i2テクノロジーズ・ジャパン(株)(以下i2)は14日、中根滋氏が15日付けで新代表取締役会長兼社長、CEOに就任すると発表した。
同氏は、SAPジャパン(株)の代表取締役社長、プライスウォータークーパースコンサルタント(株)(以下PWC)の常務取締役マネージングパートナーを務めてきた経験を持つ「ミスターERP」(PWCの倉重英樹代表取締役)だ。
会長兼社長、CEOに就任する中根滋氏 |
PWCのパートナーからi2の代表取締役が生まれたことで、i2とPWCとの協力関係をこれまでより一層強化していくという。
「80パーセントをカスタマーが利益を得られる部分に投資すべき」
新CEOを発表した席で、米i2 TechnologiesのCEO Sanjiv Sidhu(サンジブ・シドゥ)氏は、「現在、IT投資の80パーセントはカスタマーに何の利益ももたらさない部分に投資されている。これから先は、本当の効率を得られる部分に投資すべきだ。80パーセントをカスタマーが利益を得られる部分に投資すべき」と、ERPではなく、SRM(Supplier Relationship Management)やSCM(Supply Chain Management)、CRM(Customer Relationship Management)にこそ投資すべきであると語った。
米i2のCEO、Sanjiv Sidhu氏 |
同氏は、「SRMやSCM、SRMは、すべての参加者に可視性(“visibility”)を与える。スピードを意味する“velocity”。この2つの“v”が揃うと3つ目のv、“value”が生まれる。i2には、SRM、SCM、CRMのすべてが揃っている」と、同社のラインナップをアピールした。
「i2のミッションは、2005年までに顧客に750億ドル(約9兆円)の価値を提供していくことだ。今後3年間で10億ドル(約1200億円)を研究開発に投資する予定だ。日本は昨年売り上げ100パーセント増を達成した。現在140人いる従業員を1年以内に300人体制にする」と、戦略を語った。
「強い部分をてこに日本のよさを築いていく」
中根氏は、PWCでコンサルティングした企業のトップから次のようによく言われたという。
「私にだってわかるよ。やらなければいけないことは分かっている。でも弱さはそう簡単には直らない」
そこから同氏は、「強さをてこにして、日本のよさを築いていくことが重要とわかった」という。そしてi2では、「強さを倍化していくソリューションを提供したい」と述べた。
まずERPありきは誤解?
Sidhu氏は、「まず基礎にERPが必要だというのは誤解だ。たとえば、米Dell ComputerはSRM、SCMとレガシーシステムをEAIで接続している」と、ERPを抜かしてSCMに取り組むのは間違ったことではないと説明した。
PWCの倉持氏も、「フルERPの実装には4年かかる。SCMまでだと10年かかる。その遅れはどうするんだと(中根氏と)話し合った。使えるものを使い、足りないものをつないでいくほうが、スピードをもって対応していけるという考えかたでいいのではないだろうか」と語った。
さらに中根氏が、「ERPが過去のキーワードになった米国で今何を入れているか? それは、SRM、SCM、CRM、EIPがほとんどだ」と付け加えた。
米国の景気減速や日本の株式市場の低迷から投資が冷え込むのではないかという質問に対して同氏は、「総花的な投資は終わった。ここをやればという対象を絞り込んだ局所的なプロジェクトはどんどん出てくると思う」と、会見を締めくくった。