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日本ルーセント、次世代ソフトスイッチ技術でセミナーを開催

2001年02月23日 23時14分更新

文● 編集部 今井睦俊

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日本ルーセント・テクノロジー(株)は23日、新宿の京王プラザホテルで“ルーセント ソフトスイッチ テクノロジーセミナー”を開催した。同セミナーは、同社のソフトスイッチ製品を中心に次世代ネットワークの技術について解説したもの。まず、同社のベル研究所の奥本和平日本駐在代表が“次世代ネットワークビジョン”というテーマで、次世代ネットワークサービスの基幹となる光ネットワークなどについて講演を行なった。

同氏は、コンピューティング/デジタル/ソフトウェア技術が通信ネットワークに組み込まれることで新しい付加価値サービスが創造され、このサービスの有無でキャリア間に格差が生まれると説明。このようなネットワークの革新は、“アナログ”/“回線”/“集中型”/“複雑”/“クローズ”から“デジタル”/“パケット”/“分散型”/“シンプル”/“オープン”への技術の移行によりもたらされるという。

奥本和平日本駐在代表の写真
同社のベル研究所の奥本和平日本駐在代表

前世代の音声を中心とした通信ネットワークは、時間と距離に基づいた料金体系で、“オールドエコノミー”に属し、これに対して、現在の“インターネットエコノミー”は、時間と距離に関係なくパケットをベースに、コンテンツの全世界への公開や、国際的なEコマースを可能にした。次世代の光ネットワークは、さらに技術革新が目覚しく、半導体における“18カ月で集積容量が倍増する”という“ムーアの法則”よりも進化が敏速で、9カ月で通信容量が倍増しているという。次世代は、音声とデータを統合した大容量のパケットを伝送できる光ネットワークを基幹とする“光経済の時代”なると予言した。

次世代技術の“ソフトスイッチ”

次に、同社の第二技術部の吉田誠部長が次世代ネットワーク技術である“ルーセント ソフトスイッチ”の概要や機能などについて講演を行った。電話網を構築する従来の回線交換機の中には、スイッチなどを制御する“呼制御部”、加入者網を収容する“TDMアクセス部”、課金/運用/保守などのネットワーク管理機能を担う“サービスアプリケーション部”を内蔵する。次世代のネットワークでは、同社のソフトスイッチ技術を用いることで、既存のPTSN/パケットネットワークに接続される“ゲートウェイ”、呼制御などを行なう“ソフトスイッチ”、管理サービスを提供する“アプリケーションプラットフォーム”に分離して、これらの機能を地理的に分散して設置可能という。

吉田誠部長の写真
同社の第二技術部の吉田誠部長

また、同技術を用いることで、携帯電話などの“ワイヤレスネットワーク”、電話網などの“PSTN”(回線交換網)、インターネットなどの“IPネットワーク”、データ通信などの“ATMネットワーク”/“フレームリレーネットワーク”など、別々に並存する複数ネットワークを統合でき、管理/運用/保守などの費用を削減できるとしている。特に、音声とデータをパケットネットワークに統合するVoIP/VoATMでは、同技術によりパケットネットワーク上で呼制御を行うことで、PTSNとIP/ATMのブリッジが可能となり、音声とパケットを統合して管理できるという。

同技術は、“呼制御”、“メディアゲートウェイ制御”、“ネットワークサービス”という3つの機能により構成される。同技術を実装した同社の製品『Softswitch 3.0』は、メディアゲートウェイ制御を行なう“Device Servers”、呼制御を行なう“Call Server”、課金/加入者情報/運用/保守などのネットワークサービス制御を行なう“Centralized Services”の3つの部分で構成される。同製品のキャビネットには、Call Server/Device Serversの機能を持つ『Server Shelf』と、Centralized Servicesの機能を担うワークステーション『SUN Netra 1400』の2つの機器を搭載する。特に、Centralized Servicesは、トランスポートレイヤーの上位層である“インテリジェントサービスレイヤー”を提供し、ネットワーク管理に加えて、新しいアプリケーションサービスも実装可能。今まで通信事業者がネットワーク上で新しいサービスを加入者に提供するには、交換機メーカーにプログラム開発を発注し、時間と費用の両方がかかっていたが、同製品を導入することで、通信事業者自身が迅速に新サービス用のアプリケーションを開発できるという。そのためのツールとして、同社では“Full Circle”という名称で、アプリケーション開発のためのオープンなAPIや、複数の機器のインターオペラビリティーのテスト環境を提供している。

ロバート・G・ロガンマネージャーの写真
米ルーセント・テクノロジーズ社のニュービジネスデベロップメントのロバート・G・ロガンマネージャー

最後の講演では、米ルーセント・テクノロジーズ社のニュービジネスデベロップメントのロバート・G・ロガン(Robert G.Logan)マネージャーが“ソフトスイッチによるサービス革新”というテーマで、同技術で実現できる新サービスの実例などを紹介した。同氏は、同技術のメリットとして、データ(IP)と音声(PTSN)の統合による“コスト削減”よりも、同技術で実現される新サービスがもたらす“利益”を強調。同技術を新サービスを提供するプラットフォームとして位置付けた。従来、“ワイヤレス”/“PTSN”/“インターネット”では、1人のユーザーに対して別々にサービスを提供していたが、同技術を導入することで、シームレスな統合サービスに転換するという。通信事業者は、同社が提供するFull Circleなどのツールを用いることで、携帯電話/回線交換網/データ通信などを統合し、まったく新しいサービスを提供できるとしている。

同氏は、収益を生み出す新サービスの例として、ウェブページからコールセンターへのアクセスを可能にする“クリックツートーク”を紹介。これは、“ネットワークコンタクトセンター”に駐在するオペレーターに繋がるボタンを貼り付けたウェブページのこと。オペレーターに繋がることで、氏名/住所/クレジット番号などの入力が煩雑で契約の途中で止めていたユーザーが契約の最後まで行なうという。さらに、Eコマースでの成約率が向上するだけでなく、オペレーターにより他の商品も提案できる“クロスセーリングの機会”を生み、収益に結びつくとしている。

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