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アットフューチャー、個人が無償で利用できる動画配信サービスを開始

2001年02月26日 20時38分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)アットフューチャー(※1)は26日、都内で記者発表会を開催し、ストリーミング動画配信システムの提供およびASPサービスを開始すると発表した。個人ユーザーが無償で動画をアップロードして公開できるサイト“e-movie”を本日より開始し、動画のポータルサイトを目指すという。

※1 2000年8月に、(株)エキスパートシステム、(株)トップインターナショナル、(株)サミット企画、(株)ももたろうインターネット、(株)アサヒの5社が対等出資して設立した(本社:東京都千代田区)。インターネットを利用した動画配信専門のインターネット放送局の運営と関連事業を行なう。出資した5社はそれぞれ、ネットワーク構築を行なうSIやISP、eコマースを手がける企業などで「異業種交流会を通じてトップが知り合ううち、同じ方向を目指すことがわかり、協力してやっていくこととなった」(小菅社長)という。

アットフューチャー代表取締役社長の小菅秀雄氏
アットフューチャー代表取締役社長の小菅秀雄氏

発表会で挨拶した、同社代表取締役社長の小菅秀雄氏によると、「日本のインターネットインフラの整備は世界と比較して大きく遅れており、アジアにおいても韓国などに後れをとっておいるが、光ファイバーなどの高速通信網が全国家庭に整備されるまでにはまだまだ時間がかかる。その一方で現時点においても、動画をインターネット上で利用したいというニーズもある。アットフューチャーはストリーミング技術によって、現在の日本のインターネット回線事情に合った56k~64kbpsの速度で、スムーズな動画配信が行なえるシステムを提供できる」としている。

アットフューチャーは同社で開発した動画配信システムを使った企業および個人に向けた動画配信サービスや、企業に向けて動画配信システム自体の販売を行なう。個人向けの動画配信サービスサイト“e-movie”では、“ビジネス・経済”、“文化・歴史・芸術”、“教育・倫理・宗教”、“自然・科学・技術”、“趣味・スポーツ”、“エンターテインメント”、“ドキュメント”、“その他”の8つのカテゴリーに分類された動画像が提供されている。これらの動画像は、アットフューチャーが提供するもののほか、個人ユーザーのアップロードに期待しているという。e-movieサイトで公開されている画像は誰でも無償で見ることができる(※2)が、さらに個人が自分で撮影した画像を無償で登録・公開できる動画データ(※3)の蓄積スペースが提供されており、住所や連絡先、メールアドレスなどを入力するだけですぐに利用できる。これによって「誰でも放送局になれる」(同社取締役の伊藤裕一氏)としている。

※2 動画ファイルはマイクロソフト社のWindows Media Technologyを使ってエンコードされたもので、視聴するためにはマイクロソフト社の『Windows Media Player 6.4』または『同 7.0』が必要。

※3 アップロードできる動画ファイルの形式は、マイクロソフト社のサイトで公開されている『Windows Mediaエンコーダ』で作成された、MPEG-4ファイルまたはASFファイル。1本のファイル容量は最大でおよそ1.5MB。なお、公開した動画ファイルに対して、e-movieのサイトを経由することなく個人ユーザーのホームページから直接ジャンプできる“e-movieボタン”も用意する。

動画配信システムのデモ
同社の動画配信システムを使って動画を再生しているところ。ストリーミング配信が始まってから画像が再生され始めるまでのタイムラグは15~20秒程度だった

アットフューチャーでは、最大16人が動画像付きでチャットできるシステムの提供や、動画像を使って品物を見せることができるオークションサイトの運営なども予定している。事業収入は企業向けの動画配信ASPサービスと、動画配信システムの販売から得るということで、個人ユーザーには今後も無償で利用してもらうという。これは、個人ユーザーに利用してもらうことで、e-movieの知名度を上げ、動画配信のポータルサイトとしての地位の確立を目指すためだとしている。

さらに、アメリカ、タイ、韓国に設置した事務局から、あまり日本で知られていないような各国(特にアジア)の情報を知らせる番組なども提供していくとしている。こうした事務局は今後、インドネシア、中国でも開設する予定。将来は同社のシステムを使って、海外の企業が日本の企業に動画で商品をアピールしたり、動画による面接などの利用を想定しているという。

個人ユーザー向けに無償で行なう画像配信サービスとしては、56k~64kbps程度の通信速度を想定した動画像にとどまるが、企業向けには100kbpsや300kbpsといった広帯域を使った高品質の画像配信も可能。同社が保有する動画サーバーからインターネットへは100Mbpsで接続されており、64kbpsクラスの接続であれば、1日あたり40万アクセスまで耐えるとしている。ライブ中継システムや動画像を使って商品説明を行なうeコマースシステムも開発済みで、すぐに提供できるとしている。今後1年間で「16億円の売り上げを見込んでいる」(小菅社長)という。

動画配信サービスを提供してきた企業はこれまでにもあったが、主に企業をターゲットにしており、個人が動画配信を行なおうとすると、簡単なものでもサーバーの知識が必要であったり、あるいはストリーミング配信サーバーのライセンス料金が発生するなど、しきいが高い部分があった。e-movieを利用すれば、例えばこれまでMP3ファイルのダウンロード配布をしていた、個人のバンドがライブの動画を配信できるようになるわけで、個人ユーザーにとってはありがたいサービスといえる。

一方企業にとっては同社以外の選択肢もあるわけだが、アットフューチャーでは「他社では、発注を受けてからシステムを開発することになるが、当社はすでに動画配信システムのほか、CTIシステム、決済システム、チャットシステムなどを開発済みで、顧客の要望にすぐに応えることができる」と、スピードのメリットを挙げている。アットフューチャーとしては、この動画システムの販売と、今後サービス提供を予定しているという動画を利用したオークションシステムの運営によって事業収入の安定を図る構えだ。

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