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日本のeBook市場はマンガが火付け役に

2001年04月16日 21時16分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ASCII24では、本日行なわれたアドビシステムズ(株)と(株)イーブックイニシアティブジャパンのeBook事業に関する発表に伴い、米アドビシステムズ社製品マーケティングおよび開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏にお話を伺った。

Shantanu Narayenバイスプレジデント
米アドビシステムズ社製品マーケティングおよび開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏
[編集部(以下Q)] 「日本のeBook市場は米国に比べるとさほど普及していないが?」
[Narayen氏(以下N)] 「現在、ビジュアルリッチなコンテンツをいつでもどこでもどんなデバイスにも提供するという“ネットワークパブリッシング”という流れが世界中で起こっている。国によって状況は異なるが、米国ではハンドヘルドデバイスの普及によりこの現象が加速している。日本ではハンドヘルドデバイスももちろんだが、NTTドコモの成功により携帯電話の普及がすごい。ビジュアルリッチな情報をいつでもどこでも利用できるという点では日本がリーダーだろう。eBook事業自体は世界中で始まったばかりだ。今は各出版社がワークフローを見直し、eBook事業実現に向けてさまざまな実験をするべき時期だ。日本では特にコミックが火付け役となってeBook配信事業が促進するだろう」
[Q] 「PDFをeBookの標準フォーマットにするための課題は?」
[N] 「多くの出版社はAdobe製品を採用していると思う。コンテンツを制作、管理し発信するというAdobeの統合ソリューションにより、eBook事業展開はスムーズに進むだろう。例えばAdobe InDesignを利用していれば、作成したコンテンツをPDFファイルに変換できる。また先日発表したAcrobat 5.0によりPDFファイルをPalm端末向けに配信したり印刷したりすることが可能だ」
[N] 「ほとんどの出版社はPDFを利用することで付加価値を与えられると認識しているだろう。Acrobat Readerを利用しているユーザーは世界に1億人おり、事実上のスタンダードフォーマットだ。またオープンなスタンダードである。今後はソフトウェアベンダー、ハードウェアベンダー、デバイスベンダーなどさまざまなパートナーと組んで多様なPDFソリューションを提供したい。現在PDFはWindows、MacintoshやUNIX、Linuxなどで利用できる。次はPalmデバイスでの利用が必要となるだろう」
[Q] 「他社の電子書籍フォーマットに対するPDFの優位性は?」
[N] 「ビジュアルをたくさん入れられるファイルフォーマットは私たちのPDFだけだ。多くのフォントを備え、柔軟にコンテンツを表現できる。さらにプリントできることも大きな利点だ。使い勝手もいい。またさまざまなオーサリングツールにより各コンテンツをPDFに変換できることも重要だ。Acrobat Readerは電子文書を閲覧するための総合的なツール。Acrobat eBook Readerは電子書籍コンテンツを読みやすくするために設計した閲覧ツールだ。将来的にはこの2つを統合したツールを提供したい」
[Q] 「著作権管理についてはどうか?」
[N] 「いろいろなデバイスでコンテンツを管理できるツールキットをオプションとして出版社側に提供する。基本的にコンテンツの著作権管理は出版社側に任せており、例えば、デバイスを限定する、特定ユーザーのみ利用できるようにするといった設定が可能だ。これらのツールキットはContent Serverにあらかじめ用意されているが、リリース後も出版社側やエンドユーザー側からのフィードバックを元にオプションを追加していく計画だ」
[Q] 「イーブックイニシアティブジャパンのほかにContent Server採用を予定しているメーカーは?」
[N] 「現在10社がContent Serverの評価を行なっており、そのうち採用がほぼ決まっているのが4社。オンライン書店が最も多く、そのほか印刷会社やシステムインテグレーターも含まれている」

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