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インテル、広帯域通信機器開発の支援センターを開設

2001年03月06日 23時03分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は6日、国内における同社の半導体を使ったネットワーク機器開発を推進する目的で、“インターネット・エクスチェンジ・アーキテクチャ・コンピタンス・センタ(IXAコンピタンス・センタ)”を茨城県つくば市の同社通信事業本部内に開設したと発表した。同日行なわれた報道関係者向けのネットワーク/通信事業説明会で明らかにした。

米インテル、副社長兼ネットワーク・プロセッシング事業部長のトーマス・フランツ氏
米インテル、副社長兼ネットワーク・プロセッシング事業部長のトーマス・フランツ(Thomas Franz)氏

インテルは“インターネット経済を支える4つのビルディング・ブロック(※1)を提供する”ことを基本戦略としている。

※1 インテルの半導体製品、産業/民生向け製品、ソフトウェア、サービスなど。

インテルが提供するビルディングブロック

  1. クライアントプラットフォーム(IA-32:Pentium III、Celeronなど)
  2. サーバープラットフォーム(Pentium III Xeon、Itaniumなど)
  3. ネットワーキング&コミュニケーション(IXA、PCA)
  4. ソリューションズ&サービス(インテルオンラインサービス)

これらのビルディングブロックのうち、ネットワーキング&コミュニケーションにおけるIXAは通信機器向けで、スイッチやルーター、ADSLモデム、ワイヤー/ファイバーネットワーク機器向け半導体(組み込み向けPentiumを含む)などを指している。またPCA(パーソナル・インターネット・クライアント・アーキテクチャ)は携帯電話端末向けのもので、StrongARMプロセッサーを基にした省電力小型プロセッサー“XScaleマイクロアーキテクチャ”、フラッシュメモリー、それらの制御ソフトやインターフェースなどを含んでいる。

米インテル社は通信分野においてオープンな標準化を推進するため、相互補完的な製品開発の促進を目指した5億ドル(約595億円)の“インテル・コミュニケーション・ファンド”(対象は40社以上)、IXAに関する開発者会議“IXAデベロッパーズ・フォーラム”(50社以上が参加)、大学の研究プロジェクトに対する資金援助“IXAユニバーシティ・プログラム”(12大学。日本からは大阪大学と筑波大学)といった投資、活動を行なっている。

インテルの通信技術本部本部長高橋恒雄氏
IXAコンピタンスセンタについて発表する、インテルの通信技術本部本部長高橋恒雄氏

今回設立されたIXAコンピタンスセンタは、IXAに基づく広帯域/光ネットワーク半導体を利用した通信機器の開発において、日本企業各社を支援することが目的。この背景には、日本が世界でも進んでいるとされる光ファイバーネットワーク環境や、NTTなどが推進するFTTH(Fibre To The Home)構想によって、数年後に光ファイバーが家庭にも普及するとの期待がある。インテルは日本のFTTH構想に関連して、通信インフラ/コンテンツ関連企業が技術検討とその公開を目的として1月22日に結成した“光サービスアーキテクチャコンソーシアム(HSAC)”にも幹事会社として参加している。また大阪大学と筑波大学に対してIXAに基づくネットワーク開発環境を提供するなどの技術支援を行なうという。

家庭用の光ネットワークゲートウェイ
インテル製ネットワークプロセッサを搭載した家庭用の光ネットワークゲートウェイ
インテルのネットワークプロセッサ『IXP225』
上のゲートウェイ機器に搭載されていたインテルのネットワークプロセッサー『IXP225』

インテルはここ数年にわたり、通信関連の技術を持つ多くの企業を買収するなど、通信関連事業に多額の投資を行なっている。また、インテルは2000年2月28日に、日本の次世代携帯電話市場を狙い、日本の携帯電話関連企業と協力して、同社のPCAに基づく製品開発を推進する“ワイヤレス・コンピタンス・センタ(WCC)”を開設しており、日本における通信・ネットワーク開発サポート拠点としてはIXAコンピタンスセンタが2つめとなる。WCCとIXAコンピタンスセンタというこれら2つの拠点は、携帯電話と光ファイバーという、ほかの国々と比較して進んでいる日本の通信分野の次世代機器において、インテル半導体製品を各社製品に利用してもらい、得られた技術を世界市場に向けて展開するという狙いだ。インテルは、通信分野において、日本は単なる製品を売るための市場ではなく、製品開発のための市場と位置づけている。

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