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「コンサルティングをやるのはハードが儲からないからではない」──デルの浜田社長

2001年02月21日 21時15分更新

文● 編集部 佐々木千之

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デルコンピュータ(株)は21日、都内でプレス関係者を集め、16日(日本時間)に発表された、2000年会計年度第4四半期(2000年11月~2001年1月)の事業報告を踏まえて、浜田宏代表取締役社長が日本地域における事業状況と2001年度の戦略について説明した。浜田社長は席上「デルの強みはお客様とのダイレクトな関係と低コスト構造にある」などと語った。

日本は世界でも最も伸びの大きい国の1つ

米デルコンピュータ社は16日(日本時間)、売上げ、出荷台数ともに過去最高となる好調な2000年会計年度第4四半期(2000年11月~2001年1月)の業績発表を行なっている。浜田社長はまず、日本の売上げにふれ「アジア太平洋地域はデルの世界中の売上げの中では、まだ1割ほどだが、最も伸びが大きい地域。前年同期比では51%増となっている。そして日本市場はアジア太平洋地域の売上げ中半分を占める。具体的数値は示せないがアジア太平洋地域の伸びを上回る大きな伸びとなった。(日本の景気は弱含みだが)伸びる会社と伸びるビジネスを行なえば、不景気は関係ない」と述べた。

デルコンピュータの浜田宏代表取締役社長
デルコンピュータの浜田宏代表取締役社長

さらに「デルは企業向けの販売が強いが、2000年会計年度(2000年2月~2001年1月)で見た場合、社員数が500人を超える企業における販売シェア(売上げベース。デル調べ)は富士通、日本電気に続いて3位。ただ2位との差は小さく、2002年2月までには2位を目指す。また第4四半期の中小企業の売上げは対前年同期比で70%伸びた。さらに個人でも対前年同期比で150%と大きく伸びた」と日本市場での好調ぶりをアピールした。

明朗会計で低価格のコンサルティング事業を

浜田社長は、2000年秋に今後の事業方針として1)顧客満足度のさらなる向上、2)サーバーとエンタープライズストレージ事業への注力、3)コンサルティングサービスの開始を挙げている。これらについては「平均の在庫日数では7日から5日弱に短縮した。最終的には24時間以内になるまで努力を続けたい。各社が行なったサーバーの満足度調査で1位の賞をいただいたほか、第4四半期では売上げが前年同期比で倍増となった」などと述べた。

特にストレージについては「ストレージにおいては、もともとが少なかったこともあるがこの1年で売上げは4倍に伸びている。さらに本格的にストレージ販売に力を入れるため、サーバー部門から切り離して独立したマーケティング部を設立した。ストレージの優秀なマーケティングスペシャリストを雇い入れることができた」と公約通り本気で取り組む姿勢を見せた。

また、同社のビジネスモデルである“デルモデル”を基にして11月に開始したコンサルティング事業“デル・テクノロジー・コンサルティング(DTC)”への反響が大きく、すでに約60件の問い合わせを受けているという。浜田社長はコンサルティング事業について「私も以前コンサルティングに関わっていたからわかるが、コンサルティング会社の見積もりというのは、一般的に非常におおざっぱなもので、“このプロジェクトには3000万円かかります”といっても粗利がいくらなのか、何にお金がかかっているのかさっぱりわからないものだ。言い方は悪いがだまされているお客もたくさんいるのではないか。デルのコンサルティング事業は、細かいところまで素っ裸の明朗会計で、低価格を目指す。価格はだいたい他社の3分の2から半分になるのではないか」とし、さらに「デルの場合ハードウェアでの利益は十分出ており、ハードが儲からないからサービスでもうけようなどというのではまったくない。より高い顧客満足度を得るためのターボチャージャーのようなものだ」と、コンサルティング事業での“価格破壊”を宣言した。なお、詳細については明かされなかったが、今年度中にエンタープライズ向けの新しい有償サービスを計画しているという。

このほか、個人向けの販売戦略については「現在全国のパソコンショップ33店舗に設けている“デルリアルサイト”(※1)が好調で、個人向けビジネスの20%を占める。購入ユーザー調査によると、半数はデルリアルサイトでさわってみるまで、デルを買うなどとは考えていなかったという結果が出ており、広告効果が非常に高い。日本発のアイデアだが、他の地域会社からも注目されている」という。

※1 同社のパソコンが展示してあるコーナーで、実際に触れて試すことができ、すぐにそこからオンライン注文できるようになっている。

2001年はパソコンメーカー淘汰の年

新しい事業目標としては、「官公庁や教育機関、医療機関への専門営業部を設けて本格参入する。年間約6割程度伸びているが、もっと伸ばせると考えている」という。そして事業強化のために「年末までに現在900人ほどの社員を、営業、コンサルタント、システムエンジニア、テクニカルサポートを中心として増やし1200~1300人体制にする」と述べた。米本社で先日、数100人の削減を発表していることについては、「今後の経済環境はより厳しくなることが予想され、あらかじめ準備する意味合いから、管理部門や製品開発サポートなどで重複する部分を削減した。本社だけでの削減であり、他の地域ではまったく削減計画はない」としている。

記者から「“パソコンは売れて忙しいが儲からない”という声がほかのメーカーからあがっているが?」という質問が出たが、浜田社長は「まず、PC時代の終焉などという向きもあるが、まったくそのようには考えていない。まだまだ伸びる余地は大きい。またPCの価格は販売間接費を減らすことで、まだまだ下がる余地はある。デルではきちんと利益が上がっており、ハードウェアから撤退する気はまったくない。ただ、今年あたり、世界ベースでも日本でもPCの販売から撤退する会社が出て、寡占化が進むだろう」との考えを示した。

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