理があるだろうと思いつつも3DMark2000を試してみた。結果は当然のごとくヘリコプターが空中で停止してシステムが固まった。やはり厳しいセッティングでは無理があると判断しシステムをリセットした。先ほどのセッティングは「迷った上の選択」だったが、今度は躊躇なくメモリーのSDRAM CAS#Latencyを2.5として緩和させた。だが、他の設定項目は先ほどの動作状況から推察してこのままでも耐えられるのではないかと思い現状維持とした。再起動からテストを再開してみたところ至って安定している。結果的に課題のテストはエラーなしで完了した。加えてこれまでのセッティングで試した意地悪テストもクリアーできたのである。どうやら目標のFSB設定クロックは使えそうだ。



●多難のFSB設定クロック160MHz

 さて、次の課題は冒険的セッティングなのだが、システムの限界を突き詰めるためのテストとして実施した。ただしK7T266 ProはBIOSセットアップにおいて153MHzを超えるFSB設定クロックが設定できない。そこで次の方法によって最後のFSB設定クロックを実現した。

Fuzzy LogicIII

 まず、BIOSセットアップからFSB設定クロックは150MHzとし、CPU倍率を8.5倍に設定してWindowsを起動させる。後、K7T266 Pro付属のCD-ROMに納められたFuzzy LogicIIIを使ってWindows上からFSB設定クロックをマニュアル操作し160MHzとする。なお、Fuzzy LogicIIIは、FSB設定クロックを最高200MHzまで操作できるようだ。また、システムに適当な負荷をかけつつFSB設定クロックを自動的に1MHzステップでアップさせて動作限界を探るモードも備えている。



WCPUIDの測定結果画像、FSB設定クロック159MHz

 さて動作状況だが、やはりFSB設定クロック160MHzは厳しい。あらかじめFuzzy LogicIIIのAutoモードで限界値を探ってみたのだが153MHzを超えるとWindowsのエラーが表示された。当初はメインメモリーのアクセスタイミングやAGPバスに関する設定を遅くしたりしてみたが一向にFSB設定クロックが上がらない。「仕方がない、最後の切り札を出すか...」。結局、コアとDDR電圧を上昇させる最後の手段をとった。コア電圧をAutoから1.80Vに、DDR電圧は2.7Vにアップして再挑戦である。思った通りこれが効果絶大でようやく153MHzの壁を突破できた。Fuzzy LogicIIIは、FSB設定クロックを順次アップしてとうとう160MHzに達した。だが、その途端にシステムがフリーズしたのである。確かにこれ以上は、CPUの限界を含めてAGPバスクロックも動作未確認の域に達するわけだ、当然の結果だろう。筆者は、必然的に160MHzでのテストは無理と判断した。そこで今度はFuzzy LogicIIIのマニュアル操作でFSB設定クロックを159MHzにセットし、これまでと同じテストを実施した。最初にSuperπを所定の計算量でスタートさせてみたところ一回で無難に計算を完了。しかし次のテスト(3DMark2000)を走らせてみるとGame 2-Adventure High Detailのテスト中にシステムがフリーズした。色々と設定を変更しテストを繰り返した結果、3DMark2001とあわせて何とかスコアーを取得することができたのだが、正直なところ、このCPUとK7T266 Proに対してFSB設定クロック159MHzでの実用度はとても低いと言わざるを得ない印象を残した。



●ベータ版BIOSが公開された。はたしてベストセッティングは?

 上述のテストを実施するにあたって、K7T266 ProのBIOSバージョンは、購入時のVer.1.0でスタートしたのだが、編集部との連絡過程において「MSI-COMPUTER JAPAN のWebサイトにベータ版BIOS(Ver.1.0beta9)が入手可能で、パフォーマンスがアップしているらしい」との情報を得た。そこで急きょBIOSを変更してこれまでの成績と比較するためのテストデータを取得してみた。ただし、ベータ版BIOSにおけるFSB設定クロック159MHzのテストは、もとのBIOSと異なりWindowsは起動するのだが全てのテストで結果を出すことができなかった。また、BIOSの書き替えには、BIOSファイルに同梱されたf82713.exeを使用して臨もうとしたが、フラッシュROMにある元BIOSを取り込めなかった。もしかすると筆者の打つコマンド形式が間違っていたのかも知れないが、本来の正式版BIOSを持たない状況でアップデートすると元に戻せない。したがって十分な覚悟あるいは機材的な準備が必要だ。なお、それぞれのテスト結果は次のページにグラフで表してみた。ご覧の通り条件次第で160MHzに近い高FSB設定クロックでも不安定ながら動作することが判明した。さらにK7T266 Proに対してベータ版BIOSのパフォーマンスも上々で次期正式版BIOSのリリースに期待したい。結果的に筆者が定めた勝手な目標も達成できたのだが、K7T266 Proを使った限りではFSB設定クロック150MHz、CPU倍率9倍がこのCPU(システム)のベストセッティングかと思われる。このあたりはマザーボードやメモリーの性能にも左右されるだろうし、そのマッチングの良さが高FSB設定を可能にするキーワードと言えるだろう。

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