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815EP Pro-R

815EP Pro-R

2001年03月29日 00時00分更新

文● 鈴木雅暢

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815EP Pro-R

MSI/エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン

オープンプライス(1万7000円前後)

MSIの「815EP Pro-R」は、チップセットにIntelのi815EPを登載したマザーボード。1MHz刻みのFSB設定などオーバークロック向きの機能はじめ、IDE RAID、4chオーディオ、USBネットワークなど、多彩な機能を満載したボリューム満点のマザーボードだ。

ボリューム満点のi815EPマザーボード
USB PC to PC Network機能も装備

 815EP Pro-Rは、MSIのi815EP搭載マザーボード。同社の現行ラインナップの中では主力的存在のメインストリーム向け製品である。i815EPは、i815Eのバリエーションモデル的な性格を持つチップセット。機能的にはi815Eから内蔵のビデオ機能を省いたもので、それ以外の違いはまったくない。

 本来メインストリームを担うはずだったi820が躓いたこともあり、ビデオカードの機能を統合した統合チップセットでありながら外部AGPもサポートするというどっちつかずのスペックで登場したi815Eだが、結局ボードメーカーもユーザーも、外部AGPを利用するメインストリーム向けチップセットとしてしか扱わなかったため、i815Eマザーボードを購入するユーザーは、GMCH(Graphics Memory Controller Hub)に統合されているビデオ機能を利用しないような人がほとんど。i815EPは、その状況を踏まえてビデオ機能を省き、無駄なコストを削減したものだ。新旧の差もあって、i815E搭載マザーとi815EP搭載マザーとの価格差は若干というレベルであるが、徐々にi815EPに置き換わり、価格も下がってくるだろう。

i815EPチップセットの核となる「FW82815EP」。ビデオ機能を統合しないため、GMCH(Graphics Memory Controller Hub)ではなくMCH(Memory Controller Hub)ということになる。

 さて、この815EP Pro-Rのスペックを見ていこう。拡張スロットの構成は豪華だ。ハイエンドワークステーション用に規格されたAGPの上位規格であるAGP Proスロットを搭載。AGPカードへの電源供給能力を強化したもので、この増えた電源供給には+12V系電流を必要とすることから、Pentium 4用マザーボード同様にATX12Vコネクタも装備した。PCIスロットは6本搭載し、もちろんすべてがバスマスタ動作可能。そのうちの1本と物理的スペースを共有する形で、CNRスロットも装備する。



4ch出力に対応したSigmatelのAC’97オーディオコーデック「STAC9708」。
 オンボードデバイスも充実している。まずは4ch出力に対応したAC'97オーディオコーデック「STAC9708」(Sigmatel)を実装、ICH2内蔵機能を活かした4chオーディオ出力を可能にしている。そして、PromiseのIDE RAIDコントローラチップ「PDC20265R」を実装しており、RAID 0(ストライピング)、RAID 1(ミラーリング)に対応する。このRAID機能に関しては、これを無効にするジャンパピンやBIOS設定は現状用意されていないが、これを搭載しない「815EP Pro」もラインナップされているので、RAID機能が不要な方はこちらを選べばいいだろう。



BIOS画面。FSBのほか、CPUコア電圧、I/O電圧もこの画面から変更可能だ。
 オーバークロック向けの機能も豊富だ。FSBは66~166MHzまで、1MHz刻みで設定可能。方式としてはMSI独特のBIOS上でキーボードから具体的な数値を入力するものだ。設定はFSBタイプ別に現れ、FSB100MHzのCPUを使用すると100~132MHzまで、FSB133MHzのCPUを使用すると133~166MHzまでの設定が行えるという形になる。このFSBタイプを任意に設定したい場合は、DIMMソケット脇にある「SW1」ジャンパで設定できる。オーバークロック用途で,FSB66MHzのCeleronのFSBタイプを100MHzと認識させたり,FSB100MHzのPentiumIIIをFSB133MHzのPentiumIIIとして認識させたい場合は、これを利用すればよい。また、CPUコア電圧、I/O電圧の変更もBIOS上で可能になっている。



CPUのFSBタイプを任意設定するためのジャンパ「SW1」。FSB100MHzのCPUをボードにはFSB133MHzと認識させることができる。
 815EP Pro-Rにはさらに、「USB PC to PC Network」というユニークな機能も搭載する(815EP Proには搭載しない)。これはUSBケーブルを使って他のPCとのピア・ツー・ピア通信を可能にするもの。ドライバは付属CD-ROMに入っているが、接続先のPCが本ボード(で構築したシステム)をルータ代わりに利用できるソフトウェアルータも付属している。これを使えば、本ボードの「USB PC to PC Network」経由で接続した他のPCから、社内ネットワークに接続したりインターネットに接続したりといったことが可能となる。製品版には、この機能を使用するのに便利な2タイプのUSBコネクタを持つブラケットとUSBケーブルも同梱する。



MSI製ボードではお馴染みとなったPOSTコード表示機能「D-LEDs」。
 このi815EP Pro-Rは、基本的には同社のi815Eマザーボードである「815E Pro」の基本設計を踏襲しているが、随所に改良を加え、メインストリームとしての性格をより強めた、ボリューム感のあるマザーボードに仕上がっている。i815EPマザーはi815Eマザーと同じ感覚で利用できるため扱いに気をつかうこともないだろう。わかりやすい日本語マニュアルも完備(一部ロットでは添付されていないが、日本法人であるエム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンのWebページからダウンロードできる)しているのもうれしいところだ。素直なPCを組んでみるも良し、豊富な機能を試して遊ぶも良し、入門者からマニア層までカバーする、オールラウンドな魅力を備えたマザーボードと言える。


製品名 815EP Pro-R
メーカー MSI
チップセット i815EP(Intel)
メモリソケット DIMM×4
拡張スロット AGP Pro×1、PCI×6、CNR×1(PCIと共用)
FSB設定クロック 66~166MHz(1MHz刻み、BIOS)
コア電圧 デフォルト+0.25V(0.05V刻み、BIOS)
I/O電圧 3.4、3.5、3.6V(BIOS)
クロックジェネレータ 94231AF(ICS)
ハードウェアモニタ W83627HF(Winbond)
BIOS AWARD
ボードサイズ 305(H)×210(W)mm
問い合わせ先 エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン
http://www.msi-computer.co.jp/

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