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英CSR、Bluetoothチップの出荷目標は2005年に1億5000万

2001年03月07日 03時39分更新

文● 編集部 佐々木千之

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無線ネットワーク関連半導体メーカー、英ケンブリッジ・シリコン・レディオ(CSR)社の日本法人シーエスアール(株)は6日、英本社の共同設立者でマネージングディレクターのフィル・オドノバン(Phil O'Donovan)氏と、同じく共同設立者でマーケティングディレクターのグレン・コリンソン(Glenn Collinson)氏を招いて今後のBluetooth製品戦略について説明会を開催した。

フィル・オドノバン氏
英本社の共同設立者でマネージングディレクターのフィル・オドノバン氏

まず英CSRの概要と現在の製品について説明がおこなわれた。それによると、CSRは'98年に技術コンサルタント会社の英Cambridge Consultants社から分離した、BluetoothやIEEE802.11bなどの無線ネットワーク関連半導体の設計開発を行なうファブレスメーカー。現在140人の社員がおり、日本には2000年9月に現地法人シーエスアールを設立した。2000年9月に量産出荷を開始したBluetoothの1チップ製品『BlueCore01』(※1)(8.5ドル(約1000円))は、市場で最もローコストであるとしている。

※1 高周波(RF)部、ベースバンドDSP、プロセッサーを1チップにして、USBまたはシリアルインターフェースを追加したBluetoothチップ。基本的には、プロトコルスタックを書き込んだフラッシュメモリーまたはマスクROMとアンテナを追加するだけで、製品に組み込めるBluetoothモジュールとなる。

グレン・コリンソン氏
共同設立者でマーケティングディレクターのグレン・コリンソン氏

同社のBlueCore01を使った製品としては、アルプス電気(株)や栃木ミツミ(株)のBluetoothモジュール、富士通メディアデバイス(株)のPCカード/CFカードタイプの製品、仏アルカテル社のBluetooth機能付き携帯電話を紹介した。このほか、2月に発売されたBluetooth機能をそなえたソニーのVAIOノートにもBlueCore01が搭載されているという。

PCカードタイプとコンパクトフラッシュタイプのBluetooth製品
富士通メディアデバイスの、PCカードタイプとコンパクトフラッシュタイプのBluetooth製品
Bluetooth機能付き携帯電話仏アルカテル社のBluetooth機能付き携帯電話

BlueCore01は現在までに約25万個を出荷しているが、製品メーカーからの需要が大きいため、生産を拡大する予定という。現在BlueCore01の製造は、仏STマイクロエレクトロニクス社のフランスの工場で行なっているが、STマイクロのアメリカ(アリゾナ)工場を追加して生産するとしている。また、STマイクロの工場では0.35μmプロセスで製造しているが、2001年8月にサンプル出荷、12月の量産開始を目指して開発中の次世代製品『BlueCore02』は、台湾のTSMCに生産を委託し、0.18μmプロセスで製造する。

BlueCore01~03までのロードマップ
BlueCore01~03までのロードマップ。2002年には5GHz帯を使ったIEEE802.11a対応チップもラインアップに加わる

BlueCore02ではBlueCore01で外付けとなっていた、アプリケーション用のフラッシュメモリー/ROMを内蔵することで小型化と低価格化を目指しており、マスクROMを内蔵した製品では、量産時の価格で5ドル(約600円)になるとしている。また、ARMプロセッサーコアを内蔵した『BlueCore03』を2001年第4四半期にサンプル出荷し、2002年第1四半期に製品出荷を開始する。BlueCore03はSDカードタイプの製品やワイヤレスヘッドセットをターゲットとした製品と位置づけている。これに続いてBlueCore03にEthernetインターフェースを追加し、内蔵RAM容量を増加したHi-FiヘッドセットやxDSLモデム向けの『BlueCore04』が予定されている。さらに、携帯電話向けには、ベースバンド部分を外付けにして、量産出荷時価格3ドル(約360円)を目指した『BlueCore00』を計画中であるという。BlueCore00は2001年第3四半期のサンプル出荷と第4四半期中の製品出荷を目指すとしている。

英CSRでは将来の目標として、2005年におけるBluetooth市場を15億(端末の数)と見ており、そのうち10%以上のシェアをとりたいという。なお、現在同社が発売している製品はBluetooth 1.0に準拠したものだが、これらは先頃策定されたBluetooth 1.1にもソフトウェアのみの変更で対応可能という。ただし、現在規格が決められつつある次世代のBluetooth 2.0(通信速度を約1Mbpsから約10Mbpsに高速化したもの)については、変調方式が変わるとされるなど、大幅な変更が見込まれることからハードウェアも含めて対応する必要があるという。規格が最終的に固まってから約1年で市場に投入できるとしている。

ようやく搭載製品が登場し始めたBluetoothだが、まだ1対1の接続をBluetoothでワイヤレスにした程度の製品が多く、特に操作をしなくとも近づけるだけで接続が行なわれて、複数の機器間でデータの送受信が自動的に行なわれるといった、当初Bluetoothで例としてあげられたような、Bluetoothならではの特徴を生かしたものはまだ登場していない。2005年に15億という数が達成されるためには、より一層のチップの低価格化と、Bluetoothがあって便利だと思わせるようなキラーアプリケーションの登場が必要だろう。

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