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SCEI、ナムコ、セガが共同でブロードバンドサービスを提供――セガのAM施設にPS2ベースの専用機器を設置

2001年02月21日 21時16分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCEI)は21日、来年度の事業方針について説明する“PlayStation Meeting 2001”と都内ホテルで開催した。その席でSCEIは、(株)ナムコ、(株)セガと共同で、PS2を利用したブロードバンドアライアンスを展開することで基本合意したと発表した。

握手を交わす(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長の久夛良木健氏(中央)と、(株)ナムコ常務取締役の石川祝男氏(右)、(株)セガ特別顧問の香山哲氏(左)

ナムコ、セガと共同でブロードバンド事業を展開

今回の合意は、PS2をベースとした機器と、ナムコやセガのコンテンツサービスを利用し、PS2取り扱い店舗やナムコやセガの運営するアミューズメント施設などの拠点に機器を設置、10Mbpsや100Mbpsといった光ファイバー網を利用した双方向のブロードバンドネットワークをユーザーに体験してもらうというもの。ネットワークは、超高速光ファイバー網と専用ブロードバンドサーバー、およびブロードバンドに対応した新開発の機器を接続して構築する。

PS2をベースとしたブロードバンド向け新開発機器のイメージ

新たに開発する機器は、PS2をベースにしたもの。暫定仕様では、80GBのHDDを搭載し、メインメモリーは128MB、ビデオメモリーは16MBとなっている。CPUはPS2と同じ(Emotion Engine/クロック周波数294.912MHz)だが、グラフィックスチップはPS2のGraphics Synthesizerを強化した新しいチップを採用、チップサイズも相当大きくなるという。画像入力は高解像度CCD、画像出力はHD/SXGA。ネットワークは100MbpsEthernetで光ファイバー網に直結できる。本体のほかに、液晶ディスプレー、キーボード、マウス、カメラが付属する予定。

実際に利用できるコンテンツとしては、カメラ画像を見ながらのエンターテインメントサービスや、拠点でログインしている人たちとのコミュニケーションサービスなど、ネットワークを利用した双方向のエンターテインメントサービスを導入するという。

SCEIの久夛良木社長は、「現在のブロードバンド環境は急速なスピードで進んでいるが、光ファイバーを何に使うのかは体験してみなければわからない。ブロードバンドの体験を日本中の拠点で目に見える形で展開したい。韓国では2~3年前に革命が起き、高速回線によって各家のPCがつながった。日本では光ファイバーがもうすぐ手に入る。PS2というプラットフォーム、ナムコやセガのコンテンツサービスを使って夢のブロードバンドを日本中で展開したい」と説明。

またナムコの石川氏は「われわれは国内に400店舗、世界で1000店舗の施設を持っている。今回の試みは大きな変化になるのではないか。いかに面白い遊びを提供できるかにかかっているので、コンテンツの開発に全力投球したい」、セガの香山氏は「セガでは昨年夏から実験的にお台場、渋谷、池袋をネットワークでつなぐ“net@”を展開しているが、このnet@を1社だけでやっていけるのか。また大川会長は常々、エンターテインメントとコンビニの連携など新業態の開発を推進している。こういった側面から開発部隊がSCEIさんに話をさせていただいた。実現できたことは喜ばしい。コンテンツを含め提供していく。アライアンスを推し進めることで早い時期に成果を上げられるよう3社を中心に努力したい」とそれぞれコメントした。

このブロードバンド対応サービスは今冬をめどにスタートし、来年度には日本の広範な拠点をネットワークで結びたいとしている。



ソフト会社やサービスプロバイダー向けにネットワークサービスシステムを提供

またSCEIは、プレイステーション・ドットコム・ジャパン(株)(以下、PScom)、(株)ソニーファイナンスインターナショナル(以下、SFI)、ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(以下、SCN)と共同で、PS2のネットワークビジネス用システムを開発、国内ソフト会社やサービスプロバイダー向けに7月に提供することも発表した。

左から、プレイステーション・ドットコム・ジャパン(株)代表取締役社長の建部好正氏、ソニーコミュニケーションネットワーク(株)代表取締役社長の山本泉二氏、(株)ソニーファイナンスインターナショナル代表取締役社長の金杉元靖氏

今回提供するシステムは、4社のそれぞれ実績のあるシステムを活用するもので、SCEIのコピーマネジメントシステム(認証システム)、PScomのID管理システム、SFIの課金回収システム『e-SCOTT』、SCNのサーバーホスティング/ハウジングサービス“B2Bサービス”、およびネットワーク接続サービスで構成される。

SCEIのコピーマネジメントシステム『DNA-S(Dynamic Network Authentication System)』は、新たに開発されたもので、PS2用のMagicGate対応メモリーカードおよびPS2本体に組み込まれた個別の機器IDと、SCEIおよびソニーが開発したPS2ディスク固有のIDを組み合わせる認証システム。

PS2ディスクに1枚ずつ異なるIDを刻印し、PS2機器IDやメモリーカードの暗号化機能を利用してディスクのコンテンツを暗号化、PS2のHDDにインストールする。インターネット経由で専用コピーマネジメントサーバーにアクセスし、そのディスクが他のPS2でHDDにインストールされたディスクかどうかチェックするという仕組み。

専用サーバーにはIDを組み合わせたデータが収録されており、例えば“コピーは1回限り”“家族内なら何度でもコピー可能”“自由配布可能”といった設定をあらかじめしておいた後ディスクを配布できるという。

またSCEIは、これに伴いPS2用のHDD(容量40GB)を7月に発売する。久夛良木氏はHDDの発売が7月に延期になった理由として上記のコピーマネジメントシステムを強化したかったからと説明、準備が整いそうなのが7月だとしている。

なおSCNは、6月を目処にPS2を利用したインターネット接続サービスを開始、PS2対応のコンテンツやアプリケーションも順次出していくとしている。

久夛良木氏は、「ネットワークビジネスサービスやネットワークゲームサービスを始める際、システムを開発するのに時間と先行投資が必要で、収益を考えると問題があった。PS2をネットワークにつなぎ始める時期に、ソフトメーカーやサービスプロバイダーがより気楽に収益を考えても効率的ですぐサービス提供を行なえるプラットフォームを提供したい」

「現在のPCは、データ情報が行き来した場合、コンテンツの著作権が十分守られているか、個人情報が流出していないかという懸念がある。コピーマネジメントシステムが十分議論されないうちにNapsterやGnutella、MP3などが登場してしまった。音楽業界で起こったことをゲーム業界で起こさない仕組みの提案が必須だ」としている。

PS用携帯接続ケーブルを3月29日に発売

さらにSCEIは、PS/PS one/PS2とiモード携帯電話(503i、502iシリーズ対応)をつなぐ携帯電話接続ケーブル『SCPH-10180k』を3月29日に発売することも明らかにした。価格は3500円。これにより、PSやPS2でiモードコンテンツを楽しめるほか、iモード携帯電話のパケット通信システムをPSで利用できるようになる。通信料は1パケット(128バイト)あたり0.3円。

PS/PS2用の携帯電話接続ケーブルにより、PSとiモード携帯電話を接続できる (C)2001 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved.

携帯電話接続ケーブルには、基本ソフトであるPS用ソフト『携帯編集』が付属する。iモードコンテンツをPS経由でTV画面で楽しめる“ブラウザー”機能、携帯電話の電話帳データを読み込んで編集したりメモリーカードに保存したりできる“電話帳データ編集”機能、iモードメールの編集/送受信やメモリーカードへの保存が可能な“メーラー”機能を搭載する。

『携帯編集』のブラウザー画面イメージ
『携帯編集』の電話帳データ編集画面イメージ
『携帯編集』のメーラー画面イメージ

また、携帯電話接続ケーブル単体(付属ソフトなし)の『SCPH-10180』、およびソフト単体『携帯編集』も5月に発売するという。価格はSCPH-10180が2800円、携帯編集が980円。

SCEIはこの携帯接続ケーブルの発売に伴い、PS/ポケットステーション用ゲーム『どこでもいっしょ』の追加ディスク『iモードもいっしょ』を4月19日に、PS2用投稿ゲーム『Check! TV(チェキッティービー)』を4月26日にそれぞれ発売する。

iモードもいっしょは、どこでもいっしょに通信機能を追加するためのディスク。iモードユーザー情報や遊んだ内容が、iモードもいっしょの専用サーバーに置かれ、キャラクターや他のユーザーとのコミュニケーションが可能となる。他ユーザーとメール交換やしりとり遊びが可能なほか、スケジュール帳機能も用意されている。スケジュールデータは専用サーバーに置かれており、キャラクターがスケジュールを認識してメールをくれたりする。価格は2800円。

Check! TVは、PS2用の投稿ゲーム。毎日日替わりで15分番組が配信され、その番組を見てユーザーがネタを投稿すると、その投稿を元に番組が作られていく。番組は、さまざまなランキングを発表する“ランキンQ”や、さまざまなゲームや映画などをレビューする“レビューUFO”など。価格は2800円で、iモード情報料が月額300円。放送継続保証期間は発売から1年以上。

久夛良木氏は、「PSとiモードをドッキングするというもの。従来の携帯電話とアプライアンスの接続サービスと違う点は、今回初めてNTTドコモのパケット通信そのものをPSで利用可能になるということ。NTTドコモとの提携により、新しい常時接続のモバイルネットワークを提供できる」と説明している。

久夛良木氏自らPS/PS2のセールス状況を説明

またSCEIは、PSおよびPS2のセールス状況についても説明した。それによると、国内出荷実績は2月18日現在で、PSが1833万台、PS2が438万台の計2271万台。PS2のワールドワイドでの生産出荷実績は2月18日現在で、北米が210万台、欧州が168万台。PSは現在98ヵ国で、PS2は34ヵ国で販売されており、各国におけるPS/PS2の世帯普及率は、日本が40%、米国が28%、英国が25%、フランスが19%、スペインが18%、イタリアが15%、ドイツが11%。

国内のソフト生産出荷数量は3月末見込みで、PS用が3596タイトル/2億5700万本、PS2用が188タイトル/1700万本、計3725タイトル/2億7400万本。PS2新規所有者のソフト購入数は、1月末時点でPS2用タイトルが3.2本、PS用タイトルが2.9本で、PS21台につき合計6.1本購入していることになる。SCEIは、PS2のタイトルラインナップを今期中に45タイトル増やし、来期にはさらに370タイトルをリリース、来期末での累計を557タイトルにするとしている。

開発ツール『DTL-T10000』の出荷累計は日本で2800セット、欧米で3400セット。Graphics Synthesizerの月産数量推移は、3月時点で0.18μmと0.25μmを合わせて160万個台。

久夛良木氏は、「ハード実績は好調だ。PS2はゲーム機としてPSと互換性を持っているため、PSフォーマットを含んでいる。PS2ユーザーはPSソフトをかなり買っている。ハード発売後10ヵ月経過時点での累計をPSとPS2とで比較してみると、PSは150万台、PS2は400万台。PS2のこの勢いはタイトルや将来に広がる可能性、そしてPSタイトル群に支えられている。世界でのPS2出荷実績は合計816万台。生産すると同時に売れていくという状況で、まだまだ品不足が続いている」と語った。

2001年度の生産出荷目標としてPS2を2000万台、PS oneを1000万台以上とし、PS/PS2の世界累計出荷目標は2002年3月末までに1億台を超えるとしている。

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