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Sun ONEへの道のり

2001年03月05日 04時42分更新

文● 渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp)

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Webサービスは、次世代のWebと目されることもあり、最新の話題のように扱われているようだ。しかし、基本的なコンセプトは別段そう目新しいものでもない。そもそも、ソフトウェアを小さな機能単位(コンポーネント)に分割し、必要に応じて組み合わせることで目的に応じたアプリケーションを任意に構成できるようにしよう、という発想はずいぶん昔からある。オブジェクト指向に基づくプログラム言語はこの発想をベースにしているわけだし、アプリケーションのレベルでも、かつて一太郎を擁するジャストシステムもこうしたコンセプトを掲げて「一太郎のコンポーネント化」に取り組んだことがあった。もっとも、今ではコンポーネント化は特に重要な目標ではなくなっているようだが。

Webサービスは、ソフトウェア業界が長らく暖め続けてきた「コンポーネント化」というアイデアをWeb時代に適合させた結果だ、ということも可能だろう。つまり、革新的なアイデアというよりは、長らく期待され続けながらいまだに実現していない悲願の最新バージョンなのである。

従来は、コンポーネント化を推進しようにもそれを支える市場を育てられず、うまく行かなかった。しかし、今は状況が変わっている。たとえば、Javaの存在もその例といえるだろう。プラットフォームに依存せず、可搬性をこれまでにないレベルで実現したJavaの成功は、コンポーネントの作成がビジネスとして成立するという確信を開発者に与えたようだ。Javaが成功しているといえるかどうかについては異論を唱える人もいるだろうが、実際に多くの開発者に支持され、大きな影響力を発揮しているという点は間違いないものと思う。

Webの普及も、当然コンポーネント化の発想を後押ししている。ユーザーがどのようなプラットフォームを利用しているかにかかわらず、Webブラウザさえ動いていれば情報にアクセスできる、というWebの環境は、特定のプラットフォームを対象としたパッケージソフトウェアビジネス以外にも成功の道があることを示したといえよう。Webサーバ側でロジックが実行され、結果がHTMLでクライアントに返されればとりあえず利用できるWebアプリケーションは、特定のプラットフォームでしか利用できないパッケージアプリケーションよりも広範な市場を獲得できる可能性がある。こうして増加したWebアプリケーションをさらに統合し、組み合わせてより便利なサービスを実現しようと考えるのは、ある意味ごく自然な発想といえるだろう。

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