このページの本文へ

【東京ゲームショウ2001春 Vol.9】ビル・ゲイツ基調講演全記録

2001年04月02日 03時59分更新

文● 編集部 中西祥智

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(引き続き宮田敏幸氏が、日本での開発体制について語る)

Xbox事業部制作統括部長宮田敏幸氏
Xbox事業部制作統括部長宮田敏幸氏

【宮田敏幸氏】さて、次に2つ目の私の大きなミッション、日本での制作体制についてご説明します。実は去年の6月に私が入社した時には、制作統括部といっても私一人だったんですよ。そこからファミ通やB-ingに広告を出したりして、一人一人面接をして、来月4月の時点で70人ぐらいの組織になりました。で、タイトル数としては、現在、内部制作のチームが3ライン、それから外部の開発会社さんと一緒に制作しているチームが7ライン。合計10ラインが、企画もまとまって制作にとりかかっています。

とはいっても、最初のチームが開発を始めたのは、去年の10月末ですから、まだまだ日は浅いです。日本での制作ラインはどんどん増やしていきたいと思っていて、今年の年末には合計で20ぐらいのプロジェクトを立ち上げたいなというふうに思っています。制作統括部が作るタイトルはすべてオリジナルですから、Xboxの特性を生かして、なおかつ斬新じゃなきゃいけませんよね。もちろんオンラインゲームに特化したゲームも作っていきたいと思っています。

さて、話しばかりだと本当に作っているのかどうか信用してもらえませんので、1つデモをお見せしたいと思います。

(スクリーンに映像が浮びあがる)
プロジェクトKX
プロジェクトKX

社内で“プロジェクトKX”と呼んでいるプロトタイプをお見せします。これも開発機上で実際に動いているタイトルです。もちろん全世界で今日が初公開のデモンストレーションになります。

デモンストレーションのほうは、この担当プロデューサーのカネマル君のほうに、お願いしようと思います。

プロジェクトKX 松田優作に似ている
プロジェクトKX 松田優作に似ている

まずは画面を見ていてください。これは日本人のキャラクターですね。私はこの映像を初めて見た時、結構感動してしまいまして、時間を忘れて見とれてしまいました。んー、Xboxってすごいなあっていうのと、やっぱり日本人のクリエイターはすごいなあっていうのとね、2つすごく感心をしてしまいました。まるで映画のワンシーンを見てるようですよね。人物の生き生きとした躍動感のある動きを感じていただけるでしょうか。指先の動きや筋肉の表現、自然に映りこむシャドウとか、今までならハイエンドのCGムービーでしか実現しなかったような処理を、すべてリアルタイムに処理しています。

じゃ、次のキャラを。次はダークヒーローを見ていただきましょう。結構怖そうですよね。こんなやつが暗闇から現れたら結構ちびっちゃうかもしれないですね。そのわりにはその動きは酔拳なんですけども。ここで技術的なフィーチャーもちょっと見ていただきたいんですけれども、ちょっと映像を止めてみましょうか。これは先ほどのテックデモでも紹介されてましたけれども、バンプマッピングという手法を使っています。明かりを動かしてみると結構わかりやすいかもしれないですね。このキャラクタの表面に見えるこの細かい模様はすべて、そのバンプマッピングによって表現しています。こんなにきれいに表現できるゲームは、ゲーム機はXbox以外にはないと思いますよ。

プロジェクトKX マスクの質感がリアルだ
プロジェクトKX マスクの質感がリアルだ
プロジェクトKX
プロジェクトKX
プロジェクトKX 胸にXのマークがある
プロジェクトKX 胸にXのマークがある

さあ、次にですね、女の子のキャラも見てみましょう。女性らしい肌の質感も表現されていますよね。多分、多彩なワザをスピーディーに繰り出すキャラになるんじゃないかなあと思います。この女性キャラはですね、まだおとといできあがったばっかりなんですよね。

じゃあ、別のモーションも見てみましょうか。あ、映りましたね。なんと踊ってますよね。プロジェクトKXっていうのはダンスゲームだったんでしょうか。まあ、こんなような仕掛けも簡単にできてしまう、Xboxってすごいハードだなあというふうに思います。

さて、遊ぶ立場からすると、ゲームとして面白いかどうか、というのが一番大切ですよね。実はこのプロジェクトはドリームパブリッシングさんとマイクロソフトとで共同開発をしています。具体的にはキャラクターや背景のデザインは、マイクロソフトのデザイナーが担当しています。サウンドなどもマイクロソフトです。それ以外のゲームデザインや、プログラム、グラフィック制作などは、開発はドリームパブリッシングが担当しています。ドリームパブリッシングの代表の石井さんは『バーチャファイチャー』、『鉄拳』、『TOBAL』や『バウンサー』などを作った、世界一の格闘ゲームクリエイターですよね。その彼が格闘ゲームの正当進化版と位置付けて、開発をしてくれてます。Xboxと同時発売を考えていますので、期待してください。

それではデモは以上で終了いたします。

(映像が消える)

最後にひとこと、ぜひ申し上げたいのですが、私には夢があります。それは映画や文学、音楽、あらゆるエンターテイメントの超一流のクリエイターがタイトル作りに参加してくれることです。逆に学生のサークルも気軽に参加してほしいと思っています。そしてゲームを誰もが楽しめる、娯楽文化にすることがわたしの夢です。そのためにもっとも大切なこと、それは開発環境が整備されていて、作りやすいことなのです。

実は今申し上げたことは、プレイステーションで実現されていたことでした。音楽ゲームも生まれましたし、ゲームやろうぜという学生のプロジェクトも成功しました。ところがプレイステーション2に移ったときに、その大切なスピリットをどこかに置き忘れてしまったような気がします。

そのスピリットを受け継げるのは、僕はXboxじゃないかなと思うんですよね。そして私はそうしたいと考えて、Xboxに参加しています。オンラインのインフラが整備されれば、ますますグローバルなエンターテインメントとなるでしょう。Xboxというフォーマットを、皆さまと一緒に育てて、娯楽文化と国際交流のエポックマシーンにしたいと考えております。ぜひ、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン