3月13日に、マイクロソフト(株)は、Windows XPに関するプレス向けの内覧会を開催し、Windows XP日本語版ベータ2のデモンストレーションを行なった。しかし、この時デモに使われたWindows XP日本語版のビルドは「Build 2428」であり、まだベータ2の段階に達していないものだったのが、まず不思議だった(各ニュースサイトでも、この時の発表によって「ベータ2」と報道しているのである)。
この内覧会の申し込みの案内状(ファクス)には「詳細な製品・技術情報、販売・マーケティング情報などは、現在発表できる段階ではない」と書いてある。その上、「評価用のCD-ROMなどの配布はございません」ともあった。その上、米国では新しいビルドが次々にリリースされているのに。さらに、内覧会での発表では、プレス向けのβ2の配布は4月下旬に予定しているというのである。
その時のプレゼンテーションに使われた資料の中の一枚が、次の画面である。
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この中に、「リナックスのモメンタムを駆逐」とある。この記述に疑問を持ったプレスの一人が、内覧会の最後のQ&Aセッションで、「Linuxに対してどのような脅威を感じているのか」と質問した。
さすがに製品マーケティング本部のWindows製品部の部長は「『駆逐』という言葉は、私の机の上の言葉であって、訂正をさせていただく」としたものの、「Linuxに対する脅威は非常に感じている」と認めている。その後の発言は、Microsoftが日本で、Linuxに対する姿勢をハッキリと示したものである。
「Linuxに対してどのような脅威を感じているのか」との質問に対して、「脅威は非常に感じている」としながらも、これはクライアントの領域において、Microsoftの製品における、エンドユーザーに対するさまざまなサポートの豊富さこそが、使い易さだと考えていることを強調した。
この豊富なサポートとは、「電話のサポートや初めてPCを購入したユーザーが、電源を入れてからアプリケーションをインストールし、使おうとしたときに必要な知識というのは、Microsoftが提供し、販売店が提供し、パートナーや、ソフトウェアメーカーや周辺機器メーカーやコンピュータメーカーなどが持っている知識を提供し、雑誌や書籍などを通して、ユーザーに提供される」ものであり、この部分こそが「エンドユーザーが感じる使い易さ」だと考えているという。
「Linuxは、いろいろな意味でのライセンスの新しい形態であったり、設計の新しさといったものを認めながらも、Microsoftが提供しようとしているエンドユーザーに対するサポートを、いかにうまくやるかという部分は、Linuxにないもの」だという。
そして、「ヘルプや開発の環境においても、常にLinuxよりも優秀なものを提供していく」考えだという。中でも、「サーバ側には特に多くの脅威がある」とし、インターネットを構築する際のサーバであっても、廉価版のサーバにおいて、Linuxがたくさん使われているという現状を認めている(対するMicrosoftは、「Webサーバに特化した、WindowsのWebサーバを計画中」との発表もあった)。
明らかに、「まだまだパーセンテージとしては、あまり大きくはないが、私たちはそれを「脅威」という言葉はあれですが、大きなコンペティターとして考えて」おり、それに対して「Microsoftが有利に展開できるための、開発キットやサポートなどを、いかにLinuxよりもよいものを提供していくかということを、パートナーと一緒に考え努力して行きたいと思っている」と、発表したのである。
さて、Windows XPはLinuxを「駆逐」できるのだろうか。
