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Nielsen Norman Group、ウェブサイトユーザビリティの課題を説明――「使い勝手のよいサイトが成功する」

2001年02月19日 17時59分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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米Nielsen Norman Groupは19日、インターネット企業やウェブデザイナーを対象にしたセミナー“Usability World Tour”を都内ホテルで開催、ウェブサイトにおけるユーザービリティの課題について講演を行なった。

Nielsen Norman Groupは、ウェブデザインやECなどインターネット関連のコンサルティングサービスを提供するグループ。Nielsen Norman Group主席研究員兼共同設立者であるJakob Nielsen(ジェイコブ・ニールセン)氏は、ウェブサイトのユーザビリティと、企業と顧客の信頼関係の重要性について語った。

Jakob Nielsen氏「ユーザビリティという観念だけをみてもWAPよりiモードのほうがいい。AT&Tがiモードを手に入れたら米国でかなり優位に立つだろう」

「インターネット技術は高速に進化しているが、それを扱う人間の進化スピードは遅い、よって使い勝手というものは今後長期的にみても重要である」

「われわれはウェブサイトデザインにおけるユーザービリティガイドラインを設定しているが、ガイドライン項目に多く準拠しているウェブサイトほど成功している。例えば使い勝手に定評のあるAmazon.comは準拠率が72%、ある程度成功しているウェブサイトは50%程度となっている」

「特にECサイトではデリバリーインフォメーションがガイドラインに準拠しているかが重要。ガイドラインではユーザーが商品購入手続きを行なう際、商品がいつユーザーの手元に届くか表示するよう設定しているが、使い勝手の悪いウェブサイトはその期日を具体的に表示していない」

「ユーザーはマニュアルを読まない。ウェブサイトのインターフェースデザインは、サイトのマニュアル一覧を読まなくても操作できるようにするべきだ。例えば、パスワードを設定する際、パスワード入力用のフィールドボックスのそばに“パスワードは8文字”と表記しておけば、読まれる可能性は高くなる。特に新サービスに感心を持ってもらうには工夫が必要。説明文なら2行、写真なら1枚で意味をわからせなくてはならない」

「ユーザビリティは速ければ速いほどいいというのが大原則。ユーザーはウェブサイトのパフォーマンスが速ければ速いほどそのサイトを好む傾向にある。またユーザーはほとんどを自分でコントロールしたいと思っている。よってウェブサイトでは、ユーザーがほしい情報に自らアクセスできるサーチ機能が重要となる」

ユーザーはウェブ広告を見ない

「ウェブサイト上の広告はうまくいかない。ユーザーはサイト上の広告をクリックしないという明らかな統計が出ている。ある大きな業界がいまだにウェブ広告を推奨しようとしているがユーザーにはまったく効果がない。ウェブ広告はいまや下降傾向にあり、シリコンバレーではウェブ広告を収益モデルに掲げている会社に投資家は資金を提供しない。さらに広告のように見えるものも、ユーザーに広告だと思われて無視されるためうまくいかない。ウェブサイト上で重要な情報を掲載する場合は広告のように見えないものにするべきだ。特に動くアイコンはよくない」

「ヒューリスティック評価はウェブサイトに適用できる。現在、ECサイトを作成する場合、商品担当者がウェブ用の商品情報テキストを書くが、例えば雑誌の場合では仮に商品担当者が原稿を書いたとしても、その後編集者がチェックする。ウェブサイトでも品質保証担当者が情報に関してチェックをかけるべきだ。あまり売上がよくないECサイトにヒューリスティック手法を適用すると必ず売上が上がる。ウェブサイトにはレビューが必要。品質管理は必要であるにも関わらず、ほとんどのウェブサイトで行なわれていないのが現状だ」

「また、最初からヒューマンファクターを考慮してウェブサイト設計を行なうことが重要だ。ユーザーの振る舞いを把握してウェブサイトをデザインしなければならない。しかし、既存のほとんどのウェブサイトではそれが行なわれていない。ウェブサイトを構築する際、品質管理だけでなくヒューマンファクターも考慮してもらいたい」

「ECサイトのユーザビリティを50%改善するだけで、売上が4倍アップする。なぜなら、同じ商品を同価格で買えるサイトが2つ存在するなら、より使い勝手のよいサイトから買ったほうが楽だからだ。また、インターネットでは信頼性が重要。ユーザー側から見ればウェブサイトの会社は画像でしかない。このボタンをクリックすれば明日商品が必ず届くとユーザーに信用してもらうことが必要だ。使い勝手がよいというのは信頼の第1歩となる」

「ユーザビリティを改善すればセールスは飛躍的に向上する。ユーザーの不満足度を軽減できるだけでもすばらしいことだ。例えばECサイトの購入手続きに2分かかっていたものを1分にしたり、エラー率を減らすなどしてユーザビリティを改善することで、ウェブサイト市場での勝者となるだろう」

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