ハイエンドユーザー向けのモニタ製品を主にラインナップするナナオだが、ここで紹介する「GAWIN」は、コンシューマユーザーを狙ったマルチメディア液晶だ。とはいえ、高品質が最大の売りであるナナオのモニタだけあって、細部に至るまでの作り込みと豊富な機能群には目を見張るものがある。
D1~D4対応のD端子装備
PCモニタからHD放送までサポート
ナナオ「GAWIN M-10」は、15インチTFT液晶モニタとTVチューナや各種入力端子類が収められた「インターフェースボックス」からなるマルチメディア液晶モニタだ。これまでにも、このような製品はNEC三菱電機ビジュアルシステムズやソニー、松下電器産業、日立製作所が発売しているが、ヘビーユーザーに特に人気が高く、CRTモニタも液晶モニタもその品質には定評のあるナナオから、ついにマルチメディア液晶が登場するのだ。
表示解像度は最大1024×768ドット、表示色数はフルカラー。ディザリングによる26万色の擬似フルカラーではなく、1677万色フルカラー表示だ。最大輝度は400cd/m2で、液晶パネルとしてはトップクラスの明るさだ。これに加えて、400:1とこれまたトップクラスとなる高いコントラスト比も併せ持っており、黒と白のメリハリの効いた鮮明な画質となっている。これだけ高輝度・ハイコントラストな液晶パネルだと、DVD-Videoなどを見るときにはシャープで美しい映像を楽しめるが、テキスト入力やWebブラウジングなどで長時間PCの画面を見つめ続ける場合には、逆にギラついて目が疲れる、といったこともある。これを考慮して、本機では「Movie(400cd/m2)」「Picture(400cd/m2、Movieとはガンマ設定が異なる)」「Game(260cd/m2)」「Text(200cd/m2)」の4つの画質モードを用意している。視野角は水平・垂直方向ともに170度と非常に広く、これも液晶パネルとしては最高水準だ。
「インターフェースボックス」の背面。PC用アナログRGB入力、S-Video/コンポジット入力、D端子×2(D1~D4対応)と、各映像入力端子に対応した音声入力、およびTV/CATV受信アンテナ端子などがぎっしり並んでいる。 |
インターフェイスは液晶パネル部から独立したボックスで、本体サイズ/重量は73.4(W)×200(D)×205(H)mm/2kg。ここに内蔵された映像処理回路「デジタルカラーデコーダー」は、外部機器からのアナログ入力信号を、すぐにデジタル映像信号に変換し、Y/C分離やマトリックス変換などの画像処理を“デジタル信号”で実行するため信号劣化による画質の低下が少なくすむ、という工夫が施されている(一般的には、アナログ信号入力→Y/C分離→ノイズ除去処理→デジタル化、という方法が取られている)。
入力端子は、S-VIDEOまたはコンポジット映像入力×1(ステレオ音声入力×1)、D端子×2(ステレオ音声入力が各1)、PC用のアナログRGB入力×1(PC用の音声入力端子も別途装備)、地上波およびCATV受信用のアンテナ端子×1。D端子は、D1~D4上位互換となっており(表1参照)、DVDデッキはもちろん、デジタルBS、ハイビジョン放送までサポートする。ただし、液晶パネル自体が1024×768ドット表示なので、D1~D4のいずれも、本機での表示解像度は1024×768ドット(アスペクト比4:3)または1024×576ドット(同16:9)での表示となる。本機の実売価格(約14万円)も考慮すると、このクラスのモニタがここまで幅広いD端子のサポートを行っている、ということは驚きである。
D端子 | 対応放送 | 対応メディア | 総走査線数 | 有効走査線数 | 表示解像度 |
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D1 | 地上波放送 | DVD、VHS、LDなど | 525i | 480i | ・1024×768ドット(アスペクト比4:3) ・1024×576ドット(アスペクト比16:9) |
D2 | デジタル放送 | DVD、BS、CS | 525p | 480p | |
D3 | HD放送 | BS、CS | 1125i | 1080i | |
D4 | HD放送 | BS、CS | 750p | 720p |