22日~28日(ドイツ時間)まで開催中の世界最大の通信、IT関連のトレードショー“CeBIT 2001”において米AMD社は、次世代コア“Palomino”(パロミノ)ベースのAthlon-1GHzやモバイルAthlon-1GHz、現行の“Thunderbird”(サンダーバード)Athlon-1.533GHzをプレス向けに公開した。
デュアルプロセッサー構成で動作するPalominoベースのAthlon。コアの形がほぼ正方形になっている(Thunderbirdでは長方形) |
Palominoは、0.13μmプロセス技術ではなく0.18μmプロセス技術で製造されるが、アーキテクチャーやプロセス技術の進歩により、現行のAthlonが使っている“Thunderbird”(サンダーバード)コアよりも、「小さく(Smaller)、冷たく(Cooler)、速く(Faster)動作する」(AMD広報)というもの。
Athlon(Palomino)-900MHzを2基搭載するラックマウント型サーバー |
上のサーバーのシステム概要。チップセットはPalominoと同時期にAMDが投入するマルチプロセッサー対応の『AMD-760MP』。FSBは200MHzで、メモリーもDDR SDRAMではない。また、ビデオシステムが“Integrated”となっているが、これはオンボードということで、チップセット内蔵ということではないらしい(説明はなかった)。OSは『VA Linux』 |
今回配付された資料によると、モバイルAthlon(Palomino)は、128KBの1次キャッシュ、256KBの2次キャッシュ(いずれもコアと同速度)、FSBは200MHz、パッケージは462ピンのフリップチップPGAで、0.18μmプロセス技術(銅配線)で製造されるという。ただし、コア電圧や、Thunderbirdとの具体的な相違点については明らかにしていない。また、モバイルAthlon(Palomino)とAthlon(Palomino)の相違点についても、電力消費を抑えるテクノロジーである“PowerNow!”の有無や、AthlonではFSB 266MHzもサポートするといったことしか明かされなかった。
モバイルAthlon(Palomino)-1GHzが搭載されたAMDのリファレンスシステム。チップセットは台湾エイサー社の『ALiMAGIK1』。FSBは200MHz |
上のシステムが動作している画面。デモでは500MHz~1GHzで動作させていた |
AMDでは、このPalominoコアを、サーバー/ワークステーション向け、デスクトップPC向け、ノートパソコン向けという3つのカテゴリー向けに投入する計画。日本でも22日にThunderbirdコアを搭載したAthlon-1.3/1.33GHzが発表されたが、昨年までにAMDが公開したロードマップでは、Thunderbirdは1.2GHzまでで、それ以降は2001年第1四半期ぐらいのタイミングで、PalominoコアのデスクトップPC向けAthlonが登場するとしていた。
これはAthlon(Palomino)-1GHzデュアル構成のワークステーション。チップセットはAMD-760MPで、FSB266MHz |
Athlon(Thunderbird)-1.533GHzの動作デモが行なわれたマシン。提供時期については明らかにされていない |
上のマシンのシステム概要。Athlonのあとに(Palomino)とは入っていない |
これについてAMDでは、「Thunderbirdコアでまだまだクロックをあげる余裕がある」ためとしており、今回のPalominoのデモを行なった説明員も「Thunderbirdコアでも1.3/1.33GHzよりさらに高速化は可能」と述べ、Thunderbirdコアという1.533GHz動作のAthlonを見せてくれた。ただし、このAthlon(Thunderbird)-1.533GHzの提供時期は明らかにされていない。デスクトップPC向けAthlon(Palomino)については、今年の下半期に1.5GHz以上で提供するとしている。
こちらはAMDブースで一般に公開されていたドイツ日本電気のAthlon-1.33GHzパソコン『Power Mate DT』。チップセットはAMD-760で、PC2100 DDR SDRAMを採用している。このほかドイツの富士通シーメンス社もほぼ同様の構成のパソコンを展示していた |
AMDブースに展示されていたAthlon(Thunderbird)。こちらのコアの形はPalominoと違い長方形。後ろに見えるのは直径8インチのシリコンウェハー |