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【続報1】中古ゲーム販売、合法の理由

2001年03月27日 22時12分更新

文● Web企画室 伊藤咲子

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中古ゲーム販売は合法! 本日、東京高等裁判所(山下和明裁判長)で、中古ゲーム販売店をフランチャイズ展開する(株)上昇の主張を認める判決が言い渡された。控訴が棄却された(株)エニックスは、本日、直ちに最高裁判所へ上告した。

今回の訴訟は、上昇がエニックスを相手取り、“頒布権”(著作権法26条1項)に基づくゲーム中古販売の差止請求権がメーカー側にないことの確認を求めたもの。'99年5月の一審では、上昇の主張が認められている。

東京高裁は今回、「ゲームソフトは、“映画の著作物”に該当する」と一審判決と異なる判断を示しつつ、「ゲームソフト複製物に頒布権を認める根拠はない」と、結局メーカーの訴えを退けた。ここでは、判決文の要点を紹介する。

上昇取締役社長の金岡氏
上昇取締役社長の金岡勇均氏。今回の判決を受け、「非常に経営がしんどい販売店にとって光明」と喜びの表情

●“映画の著作物”であるが、商品特性や流通形態が異なる

まず、メーカー側が求めた“頒布権”とは何か。頒布権は、著作物の頒布先、頒布場所、頒布機関を規制できるという非常に強力な権利で、現在、これが認められているのは“映画の著作物”のみである。映画の配給制度は、この権利によって保護・保証されている

ではなぜ今回、「ゲームソフトが映画の著作物である」と認めたのに、ゲームソフトの複製物の頒布権を認めないのか。高裁は、頒布権の立法趣旨に着目した。

判決文によれば、その趣旨とは、(1)映画特有の流通制度である配給制度を保護・保証するということと、(2)配給制度の下で製作された少数のフイルムを多数の者が視聴する、すなわち1本1本の経済価値が非常に高いという点にあるという。これに対しゲームソフトは、流通する多数のコピー各々を少数の者が視聴するという流通形態や商品特性を持っており、頒布権の及ぶ著作物だと解釈できないという。

エニックス取締役社長の本多氏
エニックス取締役社長の本多圭司氏。本日、直ちに最高裁へ上告した(撮影:月刊アスキー編集部 中塚寛幸)

●巨額の作成費用がかかるのは、ゲームだけではない

さらに、頒布権の獲得のためメーカー側が提示したいくつかの根拠について、裁判所は以下のように答えている。

[メーカー] 巨額の制作費がかかるゲーム開発の実態を踏まえ、投資資本の回収の多くの機会を認めるべき
[裁判所] 著作物の作成に多大な費用を要するのはゲームソフトだけではないので、根拠にならない
[メーカー] 一度クリアしてしまえば、同一人物が繰り返しプレイすることが比較的すくない
[裁判所] 書籍やレコード等、他の著作物にも少なからず見受けられる傾向である。映画やゲーム特有のことではないから、根拠にならない
[メーカー] 中古市場が新品市場を圧迫している
[裁判所] 新品の購入費用が、中古品の売却代金によって調達されることも少なくない。新品と中古品の販売台数の比較のみで、ゲームソフト制作者が十分な対価を得られていないと判断できない

●著作権者への利益還元の議論

以上が主な判決理由であるが、なお、判決文の中で、著作権者への利益還元について考察を加える余地があるとも、示している。

音楽CDや書籍など、頒布権が認められていない著作物について、中古市場と新品市場が競合する状況が生まれた場合、現行の著作権法が規定する権利のみでは著作権者の保護は不十分という。その対応策として、「中古販売による利益を何らかの形で著作権者に還元する立法等の措置を講ずる必要があるという議論は、十分合理的に成立し得るもの」と、述べている。

ただし、これについても「頒布権を認めるべき根拠ではない」とし、「本件全証拠を検討しても見出すことができない」と結んだ。

なお、アメリカや韓国など、著作物の複製物の譲渡について頒布権を認めている国では、“ファーストセール・ドクトリン”(最初に合法的に販売された時点で著作権者が頒布を制限する権利は消尽する)が認められている。

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