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TDK、MPEG-4準拠の映像配信システム『WonderStream』を発表

2001年04月12日 23時07分更新

文● 編集部 増田悦子

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ティーディーケイ(株)は12日、MPEG-4システムレイヤーに完全準拠したマルチメディア映像配信システム『WonderStream』(ワンダーストリーム)を発表した。5月7日に発売する。

斎藤専務取締役
概要を説明する専務取締役の斎藤 俊次郎氏

『WonderStream』は、イントラネットや特定地域のインターネットのブロードバンド化、特に1Mbps以下の帯域でのリアルタイム配信をターゲットにした製品。同社では、MPEG技術の中でも、1Mbps以下の帯域でもマルチメディアデータの配信が可能なMPEG-4に着目して製品化を図ったという。採用したMPEG-4システムレイヤーは、受信側で動画や静止画、音声、テキストなどを合成し、表示するための規格で、今回の製品は、イスラエルのオプティベース(Optibase)社と共同開発したという。

マルチオブジェクトの画面イメージ
マルチオブジェクトの画面イメージ。見たいオブジェクトをクリックすると、オブジェクトが入れ替わり左側に大きく表示される

『WonderStream』は、受信側で再構成できるマルチオブジェクト、インタラクティビティー、複数の動画を送信できるマルチチャンネル、配信ストリームのオンライン更新などが特徴。MPEG-4システムレイヤーの、動画や音声、静止画、テキスト、CGなどを織りまぜたコンテンツをリアルタイム配信できる機能を利用することで、従来では行なえなかった、動画のうえに動画を重ね合わせるといった合成が可能になる。例えば、ライブ放送中に関連情報を更新しながら視聴者に見せられるようになるため、ウェブ放送局や遠隔教育システム、遠隔監視システムなどで利用できるという。ウェブ放送局が野球の試合を放送する場合、スタンドからのグラウンドを映すライブカメラ、ベンチからグラウンドを映すカメラ、バッターを映すカメラを設置し、それぞれのカメラからの映像を同時に配信し、視聴者が画面上でクリックするだけで、好きな視点からの映像を楽しむことができる。また、遠隔教育システムとして利用する場合は、遠隔受講者は送られてくる講師の映像と同じ画面上に、教材やテキスト、資料などの関連映像を配置し、画面のボタンでタイムラグなしに教材やテキストを入れ替えられ、授業を受けられるという。

システム構成図
システム構成図

そのほか、MPEG-4システムレイヤー独自の技術として、リアルタイムでコンテンツを更新しながら配信できる機能がある。例えば、サーキットをライブ配信する際に、レース全体、あるコーナーでの映像、ドライバーの視点でのカメラの映像を配信しながら、ラップタイムなどの文字データを、画面上に表示するといったことも行なえる。

サーキットのイメージ(1)
サーキットのイメージ(1)。テキストコンテンツと動画、静止画が同時に表示されている
サーキットのイメージ(2)
サーキットのイメージ(2)

『WonderStream』は、『ライト版』と『プロ版』の2タイプが用意される。ライト版は、ライブチャンネルが1チャンネルで、動画1画面に対し、テキストおよび静止画面の合成が行なえる。価格は、1メインサーバー、1プレーヤー(1クライアント)のソフトウェアのみの最小構成で59万円。プロ版は、マルチライブに対応し、ユーザー設定で自由にシーンを記述できる。価格は、1メインサーバー/2ライブサーバー/1プレーヤーのソフトウェアのみの最小構成で361万円。発売は5月末の予定。オプションとして、10プレーヤーで8万円(1プレーヤーあたり8000円)などのメニューが用意されているが、それ以外の組み合わせについては、問い合わせとなる)。同社では、両タイプを合わせ、初年度120セットの販売を予定している。

同社は、『WonderStream』を、既にブロードバンド化が進んでいる企業や大学、研究機関、地方自治体向けの製品として位置づけており、直販と代理店販売の両方を行なう。なお当面は、パソコンへの配信のみを行なう方針で、将来、同技術のコア技術を携帯電話や情報端末への配信に利用するとしている。

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