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パソコンと接続できる天体望遠鏡が登場

2001年03月15日 21時29分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)ミックインターナショナルは15日、世界最大手の天体望遠鏡メーカーである米Meade Instruments社製の天体望遠鏡『ミードETX-70AT』を4月1日に発売すると発表した。販売元は(株)樫村。

70AT-1自動で星の位置を検出し追尾する機能を搭載した天体望遠鏡『ミードEXT-70AT』と付属のオートスター用コントローラー

EXT-70ATは、本体サイズが幅40.4×奥行き18×高さ22cm、重量約3kgと従来の天体望遠鏡に比べて小型/軽量で、どこへでも容易に持ち運べるのが特徴。対物レンズは新設計のマルチコートアクロマートレンズを採用、口径70mmで焦点距離は350mm(口径比はF5)。従来製品よりも焦点距離が短いため天体だけでなく地上風景も見やすくなっているという。

ただし、鏡像は左右が逆像となる(上下は正立)。ほとんどの天体望遠鏡は、淡い光の天体を眺めるために光の損失を最小限に抑えらるようレンズ構成をシンプルにし、その結果鏡像が、天地が逆になった倒立像となる。EXT-70ATは天頂付近の天体を無理なく見られるよう、対物レンズからの光を切り替えるフリップミラーを内蔵し、倒立像の上下が入れ替わった左右逆の鏡像となるという。

また、天体自動導入システム『オートスター』を標準装備しているのも特徴。オートスターは、星の動きを追いかける自動追尾機能や、星の位置を探索するオートサーチ機能を搭載したシステムで、付属の専用コントローラーを使って操作する。例えば木星を見たいとき、コントローラーで“木星”と指定すると、EXT-70ATがデータベース内の木星情報とそのときの日付、時間などを演算処理し、木星の現在位置を検出して自動的にその方向にレンズを向け、ユーザーがアイピース(接眼レンズ)を覗くと木星の像を確認できるという仕組み。

初期設定は、本体電源を入れ、その日の日付と時刻を設定する。その後レンズを真北に向けてコントローラーのEnterキーを押すと、オートスターがアライメントを行なうのに最適な基準星(シリウスなど、日時によって星は異なる)を計算し、基準星の位置にレンズを自動で向けて視野内に導入する。導入するとアライメントが完了し、天体を選んで自動的に導入できるようになる。

オートスターには、上記のような天体の自動追尾を行なう“天体モード”や、地上の風景を見るための“地上モード”、今夜のおすすめ天体を教えてくれる“ガイドツアーモード”など、25種類以上のコマンドが用意されている。本体に、鏡筒を上下に動かす軸を固定する上下ロックと、鏡筒を水平に回転させる軸を固定する水平ロックを装備しており、オートスターを利用する場合は両方ともロックして、コントローラーで操作する。

EXT-70ATはフラッシュROMを内蔵しており、オートスターのプログラムや1400個分の天体データベースはROMの中に書き込まれている。インターネット上の専用ウェブサイトから最新プログラムを入手することも可能で、人工衛星や彗星などを見たい場合は、その軌道要素を収録した最新データをダウンロードしてデータベースに追加できる。

電源は単3電池×6個で、連続20時間駆動可能。4月1日発売で、価格はオープンプライス、推定小売価格は4万9800円。

70AT-2
小型で軽量。写真となりのコーヒーカップと比べると大体のサイズがおわかりいただけると思う。大きさは家庭用電気ポットレベルで、非力な記者でも容易に持ち運び可能

さらに、専用オプションとして、パソコンとEXT-70ATをつなぐための制御ソフト『ETX/LXナビゲーター』も同時発売する。EXT-70AT本体に装備するAUXポートと、パソコンのRS232Cポート(D-sub 9ピン)を付属の専用ケーブルで接続することで、パソコン画面上のETX/LXナビゲーターからEXT-70ATを操作できる。

ナビゲーターがその日のおすすめ天体を一覧表示し、その中から任意の天体をクリックすると、EXT-70ATがその天体の位置する方向に自動的にレンズを向け、その天体を観測できる。おすすめ天体の表示のほか、天体の名前や種類、星座などから選択することも可能。また、市販の天体ソフトでオートスターコマンドに対応しているものであれば同様に利用できるという。ETX/LXナビゲーターはWindows 98/Me対応で、Internet Explorer 4.02以降が必要。価格は2万円。

そのほかのオプションとして、市販のデジタルカメラをETX-70ATに取り付けるための『デジタルアダプター#1300』(価格1万2000円)、35ミリ版一眼レフカメラを取り付けるための『カメラアダプター#64ST』(価格6000円、メーカー別Tマウントが2000円)、鏡像を上下左右とも正立像にする『地上用プリズム#933』(価格1万5000円)、交換用アイピース(6.4mm/12.4mm/32mm/40mm、各1万2500円)が用意される。デジタルアダプターを利用すれば、デジタルカメラで天体撮影が行なえるほか、デジタルカメラの液晶画面を通して、複数人が天体望遠鏡の鏡像を見ることが可能。

本日都内ホテルで行なわれた発表会で、ミックインターナショナルの福田光弘代表取締役は、「ミードシリーズはコンピュータ制御の天体望遠鏡であり、目標の星の位置を自動的に検出しそちらの方向に向くことが特徴。ETX-70ATは今までの製品とは違った形で、小さくてポータブルだ。自動導入システム『オートスター』も標準装備する。また使用素材や製造工程などでコストダウンを図り低価格を実現した。天体望遠鏡ユーザーの8~9割は男性。女性は星が好きな人は多いが、従来の天体望遠鏡は女性には重いし使いにくかった。EXT-70ATは女性や子供でも簡単に扱えるだろう。また、パソコンユーザーにも使ってほしい。パソコンの周辺機器の1つにもなり得るのではないか」としている。

販売元の樫村は、EXT-70ATを従来の天体望遠鏡専門店のほか、カメラ量販店や家電量販店でも販売するとしている。また、3月23日から東京ビッグサイトで開催される“フォトエキスポ2001 写真・映像用品ショー”にEXT-70ATを出展するという。

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