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【Do Linux!に迫る】(その12) これがLinux業界だ!

2001年03月12日 06時29分更新

文● 吉川

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Do Linux!ロゴ

【Do Linuxに迫る】その12では、引き続き前回のインタビューのもようをお届けする。今回はLinux業界の現状について話された部分を抜粋してみた。
講師の大鳥氏は長年IT業界に身を置いている方だし、安藤氏、伊藤氏はいずれもDo Linux!からLinux業界に入っていった方だ。業界のベテランとDo Linux!修業生という2つの視点から、Linux業界の実際を感じ取っていただきたい。



お話をおうかがいした方々

大鳥信弘氏
Cのプログラマから営業、そしてRHCEの講師へ。テンアートニのRHCEコースを全般的に担当する。
安藤葉子氏
Do Linux!を修了後、テンアートニにてDo Linux!初心者コース(詳細は「その9―Linux技術者への足がかり Do Linux!入門コーススタート」を参照)の講師として勤務。
伊藤氏
Do Linux!卒業生。現在日本SGI(株)に勤務し、Linuxビジネス推進に関わっている。

インタビュー:「静かに燃えるストーブの周りでガソリン缶を抱えて待機」

[日刊アスキー] Linux業界というのは、今どういった状態にあるのでしょうか?
[大鳥氏] Linuxの最先端は、やはり米国だと思います。米国では、Linuxがたいへん注目されていますし、今後も成長が見込めると思います。LinuxWorldでも、「Linux技術者募集」という看板が出ていたそうなので、とても有望視されていると思います。ただ、日本の場合は「長いものには巻かれろ」的な風土もあり、相変わらずMicrosoftの市場が大きいと思いますね。
国内企業は、どこも大型Linux案件対応のため人材募集中という状況でしょうけれど、本音は人材不足である以上に、後ろ盾がほしいという状況でしょう。
[日刊アスキー] ニュースやプレスリリースなどを見ると、提携や新製品/新サービスの登場など、Linux市場は動き出しているように感じますが、まだまだ準備段階ということなのでしょうか?
[大鳥氏] 実際に使っているところは多いと思うのですが、やはり売る側から見ると、システムのすべてがLinuxという案件はあまり多くはないと思います。一例として、Linuxの案件はあくまでも「システムのコストを下げましょう」という形で、全体の一部としてLinuxが活躍しているというものがあります。それでは金額的にも大きいものにはなりにくいですよね。こうした状況を打開する条件としては、システム全体をLinuxで構築するだけの要素がそろってくることだと思います。
[日刊アスキー] その「要素」というのは、具体的にはどういったものを指すのですか?
[大鳥氏] 日本国内の企業に対してもっとも有効なのは、サーバメーカーのサポートということがいえると思います。これではメーカー依存の状況から抜け出せないことになりますが、変わることを恐れる企業に対して一番有効な手段となります。
現状ではLinuxを推進している企業は本気だと思うのですが、まだ展望が見えてこない面もあります。
[伊藤氏] 私は日本SGIに勤務していますが、現在、私の所属する部署はiDC(internet Data Center)、EDA(Electronic Design Automation=電子回路設計支援ソフトウェア)、CG分野などに対してLinuxサーバを販売していくためのサポート等を行なっています。たとえばEDA分野では今まではUNIXサーバの利用が中心でした。数十台のサーバをクラスタで使用するといった場合、Linuxサーバであればコスト面で大きなメリットがあります。
大鳥さんが仰ったように、確かに現在は大きい案件は少ないかもしれませんが、弊社の場合もIA-64ベースの大型Linuxサーバを出荷する予定で、そうなればLinuxに対する見方も変わってくると思います。
[大鳥氏] ちょっと昔の話ですが、たとえばIBMはマシン名を知らなくても企業名は知られていた。海外では、企業名は知られていても製品名が知られていないというのはよくあることです。Linuxを推進する企業は、もっとエンドユーザーにアピールしてもいいのではないかと思いますね。
[日刊アスキー] Linux系の開発者についてはどう思われますか?
[大鳥氏] 最近では、「開発」というとRADツールが主流ですよね? LinuxはRADツールがなかったところにKylixが登場しました。Kylixが出荷されれば、現在の、RADツールを使うのが当たり前のプログラマもLinux用ソフトウェアの開発がやりやすくなると思います。まあ、5~6年前からプログラムを組んでいる人間はviなどのエディタを使い続けるかもしれませんが。
[日刊アスキー] これから本番というLinux業界ですが、転職する場合のメリットは何でしょうか?
[大鳥氏] 将来性ですね。今は数字も実績も大きいとはいえませんが、大手メーカーは準備をしています。大手メーカーの中には、講習を受けなくてもRHCEで高得点をとれるくらいの人材をそろえていますし。「静かに燃えるストーブの周りでガソリン缶を抱えて待機」くらいに考えていると思いますよ。
メーカーに入社するのは希望ではないかもしれませんが、そうした時代を迎えようと考えているベンチャーの中で、すぐにお手伝いできるようになっておけばどう変わるかわからないですよね。
[日刊アスキー] 伊藤さんと安藤さんはそこまで考えていらっしゃいましたか?
[伊藤氏] 私の場合、Do Linux!に参加した動機はUNIX系OSで仕事ができたら、というものでした。Windows系の仕事をしていまして、ちょうどLinuxの仕事を得るいい機会となったので参加したというところでしょうか。
[安藤氏] 私自身が Windows NT を使ってSIをしていらっしゃる方々とお会いする機会があり、その場で「これからはいろいろなプラットフォームを適材適所で使っていく方向に進むだろう」というお話を聞いた事があります。
また、実際に一線で活躍しているWindows NT系のSI方々は、Linuxを含めたUNIX全般に関して造詣が深いことが多く、そのために仕事の幅が実際に広がっていることから、UNIX系のOSを勉強しようと思いました。そして、UNIX系OSの中で一番華やかそうなLinuxを選びました。
実際には、社内のファイルサーバなどはWindowsで、インターネット系はLinuxというパターンが多いと思うのですが、それぞれのプラットフォーム間で連携をとって、適材適所でシステム管理をやっていけたらいいなと思っています。
[日刊アスキー] なるほど。今までの取材でも、やはりみなさん「これからのことをにらんでLinux」という方が多いですね。ところで、Do Linux!の卒業生の方もかなり増えてきた状況だと思うのですが、業界の中で“Do Linux!仲間”みたいなものはあるのでしょうか?
[伊藤氏] 私はほかのDo Linux!卒業生と一緒に仕事をしていますので、いろいろと話ができて嬉しいです。
[安藤氏] 私はDo Linux!受講中に、全員がとても仲良くなったので、飲みに行ったりといまだに付き合いが続いています。
[日刊アスキー] 助け合うことも多かったというお話ですが、最後に仲間がいてよかったな、と思ったことなどをお教えください。
[安藤氏] 情報交換をしたり、わからないことを質問したりしたのが、まず助かりました。また、就業の段階になっても、「あそこはどうだ、ここはどうだ」と、相談に乗りあうこともありました。
Do Linux!に参加しているという段階で、みなさん仕事を辞めている状態なわけです。研修の間は周囲に同じ境遇の人間もいるので安心感がありますが、それが終わったらやはり1人になってしまい、気持ち的にも辛いと思うのです。そういうときに仲間同士で作ったメーリングリストで「お互いにがんばりましょう」と励まし合ったりしましたね。
[大鳥氏] 3週間の間でいかに周りに自分を飛び込ませて友達を作るかということだと思います。積極的に動けば相談にも乗ってもらえるわけですから。
[日刊アスキー] 本日はどうもありがとうございました。

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