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アクセス、複数の規格に対応した携帯電話機用ブラウザーを発表

2001年03月19日 18時59分更新

文● 編集部 今井睦俊

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(株)アクセスは19日、東京証券会館で記者説明会を開催し、2000年度(2000年2月~2001年1月)の決算と、携帯電話機向けの新型ブラウザー『Compact NetFront Plus』を発表した。同説明会には、同社の荒川亨代表取締役社長、副社長の鎌田富久取締役、経営企画室長の室伏伸哉取締役が出席した。

記者発表に登場した取締役3名
左から副社長の鎌田富久取締役、荒川亨代表取締役社長、経営企画室長の室伏伸哉取締役

決算は先行投資で赤字が拡大

まず、最初に荒川社長から2001年1月期の決算内容について説明があった。これによると、単独ベースでは、売上が前年比67.5%増の25億1900万円、営業利益と経常利益がそれぞれ4億4900万円の赤字と4億5900万円の赤字となった。また、当期純利益は、前年の1億8400円から4億9800万円に拡大した。荒川社長は、売上の大幅増に反する赤字幅の拡大について、「市場規模の拡大に対応した人件費や研究開発への先行投資」によるもので、「外部リソースの活用などにより企業体質を変えることで、2~3年後には単体ベースで黒字に転換したい」と述べた。一方、連結ベースでは、売上高が前年比68.1%増の25億2900万円、営業利益と経常利益が5億8300万円の赤字と6億9800万円の赤字で、当期利益が7億3700万円の赤字であった。同社は、2000年度に連結子会社として、ASP事業会社の“株式会社アクセス・クロッシング”、同社製ソフトの販売代理店“アイティアクセス株式会社”を設立している。

ブラウザーの新バージョンは各種の規格に対応

ブラウザーのデモ画面パソコン画面で表示した同ブラウザーの機能のデモ。HTMLベースのコンテンツからWMLベースのコンテンツにリンクが張られていても、ソフトの切替なしにスムーズにジャンプできるという

次に、荒川社長が新型ブラウザー『Compact NetFront Plus』の概要を説明した後、鎌田副社長が仕様や特徴などの詳細について解説を行なった。同ブラウザーは、iモード対応の携帯電話機のブラウザーとして採用された『Compact NetFront』の最新版。閲覧可能な記述言語として、従来の“Compact HTML”に加え、WAP標準で採用された“WML 1.3”、新標準規格の“XHTML”のサブセット版“XHTML Basic”をサポートした。このため、HTMLベースのコンテンツ(iモードなど)と、WMLベースのコンテンツ(EZwebなど)を、1種類のブラウザーで切替えなしに閲覧できるという。また、インターネット標準のTCP/IPを使い、エンドツーエンドで通信できるため、WAPゲートウェイのようなプロトコル変換サーバーが不要になり、携帯電話サービス事業者は設備/運営コストを削減できるとしている。さらに、SSLによる暗号通信が可能なため、コンテンツプロバイダーは、携帯電話機とコンテンツサーバーとの通信のセキュリティーを確保できるという。

複数の規格に対応
TCP/IPを用いてエンドツーエンドで通信するため、WMLで記述されたコンテンツも、従来方式(スライドの上部)のようにプロキシーサーバーでWAPに変換することなく同ブラウザーで閲覧できるという

動作環境は、5~15MIPSの処理性能を持つCPU、300KBのROM、150KBのメモリーを搭載した携帯電話機。表示可能な画像ファイルとして、GIF/アニメーションGIFに対応し、オプションでPNG/JPEGをサポート。現行の2.5世代(GPRS/CDMA)から次世代(3世代)までの携帯電話機に対応するため、コンテンツサーバーの変更なしに次世代向けのコンテンツサービスを開始できるとしている。製品の出荷開始時期は、メーカー向けの“Early Access版”が5~7月、製品版が11月~2002年1月を予定している。

Javaアプレットの実行/表示も可能
同社の携帯電話機用Javaバーチャルマシン『JV-Lite2 Wireless Edition』と併用することで、Javaアプレットも実行/表示できるという

なお、同社は、携帯電話機/情報家電向けの組込み型インターネットソフトの開発会社で、2月26日に東証マザーズに上場した。また、XHTML Basicの仕様策定では“Co-Editor”を、WAPフォーラムの“WAP 2.0”の仕様策定ではコンテンツ記述言語の“Editor”を務めている。

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