Nvidiaの最大のライバルと目されるATI Technologies。ハイエンドビデオチップでは、Nvidiaが一足先に「GeForce3」を発表したのに対し、ATIの次期主力チップはまだ姿は見せていない。しかし、実売2万円を切るボリュームゾーン、GeForce2 MX搭載カードが勢力を伸ばしている分野では、ATIがまさに待ったをかけようとしている。それが今回紹介する「RADEON VE」だ。
ハードウェアT&Lは未搭載
ベンチマークテストではMXに後塵
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コアクロックが183MHz(RADEONは200MHz)に抑えられているためか、ファンレスで比較的小型のヒートシンクのみという「RADEON VE」の評価カード。 |
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出力端子はRGBとDVI-I、TV(付属ケーブルでコンポジット端子に変換)の3つ。 |
発売元のATIテクノロジーズジャパンに確認したところ、RADEON VEのパッケージ製品は写真のTV出力&DVI-I端子付きの1種類のみだが、OEM製品としてPCI版やメモリ16MB/32MB/64MBモデルなどが存在するとのこと。
では、ビデオチップ“RADEON VE”の素性を確かめていこう。ATI初のハードウェアT&L内蔵2D/3Dビデオチップ「RADEON」の低価格普及版である「RADEON VE」。RADEONとの違いは、
- ハードウェアT&L「Charisma Engine」を未搭載
- レンダリングエンジンを1つ、テクスチャユニット3つに縮小
- DDR SDRAMを搭載した場合、メモリバスが64bitに制限(通常のSDRAMやSGRAMでは128bitバス)
- 動作クロックをコア183MHz、メモリ183MHz(DDRで366MHz相当)に抑制
という4つが挙げられる。
ライバルのGeForce2 MXがハードウェアT&Lを載せているのに較べると(1)が大きく見劣りするようだが、まだまだハードウェアT&Lを要求するソフト(ゲーム)は多くないのでさほど気にする必要はない。(3)の制限はGeForce2 MXでも共通だ。むしろ、気になるのが(2)で、これはRADEONのちょうど半分という仕様である。
実際、ベンチマークテストでも解像度を上げ、さらにフルカラーモードにするとDirectX/OpenGLとも、大きくスコアを落としてしまう。同じ環境で計測したGeForce2 MXより約26%低い結果だ。ゲームがまったくプレイできない、というレベルではないが“3Dゲームを楽しむ”という目的だけを考えるとGeForce2 MXのほうが適しているだろう。
なお、以下のベンチマークテストの環境は次のとおり。
- マザーボード:ASUSTeK「CUSL2」
- CPU:PentiumIII-800EBMHz
- メモリ:SDRAM128MB(PC133)
- OS:Windows Millennium Edition
- Direct3Dテスト:3DMark 2000 V1.1
- OpenGLテスト:QUAKE III Arena DEMO(DEMO1)