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ブロードバンドの屋台骨 「メトロ」を完全解剖

ダークファイバに灯をともせ!─テクノロジー編

2001年04月14日 05時41分更新

文● ネットワークマガジン編集部

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 DWDMはさまざまな伝送技術とともに用いられている。一般的には光ファイババックボーンの国際規格となっているSONET/SDHとともに用いられる「SONET over DWDM」という実装が多い。これはルートを二重化し、障害時に経路を切り替える「SONETリング」の仕組みとDWDMによる多重化技術を組み合わせることで、耐障害性の高い広帯域光ファイバ網を実現するものだ。その他、インターフェイスの違いによりATM over DWDMやEthernet over DWDMなどのスイッチがあるため、既存のインフラをDWDM装置と統合することもできる。このDWDM装置によりネットワークを構築すれば、1本のダークファイバを最大限に活用することができ、サービスプロバイダにとってもコスト対効果が大きくなる。実際、米国では光ファイバの芯線ではなく、DWDMによって多重化したチャネルをレンタルするリセラーも存在する。

 しかし、DWDM上にSONET/SDHやATMを載せる方法は、やはり既存のインフラの延命策に過ぎない。電話会社にとって既存の交換機やATMルータは重要な機器だが、すでに電気的なスイッチング性能と価格において限界がきている。その意味で、メトロの技術的に重要な点は、電気的なスイッチングから光ファイバや光学的な特性を利用した光スイッチングによる伝送方式に変えていくことであろう。実際、米AT&Tはすでに2000年からATMへの投資をやめ、光スイッチによるテラビット級ネットワーク網への移行をはかっている。

 また、その他の選択肢としてATMとTDMの特徴をかけあわせたDTM(Dynamic synchronous Transfer Mode)もある。これはスウェーデンが国策として進めているメトロ向けの伝送技術で、トラフィックの発生に対して動的にタイムスロットを割り当てるTDMの拡張版である。また、QoSを100%保証するため、音声や映像などマルチメディア配信に向いている。ネットインサイト(NetInsight)やダイナーク(Dynarc)といったベンダーが製品を出荷している。

WDM/DWDMによる伝送図
WDM/DWDMによる多重化。大きく分けて波長変換を行なった上で光を合成する送信部、減衰した光信号を増幅して長距離通信を可能にする中継部、多重化された光を受信し分派する受信部によって構成される。1つのチャンネルは20Gbpsや40Gbpsだが、多重化することで数Tbpsの高速化を実現できる

SONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronuos Digital Hierarchy

 光ファイバによる高速デジタル通信方式の国際規格で、通信事業者の基幹網バックボーンなどに用いられる。規格化されているのは通信の多重方法、フレームのフォーマットなどの物理層で、米ベルコアによって開発されたSONETがベースとなっている。なお、米国ではANSI(米国規格協会)によりSONETが、ヨーロッパではCCITT(国際電信電話諮問委員会)によりSDHがそれぞれ標準化されているが、一般にSONET/SDHと称される。両者は似ているが厳密には互換性はない。
 回線網はSONET/SDHノードと呼ばれる光伝送装置でSONETリングと呼ばれるリング状のネットワークとなっており、回線に障害が発生しても継続的にサービスを運用できる。速度の単位はOC-3(156Mbps)が基本で、多くの通信業者はOC-12(622Mbps)およびOC-48(2.48G bps)で幹線網を構築している。最近ではOC-192(10Gbps)をサポートする超高速ルータも登場している。

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