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いまどきのインターネットインフラ事情

長距離無線LANで変わる山間部インターネット

2001年02月21日 04時13分更新

文● NETWORK MAGAZINE編集部

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NETWORK MAGAZINE
 島根県と山口県の県境に位置する広島県吉和村は、その周辺を1000m級の山々がとり囲む、標高600mの高原盆地に位置する山村だ。特別天然記念物のオオサンショウウオやヤマネなどの生息地としても知られ、冬は雪に覆われることからスキー場も開設されている。また、1983年に中国地方を東西に走る中国自動車道の吉和インターチェンジが開通したことにより、広島県内の観光名所となっている。

 その吉和村にインターネットインフラを整備しようという計画は、郵政省による公共施設へのインターネット導入促進事業から始まった。2000年2月に、郵政省による電気通信格差是正事業費補助金の「地域インターネット導入促進基盤整備事業」で吉和村が採択候補地として選ばれ、3月に正式に予算が認可されたことに端を発する。吉和村役場総務課で、今回の事業を担当した能島氏

吉和村役場総務課の能島美緒氏
吉和村役場総務課の能島美緒氏
によると「当初郵政省からは、公共窓口にPCなどのクライアントを設置してインターネットを普及させる、という事業のための予算として認可されました。そこで、村内をカバーするインフラ作りからまずは始めました」という。それから約半年後の今年11月には、吉和村内の基盤となるネットワークが完成した。インフラは、起伏の激しい土地柄とコストメリットを考慮して、関西電機の長距離無線LANシステムが採用された。

 なお取材した11月の時点では、外部のインターネット接続にはOCNエコノミーが利用されている。ただし回線の太さが64kbpsなので、対外的なコンテンツ提供は行なっていない。現時点では、あくまでインフラを整備したところでとどまっている。しかし将来的には「吉和村が無医村で、かつ高齢者が多いので、遠隔医療や健康支援のシステムとしてインターネットを利用する構想もあります。また、天然記念物にも指定されるような動植物の宝庫でもあるので、それらのデータを集めて、自然博物館のようなコンテンツとして情報公開していきたいとも考えてます」(能島氏)という。



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