米インテル社は27日(米国時間)、2000年6月に発表した低電圧版Mobile Pentium III-600MHzの高速版となる『Low Voltage Mobile Pentium III Processor featuring Intel SpeedStep Technology』700MHzを発表した。価格は316ドル(約3万6600円)。
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『Low Voltage Mobile Pentium III』700MHz |
今回発表された低電圧版Mobile Pentium III-700MHzと従来の同-600MHzを比較すると、Maximum Performance Modeにおける動作クロックが100MHz高くなっているが、コア電圧が据え置かれているにもかかわらず、平均消費電力はあがっていない。これは2つの発表の間の8ヵ月間にプロセス技術などが進んだ結果と考えられる。
モード | Maximum Performance Mode | Battery Optimized Mode |
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動作周波数 | 700MHz | 500MHz |
コア電圧 | 1.35V | 1.1V |
平均消費電力 | 2W以下 | 1W以下 |
サブノート向けには、1月にさらに駆動電圧を下げた超低電圧版Mobile Pentium III-500MHzを発表している。このプロセッサーのBattery Optimized Modeでのコア電圧は0.975V(300MHz)と1Vを切っており、平均消費電力は0.5W以下まで下がっている。ただ、インテルも発表会などで繰り返しているように、すでにモバイルノートパソコンの消費電力全体に占めるプロセッサーの割合は1割以下にまで下がっており、(ピーク時は別として)消費電力が1Wから0.5Wに下がってもそれほどバッテリー駆動時間の増加にはならない。超低電圧版Mobile Pentium III-500MHzを搭載したThinkPadを発表した日本IBMも、より数が出る企業向けではなく、個人向けのi Seriesモデルのみで採用したところを見ても、“Crusoe”で低消費電力を売りにした米トランスメタ社への、インテルの技術的示威行動との見方もある。
その点で、今回の低電圧版Mobile Pentium III-700MHzは、主なターゲットは、モバイル向けノートのメインストリームとも言える“B5ファイルサイズの薄型ノート”だ。低電圧版ということで多少のプレミア価格となり、超低消費電力版と違って日本市場以外でも需要が見込めるため、インテルにおけるモバイルプロセッサーの本命と位置づけられているのではないだろうか。
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超低電圧版Mobile Pentium IIIを搭載した『ThinkPad i Series 1124』の発表時に、インテルのアントン社長が示したモバイルプロセッサーのロードマップ |
なお、超低電圧版Mobile Pentium IIIを搭載したThinkPad i Seriesの発表時にインテル(株)のアントン社長が示したモバイルプロセッサーのロードマップによると、今回の低電圧版700MHzに続いて2001年の半ばまでに低電圧版750MHzが予定されており、さらに低電圧版ではないが1GHzプロセッサーが低電圧版700MHzの直後に予定されている。桜が咲く頃にはMobile Pentium IIIも1GHzに達しているかもしれない。
