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IPv6の未来

IPv6はやってくるのか!?その3

2001年06月12日 08時50分更新

文● 神戸道正、ネットワークマガジン編集部

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ダウンロード画面
画面 http://research.microsoft.com/msripv6/から、Windows 2000に対応したIPv6プロトコルスタックのβ版がダウンロードできる
 今回、IPv6に携わるいくつか代表的なベンダーやISPを紹介しているが(IPv6とは何か?参照)、これら以外にもIPv6への対応を行なっているベンダーは数多い。ISPでは、IIJやNTTコミュニケーションズ以外にも、NEC、KDDI、日本テレコムなどといったプロバイダが、それぞれIPv6ネットワークへの接続実験サービス提供を開始している。またハードウェアベンダーでは、日立製作所、NEC、ヤマハ、富士通、シスコシステムズ、松下電送システムなどがIPv6に対応した各種ルータなどをリリースしている。さらにOSでも、BSDやLinux、SolarisなどのUNIX系OSだけでなく、マイクロソフトがWindows 2000におけるβ版のプロトコルスタックを提供しており、次期Whistlerでは正式対応する予定になっている。

 このように、各ベンダーによる製品は、すでに製品化やサービスをスタートしている。しかし「安定稼働しているものはいじるな」という、IT部門の管理者としては鉄則とも言える法則からすると、移行を考えるのは、頭が痛い問題だ。だが、IPv6のネットワークは確実にやってくる。そしてIPv6が普及するうえで一番大きな可能性として考えられるのは、ゲーム機器や携帯電話などといった、これからIPネットワークへ対応していこうとしている端末によるものだ。

 たとえばプレイステーションでは、OSはゲームなどのディスクをロードする際に読み込まれる仕組みになっている。そして今後プレイステーションでは、FFシリーズなどのRPGで有名なスクウェアによる「Play Online」などのネットワーク事業が予定されている。これらのネットワークに対応したゲームにIPv6を実装することは、技術的に可能だ。

 また携帯電話に関しては、次世代携帯電話の3GPP(3rd Generation Partnership Project)で、2000年5月にIPv6の採用が決定している。これにより、2003年以降の次世代携帯電話では、IPv6ネットワークが誕生することになる。これらの端末は数が多く、突如として巨大なIPv6ネットワークが誕生する可能性のある分野だ。

 現状のIPv6は「大きな海(IPv4)に浮かぶ小さな島」である。この島を結ぶために、既存のリソースを使ってトンネリングやデュアルスタックといった移行方法が検討されている。しかし、これらの大きな市場に育っている端末がIPv6に対応すれば「海に浮かぶ大きな島」を越えて「IPv6の大きな海」が誕生することになる。



IPv6への移行図
図 IPv6への移行には、デュアルスタックやトランスレータなどいくつかの方法が考えられる。現在考えられる有力なシナリオとしては、PCに関してはメモリやHDDのリソースが潤沢なので、デュアルスタックの環境による同時アクセスが考えられる。また、携帯電話やゲーム機器など、最初から「マス」のメディアからはそれぞれIPv6ネットワークが生まれ、トンネリングによるIPv4ネットワークを使った相互通信や、トランスレータによる既存のリソースへのアクセスが考えられる

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