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ガス冷マシンを作ろう! 第2回

ガス冷マシン完全自作編 ~その2~

2001年02月18日 21時58分更新

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■ガス枕の設計

銅製のガス枕コア部図面

 材料が集まったところでいよいよ今回の最難関、ガス枕製作に移る。「ガス枕製作」…、文字にすると簡単で短い言葉だが、自作どころか冷凍機のメンテナンスの経験すらない筆者はどんなものを作れば良いのか見当もつかない。「困った時には先人に学ぼう」という訳で、またまたガス冷フリーク(?)の諸先輩方のサイトをまわって情報を収集する。
 高性能なガス枕を製作している先輩方は、角材の銅管を束ねてロウ付けした構造の物が主流のようだ。しかしながらロウ付けの経験のほとんどない筆者にはこれは少し難しい気がするし、人のものまねでは面白くないのでオリジナル設計のガス枕を製作しようと知恵をしぼることにした。



規格品のOリング。Oリングの寸法に合わせてガス枕を設計する

 液化したガスが気化する時に気化熱を奪って冷えるのがガス枕の構造なので、ガス枕までの配管よりも流体抵抗の少ない経路をガス枕内部に作ればいい。細い配管が太い配管に切り替わる場所がガス枕というわけだ。ここで液体の流れや気体の膨張について色々と考えてみたが、結局のところ正確な計算は難しい。高圧ガスが気化する場所なので、目視で確認しながら調整というのは不可能だ。



アクリル製のガス枕ケース部図面

 「中が見えれば調整のしようもあるし、記事的にも面白いのに…」と考えているうち、またまた無謀なアイデアが浮かんでしまった。「そうだ、透明なガス枕でいこう!」という訳で透明なガス枕を設計することに……。配管をロウ付けするコアの部分が銅製で、容器がアクリル製。接合は技術的に不安なロウ付けを使用せずネジ止めで、シールにOリングを使用するハイブリッドガス枕でいこう!!



ハイブリッドガス枕組み図

 思いついたはいいが、本格的な機械加工が必要になる。お安く製作するために極力構成部品を単純化しなければならない。試作品を作る余裕は時間的にも予算的にもないので、設計作業は恐ろしく難航した。筆者の趣味的にも凝りたいポイントなので大変な時間を使ってしまったが、ようやく図面が完成した。アクリル製耐圧容器ということで強度的に不安が残るうえ、シール用のOリングにも不安があるので、超シンプル構造のバックアップ用ガス枕の図面も念のため作図しておく。



バックアップ用簡易ガス枕図面

……。すっ、すみません。今回はここまでです。ガス枕設計に長時間を費やしてしまい、製作まで間に合いませんでした(汗)。石は投げないで下さい。次回こそ透明ガス枕が完成します。冷え具合は未知数ですが、次回ガス枕駆動編にご期待下さい!!

【関連記事】

参考にさせて頂いたウェブサイト

ガス冷却を実践されている諸先輩方より貴重な情報をいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。

ガス冷却の第一人者apkさんのページ。キャピラリーチューブの長さについて、コンプレッサーについてなど、様々な情報をいただきました。 妥協を許さない工作技術の鬼のようなmasamotoさんのページ。規制フロンについてのご指摘、代替冷媒について他、貴重な情報をいただきました。

*注意

除湿機、冷蔵庫、クーラー等の冷凍機には高圧ガスが使用されており、分解すると、凍傷、失明、爆発などの危険があります。また、これらの機器を分解・改造した場合、一切の保証が受けられなくなります。さらに、CPUのメーカー規定周波数以上の動作は、CPUや関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。その結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。機器の分解・改造は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。

【筆者プロフィール】森本琢司氏。本来はペルチェなどを使ったオーバークロック系、冷却系に一番関心があるのだが、趣味でPC改造も数多く手がけている。ハンドニプラーやその他工具を使っての改造は得意中の得意

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