“マルチメディアにフォーカスしたCPU”の面目躍如
ベンチマークテスト
ここではいくつかのベンチマークテストを実施して、Pentium 4とAthlonのパフォーマンスを比較してみた。環境は下の表のとおり。同一のビデオカードに同一のHDDを使い、その他環境も統一して、CPU+プラットフォームの性能差がわかるようにしている。Athlonを利用できるプラットフォームは複数あるが、今回は現状もっとも高速なパフォーマンスを示すAMD-761で測定している。
WV32-CPU
編集部オリジナルのベンチマークテスト「WV32」で、整数演算(x86)/浮動小数点演算(x87)性能を測定した。Pentium 4はSSE/SSE2といったSIMD系演算のパフォーマンスにフォーカスして設計されているため、このようなベンチマークは苦手だ。Athlon-1.2GHzにも及ばない結果となっている。 |
Super π
東京大学金田研究室が開発した円周率計算プログラム。環境は1024×768ドット/32bitカラー/リフレッシュレート85Hz。104万桁の計算を、19回ループさせるのにかかった時間を掲載している。メモリ性能では勝るPentium 4だが、単純なx86/x87命令の演算は得意でないだけにAthlonに見劣った。 |
SYSmark 2000
BAPCo開発のベンチマーク。1024×768ドット/32bitカラー/85Hz。Adobe Photoshopなどクリエイティブ系アプリの性能を示す「Internet Content Creation」ではPentium 4も健闘を見せているが、Office 2000はじめビジネス系アプリの性能を示す「Office Productivity」では大きくAthlonに離された。 |
3DMark Ver1.1
Madonion.comの有名なベンチマークテスト。環境は1024×768ドット/16bitカラー/85Hz。ビデオカードのHardware T&Lを使わず、それぞれのCPUに最適化している。常にIntel系CPUが有利を保ってきたところをAthlonが1.33GHzで逆転したが、今回Pentium4が1.7GHzとなり再逆転した。 |
3DMark 2001
3DMark 2000の後継となる、Madonion.comの最新3Dベンチマークテスト。環境は1024×768ドット/32bitカラー/85Hz。Pentium4-1.7GHzが、わずかながら上回り意地を見せた。 |
MP3&MPEG4エンコード
MP3は、キヤノンが海外で販売してるMP3エンコーダソフト「e Jay MP3 Plus 1.3」で585MBのWAVファイルをMP3にエンコードするのにかかった時間。MPEG4は、Windows Media Encoder 7.0で、30秒間のAVIファイルをMPEG4にコンバートするのにかかった時間。ビデオのエンコードはPentium 4の得意分野だけに大差をつけた。 |
CPU | Pentium 4-1.5/1.7GHz | Athlon-1.33GHz | PentiumIII-1GHz |
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チップセット | i850 | AMD-761+VT82C686B | i815E |
マザーボード | Intel D850GB | Gigabyte GA-7DX | Intel D815EEA |
メモリ | PC800 RDRAM×2 256MB | PC2100 DDR SDRAM(CL=2.5) 256MB | PC133 SDRAM(CL=3) 128MB |
ビデオ | GeForce2 Ultra(64MB DDR) | GeForce2 Ultra(64MB DDR) | GeForce2 Ultra(64MB DDR) |
HDD | Seagate Barracuda ATA 100 | Seagate Barracuda ATA 100 | Seagate Barracuda ATA 100 |
OS | Windows Millennium Edition | Windows Millennium Edition | Windows Millennium Edition |
追加ドライバ等 | Intel Chipset Software Installation Utility v2.80.008、Intel UltraATA Storage Driver Ver6.0、DirectX 8.0a | AMD Miniport Driver Version 4.80、VIA IDE BusMaster Driver 2.1.50 、DirectX 8.0a | Intel Chipset Software Installation Utility v2.80.008、Intel UltraATA Storage Driver Ver6.0、DirectX 8.0a |
結果だが、やはりOfficeなど一般のアプリケーションではAthlonが良い成績を収めており、3Dやエンコード処理などでSSEなどSIMD系演算性能を利用するアプリケーションではPentium 4のほうが優秀という結果となっている。掲載はしていないが、SYSmarkのアプリケーションごとの数値を見ると、Pentium 4は特にWordやExcelでは、未だPentiumIII-1GHzを上回っていない。それにしても、ビジネス系アプリでのAthlonの高速さには驚くばかりだ。結局、基本的にはPentium 4-1.5GHz対Athlon-1.2GHzのときと同傾向。Pentium 4は5月末に2GHzに到達するというし、Athlonも1.4GHzがすでに出荷目前と聞くが、前者はプロセスルールの0.13μm化、後者はPalominoコアの採用と、秋以降にはさらに大きな変化を控えている。この最速競争からはまだまだ目が離せない。