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FV20

FV20

2001年03月23日 00時00分更新

文● 伊藤裕也

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豊富な長時間記録モードを搭載
3倍の記録時間を実現するELPモード

 FV20の最大の特徴は、なんといっても「豊富に用意された長時間記録モード」に尽きる。通常の「SP」モードの1.5倍の記録時間をサポートする「LP」モードに加え、「ESP」「ELP」という2つの長時間記録モードを搭載している。これらの搭載は、キヤノンによればデジタルビデオカメラでは初の対応だという。ESP/ELPモードは、ともにDVフォーマットで規定されている(素性のたしかな)記録モードで、SP/LPモードに対してそれぞれ2倍の記録時間を実現できる。つまり、ESPモードではSPモードに対して2倍の、ELPモードの場合は3倍もの時間の記録に対応する。たとえば、80分仕様のDVC(デジタルビデオカセット)にESPモードで記録すると160分、ELPモードで記録する場合は240分もの映像を収録できるようになる。DVCは時間あたりのコストが高い(60分のメディアで850円前後が相場)だけに、これはかなりおいしい話だ。長時間にわたる撮影を必要とする状況――たとえば、研修会や講演会といったイベントのログの作成など――には重宝するだろう。

データを記録するトラックの幅を狭くして1.5倍記録を実現する「LPモード」に対し、「ESPモード」では映像の1フレームを構成するデータ量を1/2にすることで2倍記録を実現する。これらを併用して、1.5×2=3倍記録を実現するのが「ELPモード」だ。
 ただし、ESP/ELPモードを使用するにあたり、注意しなければならないポイントが2つある。ひとつめは撮影した映像の質感、つまり画質について。ESP/ELPモードでは映像の圧縮率をSP/LPモードの1/5から1/10に引き上げることで1フレームに必要なトラック数を減らし、DVCに記録する時間を稼いでいる。このため、ESP/ELPモードで記録した映像は(SP/LPモードで記録した映像と比較すると)描写が甘く、また、色の再現性も落ちることになる。映像の質感を大事にする場合は、SP/LPモードでの記録がベストだ。

 下には、SPモード(通常)とELPモード(3倍)のサンプルを掲載した。ELPモードの映像は、PCで直接扱う手段がなかったため、FV20からのアナログ出力をソニーのメディアコンバータ「DVMC-DA2」でDVデータに変換し、そのデータをDV Raptorでキャプチャすることで画像を得ている。また、SPモードは、ELPと同様のアナログ経由、そしてIEEE1394接続によるデジタルキャプチャの両方を掲載した。このように並べて比較すると、一目見ただけで画質にかなりの開きがあることがわかる。具体的には、FV20によるELPモードの映像はSPモードの映像に対して絵のディテールが甘く、寝ぼけた感じになってしまう。また、発色も全体的に淡白で、深みがなくなる。サンプルの木の幹の重なり具合や枯草の発色で、特によく確認できるだろう。この画質の差をどのように判断するかが、ESP/ELPモードを使ううえでのポイントとなるだろう。


SPモードとELPモードの画質比較
SP SP(アナログ経由) ELP(アナログ経由)
SCENE 1
SCENE 2

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