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PPPoE(PPP over Ethernet)

規格の玉手箱

2001年02月15日 19時25分更新

文● レッドバックネットワークス 中野 功一

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NETWORK MAGAZINE



最近見かけるこの言葉

 最近「PPPoE対応」というネットワーク機器を見かけることがある。「PPP over Ethernet」あるいは略して「PPPoE(ピーピーピーオーイー)」は、今後のDSLの利用で主流になると目される新しい技術である。もともとはDSLサービスの利用者(加入者)とサービスを提供する通信事業者の便宜を向上させるために、米国の大手通信事業者UUnetや機器ベンダーのレッドバックネットワークスにより考えられた技術であり、RFC2516として標準化されている

 では、このPPPoEとは何者なのか。これはEthernetなどのネットワーク上でダイヤルアップ接続(PPP接続)のような利用者のユーザー名、パスワードのチェックを行なうために作り出された規格である。図はPPPoEの構成要素を表わしている。DSLサービス利用者のPCがPPPoEクライアントに、加入者管理システム(ブロードバンドアクセスサーバとも言う)がPPPoEのサーバとして機能する。この加入者管理システムでは数千人から数万人の加入者のユーザー名とパスワードをチェックすると同時に、利用者に対して指定されたISPに接続したり、帯域を調整したりするのである。

PPPoEでできること

 このようにPPPoEを使うことで、通信事業者側はユーザーを特定することができ、利用者ごとにバンド幅の提供の差別化や利用者ごとのセキュリティチェックが可能になる。

 また、PPPoEではISPを選択するサービスも用意されている。これによって、利用者は入力するユーザー名とパスワードを変更することにより接続先のプロバイダを変更することができるわけだ。ほとんどの場合、PPPoEのソフトウェアはDSL事業者によって利用者に配布されている。画面は日本を含めもっとも広く利用されている米NTSのPCクライアント用PPPoEソフトウェアである。また、マイクロソフトもWindowsでのPPPoEサポートを発表している。2001年中にはWindows上で標準に提供されるようになる予定である。最近では、PC用ソフトウェアではなく、PPPoEをサポートしたローカルルータも登場し始めている。

 また、このPPPoEを理解するためには、DSLを提供する事業者側からみた利点を理解する必要もある。実はPPPoEを利用するとDSLモデムのインストールが非常に楽なのである。PPPoEを使わない場合、個々のDSLモデムに利用者ごとの個別設定が必要なため、事業者にとって負担が大きくなってしまう。それに対して、PPPoEを利用する場合、すべての利用者に同じ設定をするだけで済むのである。

 PPPoEはNTTのフレッツ・ADSLでも採用されるなど、これからのブロードバンド時代を支えていく重要な規格といえるだろう。

画面 PPPoEクライアントソフトウェア
画面 PPPoEクライアントソフトウェア(テリロジ―提供)
図 PPPoEの仕組み
図 PPPoEの仕組み。なお、ユーザー認証の作業自体は、加入者管理装置が別途Radiusサーバーに問い合わせを行ない、Radiusデータベース内のユーザー名・パスワードと照合が行なわれることになる。

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