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シスコ、認証や暗号キーを集中管理できる企業向け無線LAN製品を発表

2001年02月19日 22時18分更新

文● 編集部 佐々木千之

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シスコシステムズ(株)は19日、IEEE802.11bに準拠した企業向けの無線LAN製品『Cisco Aironet 350』(エアロネット350)シリーズを発表した。通信に用いる暗号キーや認証を一元管理できることが特徴。

『Cisco Aironet 350 Series Access Point』
『Cisco Aironet 350 Series Access Point』。左後ろに見えるのは『同340』のアクセスポイント。

今回発表された製品は、2000年4月に発表した『Cisco Aironet 340』の後継機種で、アクセスポイントとクライアント用PCカードで、それぞれ40bitのWEP(Wire Equivalent Privacy)と128bitのWEPに対応した2種類が用意される(※1)。340でラインアップされていたWEPサポートなしの製品は350には用意されない。価格はアクセスポイントが20万5000円(40bit、128bitとも)、PCカードが3万1000円(40bit、128bitとも)で本日発売。またPCIスロットに差すタイプの製品とブリッジ製品については4月の発売を予定している。

※1 同じ価格で40bitと128bitのWEPに対応した製品が用意されるのは、米国の暗号製品の輸出規制のため。40bit対応製品は自由に販売、使用できるが、128bit対応製品では機材の設置場所を申告する必要があるという。

『Cisco Aironet 350 Series Client Adapter』
『Cisco Aironet 350 Series Client Adapter』サポートするOSはWindows CE2.0/CE2.1/CE3.0/95/98/Me/NT4.0/2000、Mac OS 9.x、Linuxと幅広い。無線LANチップは米インターシル社製

なお、アクセスポイントはシスコシステムズが提唱しているEthernetケーブルを使って給電する“Inline Power over Ethernet”に対応しており、同社のスイッチ製品『Catalyst 3524-PWR-XL』などと組み合わせて使用する。Inline Power over Ethernet非対応のスイッチなどを利用する場合には、オプションでEthernetケーブルに給電するACアダプターを使用する必要がある。これまで、オフィスなどでビルにアクセスポイントを設置する際には、電源工事に1台あたり10万円程度の費用がかかるほか、容易に移動できないなどの問題があったが、Inline Power over Ethernetに対応することで費用を節約し、設置場所が比較的自由に選べるとしている。

都内で行なわれた発表会では、同社パートナー営業統轄本部ワイヤレスLAN統括本部の大金日出夫部長が、現状のIEEE802.11b製品のセキュリティーや管理の問題点について説明した。それによると、現在IEEE802.11b準拠の無線LAN製品においては、セキュリティー機能としてSSID(Service Set ID)やMACアドレスによるアクセス認証や、WEPによるデータの暗号化が多く利用されている。しかし、IEEE802.11bには、運用/管理ツールやWEPキーの管理、ユーザー認証などの規定がなく、各メーカーの裁量に任されているという。SSIDでは機器の設定を誰でも簡単に参照することができたり、MACアドレスやWEPキーはサーバーやクライアントパソコンに手入力する必要があるなど、多数のクライアントを扱うには管理面で問題が大きいとした。

シスコシステムズ、パートナー営業統轄本部ワイヤレスLAN営業部部長の大金日出夫氏
シスコシステムズ、パートナー営業統轄本部ワイヤレスLAN営業部部長の大金日出夫氏。11Mbps製品の次は22Mbps(802.11b)を飛び越して54Mbps製品(802.11a)が登場する見込みという

そこで、Aironet 250シリーズでは、現在IEEEに米マイクロソフト社や米インテル社などと共同提案し、策定中のアクセス認証方式であるIEEE802.1XとEAP(Extensible Authentication Protocol)による管理システムを採用し、RADIUS(Remote Authentication Dial-In User Services)サーバーを使った、一元管理機能を搭載した。RADIUSサーバーを使うことで、これまで全クライアントで共通だったWEPキーを、クライアントごとにユニークなものに変えて自動配信したり、クライアント1台1台との通信状況の管理が可能となり、複数のアクセスポイントを使ったロードバランシング機能や、課金情報システムの導入が可能になるとしている。

今回採用されたIEEE802.1xとEAPの組み合わせは年内に標準化の見込みで、マイクロソフトはWindows 2000とWindows CEでのサポートを明らかにしている。現在はRADIUSサーバーは1台のみのサポートで、実用上の最大クライアント数は数千ユーザーだが、6月をめどに開発中の複数サーバーによる管理が可能になれば、数万ユーザー間で管理可能なるという。シスコシステムズは米国で、空港のロビーやコーヒースタンドなどの公共の場で、無線LANによるアクセスインフラを展開する計画を明らかにしており、今回の管理システムのサポートはその一環となるもの。現在未実装の課金情報管理機能が追加されれば、無線LAN製品を使った駅や空港でのインターネット利用がいっそう現実味を帯びることになる。

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