2月11日からの5日間、米ニューヨークにてアメリカン・インターナショナル・トイフェアが開催されている。昨今はハイテクを利用したおもちゃも増えているが、今回のトイフェアでは“ハイテク機器そのもの”と呼べるようなおもちゃも展示されていた。このレポートでは、子ども向けのPDA製品を紹介する。
![]() | トイフェアはニューヨークのジャビッツ・コンベンションセンターで開催されている |
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ラップトップから着脱して使うPDA-VTech社
米VTech Industries社の『Vapor』(ヴェイパー)は、着脱式のPDAを備えたラップトップ型の知育玩具だ。本体はサブノートパソコンほどの大きさで、パソコンでいえば画面に相当する場所にPDAを装着するためのスロットが設けられている。PDAの画面は表示が縦と横の二通りに対応しており、本体装着時にはディスプレーとして機能するのが特徴だ。
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VTech Industries社の『Vapor』、PDAを本体に装着した状態 |
本体にはQWERTY配列のキーボード、プッシュ式のポインターデバイス、10個のショートカットキーが装備されている。キーの割り当てについてはモック段階ということもあり、詳細は明らかにされていない。また、キーボードの右側にはスタイラスペンを収納するスリットも用意されている。
着脱可能なPDA部分はスピーカーを内蔵しており、下部に並ぶ4つのボタンはそれぞれ電源、ボリューム、画面の縦横変更、オーガナイザー起動ボタンに割り当てられている。タッチパネル式の画面にはアイコンが10個並んでいるが、こちらもモック段階ということで、それぞれの機能については詳細が明らかにされなかった。
![]() | PDA部分の大きさは、パームよりひと回り小さい程度、展示品はモックのためプラスチック分の重さしかなかった |
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読者の中には、同社の社名に見覚えがある人も少なくないかもしれない。実は、パームライクなPDAの『Helio』で知られる米VTech Information社は、同社にとって兄弟会社にあたる。VaporとHELIOにはデザイン上の共通性は特に見られないが、技術的な交流がある可能性は高い。
Vaporは44種類のカリキュラムを内蔵しており、子どもが一人で算数や英語を学ぶことができるという。PDA部分にはトゥドゥリスト、住所録、スケジューラーの各機能が装備されている。なお、技術的なスペックは、現在のところ明らかにされていない。希望小売価格は79.99ドル(約9300円)で、2001年秋の発売予定。対象年齢は7歳以上となっている。
“ティーンエージャー向けのクールなPDA”―Kessel社
米Kessel社の『W.A.V.E. Link』(ウェイブ・リンク)は、デジタルカメラとワイヤレス機能を搭載したPDAデバイスだ。同社ではウェイブ・リンクをティーンエージャー向けと位置付けているが、実際にはビジネスシーンでの利用にも堪えうるスペックを備えた本格的PDAと言っても過言ではない。
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本体上部のカメラ部と、左上のアンテナが印象的なウェイブ・リンク |
CPUのクロック周波数は18MHzで、メーカーは様々だが主にシャープ製を採用しているという。内蔵メモリーは2MB。将来的には本体下部に装備されたRS-232ポートを利用して、外部メモリーデバイスを接続する予定もある。OSには独自開発のWaveSpeak 3.01を採用している。
モノラル16階調の画面はタッチスクリーン仕様で、解像度は160×160ドット。スタイラスペンも付属する。内蔵カメラはモノクロで、30秒ごとに自動撮影するオートカム機能を備えている。スピーカーとマイクロフォンも内蔵されており、録音したボイスメッセージやデジカメ画像を他のウェイブ・リンクに送信することも可能だ。
ワイヤレスには900MHz帯の電波を利用しており、到達距離は最大1000フィート(約300m)。通信機能はウェイブ・リンク同士でのみ利用できる。各々のウェイブ・リンクには個別のIDが埋め込まれており、相手を特定してメールや画像を送信することが可能だ。到達範囲内に相手がいなかったり、受け手側の電源が入っていない場合には、送信ができない旨のメッセージが表示されるようになっている。
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実際にウェイブ・リンクを使っているところ。本体の質感は高く、ビジネスシーンの利用でも違和感はないかもしれない |
本体に内蔵されている機能としては、スケジューラー、住所録、トゥドゥ・リスト、メモ帳、電子メール、オンラインチャットが挙げられる。これらのデータはマイクロソフトのOutlookと互換性を持っており、付属のクレイドルを介してPCに接続することで、データの共有化を図ることも可能だ。
本体カラーはエレクトリック・ブルー、レーザー・ライム、ピンクの3色を用意。電源は単4乾電池×3本。価格は99.99ドル(約1万1700円)で、発売は2001年夏の予定。パッケージには本体カバー、スタイラスペン、クレードル、接続ケーブル、ソフトウェアCD-ROMが含まれている。
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ウェイブ・リンクの脇にヒッソリと展示されていた『Pocket Diary』。32KBメモリーを内蔵し、スケジューラーと住所録、メモ帳を内蔵する。手帳代わりにはこれで十分かも。価格は未定 |
MP3ユニットも用意! Cybikoの新バージョンが登場
米Cybiko社が発売する“ワイヤレス・ハンドヘルド・コンピューター”の『Cybiko』(サイビコ)が、新しいOSを得てバージョンアップを果たした。昨年のトイフェアで発表されたCybikoは、900MHz帯の電波を利用してのメール送受信ができるハンドヘルドデバイスだ。
今回、OSがCyOS 1.5へとバージョンアップされたことにより、ピア・ツー・ピアによるリアルタイムのチャット機能、最大3000人を同時にネットワーク化できる“swarm”機能が追加された。また、あらかじめ登録してある友人が通信範囲に入ってきた際に、本体がバイブレーションして知らせてくれる機能も備えている。通信可能距離は150~300フィート(約45~90m)となっている。
![]() | サイビコ。本体下部に並んでいるボタン群はQWERTY配列のキーボード。底面には新発売のMP3ユニットを装着することができる |
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本体にはあらかじめ2種類のマルチプレーヤーゲームが内蔵されており、通信機能を利用して対戦することが可能だ。同社のウェブサイトからは数10種類のゲームを無料ダウンロードすることができ、PCを通じて本体にインストールすることができる。
その他の機能としては、パーソナルオーガナイザー、住所録、アラーム時計、メモ帳、辞書、英西翻訳、画像ビューワー、作曲ツールなどが用意されている。サイビコ本体にはRS-232ポートが装備されており、PCに接続することでデータをバックアップすることも可能だ。
![]() | Cybikoのデスクトップ画面 |
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今回のトイフェアでは、サイビコのアクセサリーとして“CyCARD”“CyWIG”がラインナップに加わることが発表された。
CyCARDは本体底部に接続して使用するもので、1MBのスマートメモリーを内蔵したメモリー拡張キット(19.99ドル=約2300円)と、MP3ユニット(予価70ドル=約8100円)の2種類が用意される。またCyWIGはUSBポートを備えたワイヤレスユニットで、CyWIGを接続したPCをインターネットに接続させることで、サイビコを直接インターネットにアクセスできるようにするもの。こちらの価格は未定だ。
電源にはニッケル水素タイプの充電式電池×2本を使用する。価格は99.95ドル(約1万1600円)で、接続ケーブルと充電器が付属する。本体カラーはバックストリート・ブラック、サイバーシー・ブルー、エレクトリックショック・イエロー、マジック・クリアー、プラズマ・パープルの全5色が用意されている。
(取材/UpsideJapan編集部・鹿毛正之)
