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COOLSCAN IV ED/SUPER COOLSCAN 4000 ED

COOLSCAN IV ED/SUPER COOLSCAN 4000 ED

2001年03月24日 04時39分更新

文● 行正

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簡単操作で高品位のフィルム読み取り

Nikon Scan3のメイン画面。フィルム面のプレビューと、左にある情報ウィンドウがメインとなり、各種設定は「ツールパレット」と呼ばれるメニューのみの別ウィンドウ(左側)を利用する。

 スキャンソフトウェア「Nikon Scan3」では、フィルムを1コマ単位で指定(もしくは全コマ一括)してプリスキャンでき、明るさや彩度、各種画像補正、クリッピング範囲、Digital ICEの指定などをコマごとに設定可能だ。Nikon Scanの画面はグレーを中心に構成され、画面に表示される情報も必要最小限といったシンプルなデザインだが、メニューの各項目を選択すればサブメニューが表示され、詳細な設定が行える。露出やフォーカスの自動選択も可能なうえ、オートフォーカスするポイントも画面上で設定できる。反ったフィルムをスキャンしなくてはならない際に便利だろう。



インデックスプレビューを行うと、ストリップフィルムであれば6コマ分のプレビューが表示される。ここで各コマを選択すれば大きなプレビュー画面が表示されるし、インデックス表示から本スキャンを実行することも可能だ。左のツールパレットはいくつかのサブメニューを開いている状態。

 また、操作において特筆すべきは、現在のスキャン動作に関係なく、画面上で「プレビュー」や「スキャン」「インデックススキャン」などをどんどん実行できる点だろう。指定した作業はタスクとして溜まって、順次実行される。もちろんプレビューしてからでないと次に進めない作業もあるし、本スキャンなどの実行中はさすがに処理が重くなり、併行して別の作業をするのは少々難しいのだが、あらかじめ複数の処理を指定してから実行させるのではなく、スキャン処理などを実行中にも次々と処理を追加できるのは非常に便利だ。

 実際のスキャン処理においては、IV EDでは6コマのストリップのインデックスプレビュースキャンが約14秒、1コマのプレビュースキャンならば約12秒。本スキャンにおいても2900dpiで約47秒と、非常に高速だ。同じ条件でDigital ICEをかけた場合には、ごみ&キズ検出のための赤外線によるスキャンや補正処理が必要となるため、スキャン時間は約2分27秒と、約3倍の時間がかかった。



今回のスキャンサンプル(35mmフィルム)。2900dpiでスキャンしたものを420×640ドットに縮小した画像。

 4000 EDでも同様の設定でスキャンを行ってみたが、2900dpiでのスキャンでは1分16秒と、IV EDよりも時間がかかってしまった。これはスキャンの指定がハードウェアの基本となる解像度と異なるために、余計にステッピング(読み取り時のセンサ移動)がかかったものと考えられる。CCDの基本解像度である4000dpiでは、Digital ICEなしの場合は1分12秒となかなかの高速な読み取り結果となった。ただし、4000dpiでDigital ICEを効かせたスキャンでは、4分41秒とやはり3倍以上の時間がかかっている。



COOLSCAN IV EDのスキャン結果。2900dpiでスキャンした画像の100%。上のスキャンサンプルにおける左下の部分。Digital ICEはONにしてゴミの補正を行っている。

 なお、両機種ともDigital ROCやDigital GEMなどの補正をかけると、Digital ICEをかけた場合よりもさらに2~3倍程度の時間がかかった。これは実際のスキャンの後に画像解析および画像処理に時間が取られているためだが、より高速なマシンを利用すればもう少しは短縮できそうだ(テストマシン:PentiumIII-700MHz、メモリ192MB)。



SUPER COOLSCAN 4000 EDのスキャン結果。4000dpiでスキャンした画像の100%。IV EDのスキャン結果と同様の個所の100%データ。左はDigital ICEをOFFで、右はDigital ICEによる補正をかけたスキャン結果。

 スキャン結果の画像は十分に満足できるもので、フィルム面に対するフォーカスもクリアなものとなっている。とくに、4000 EDのほうはフィルムの粒状性が気になるほどのクオリティだ。Digital ICEに関しては、きれいにゴミが消えるうえ、ゴミの下にあった画像もかなり自然に補完されている。
 ちなみに35mmフィルム1コマを4000dpiでスキャンした場合は5700×3750ドット(21MB)に、2900dpiの場合は4100×2700ドット(10MB)程度となる。



銀塩カメラユーザーならばぜひとも欲しくなる機器

 デジタルカメラの普及とともに、銀塩カメラの市場シェア自体は縮小しつつあるそうだ。そういったユーザー数の減少を受けてか、フィルムスキャナの新製品も大きく減ってしまい、現在ではプロ向け製品を除けば日本HPの「PhotoSmart S20」やミノルタ「Dimage Scanシリーズ」、キヤノン「CanoScan FS2710」などが残る程度だ。
 銀塩カメラの市場は縮小傾向にあるとはいえ、それゆえにいっそうハイアマチュア化が進んでいるようだ。そういったハイアマチュアやプロの銀塩カメラユーザーにとっては、写真をできるだけ高画質にデジタル化したいというニーズは明らかに存在し、手頃な価格でなるべく高解像度のフィルムスキャナが望まれていた。
 IV ED/4000 EDは、銀塩カメラユーザーに知名度の高い“ニッコール”EDレンズを採用して自動ごみ&キズ補正機能を搭載するなど魅力は高い。連続スキャンにも対応する4000 EDはどちらかといえばプロユースであり、価格もIV EDの2倍強と、かなり高めに設定されているものの、10万円を切るIV EDはアマチュアレベルでも手の届く価格に抑えられているのは非常に嬉しい限りだ。
 従来からの銀塩カメラユーザーにとっては、一眼レフタイプのデジタルカメラ(つまりニコン「D1X」やキヤノン「EOS D30」など)を購入するか、COOLSCANを導入するかで悩むところだが、活かしたい撮影済みのフィルム資産があるのならば導入をお勧めする製品だ。

主な仕様 COOLSCAN IV ED SUPER COOLSCAN 4000 ED
撮像素子 2870画素リニアCCD 3964画素リニアCCD
解像度 2900dpi 4000dpi
階調表現力 入力12bit、出力8/16bit 入力14bit、出力8/16bit
インターフェイス USB IEEE1394
本体サイズ 約93(W)×315(D)×169(H)mm
重量 約3kg
対応OS Window 98 SE/Me/2000、Mac OS 8.6以降
価格 9万8000円 19万8000円

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