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CASSIOPEIA FIVA MPC-206

CASSIOPEIA FIVA MPC-206

2001年02月14日 11時53分更新

文● 佐久間

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新ポインティングデバイスは好みが分かれるところ

Crusoe搭載「CASSIOPEIA FIVA MPC-206」のキーボードと、スティック状のポインティングデバイス。円弧上に左右ボタンとモノラルスピーカが配置されている。液晶脇の3つのボタンは、初期状態で「Outlook Express」「Internet Explorer」「メモ帳」の起動に割り当てられた「ワンタッチ機能キー」。

 では、実機の詳しい使い勝手を報告しよう。
 キーボードは、従来のFIVAとほぼ同じ配列だが、以前は微妙に小さくなっていた「Q」を大きく、逆に幅が少しだけ広かった「1」を狭くして、アルファベット26文字+1~0までのキートップをすべて等幅(ピッチ16mm)にしている。そのため、Enterキーが若干小さくなったが、よく使うキーが等サイズになった効果が大きいので、むしろ以前よりもストレスなく快適に打てるだろう。



トラックポイントのプロパティ画面。機能切り換えだけなら、タスクトレイのアイコンを左クリックでも可能。

 一方ポインティングデバイスは、液晶の大型化に伴い画面右脇のタッチパッド(左右ボタンは蓋の外側)から、カシオ独自開発のスティックタイプ(GHBキーの中間に配置)に変更されている。スティック型デバイスは、日本IBMと東芝がそれぞれ独自に開発し、自社製品や一部OEM先で採用されている程度。現在のノートPCのポインティングデバイスとしてはトラックパッドのほうが主流だが、ホームポジションからほぼ手を動かさずに使えるというメリットがある。ただ、FIVAのスティックは斜め方向への入力が敏感過ぎる(まっすぐ斜め45度に進まず上下にぶれる)印象で、期待する場所へ思いどおりにカーソルを動かすには多少の訓練が必要だ。ボタンは左右と中央の3つが用意され、中央のボタンには“押しながら上下左右にスティックを倒すとその方向へスクロールする”機能と、“画面の一部を2倍表示する拡大ウィンドウを移動する”機能のいずれかを割り当てられる。後者の拡大ウィンドウは単に表示するだけでなく、その中のアイコンを(ダブル)クリックしてアプリの起動なども可能。また、ほかのウィンドウの影に隠れた場合も、中央ボタンを押すと一番上に自動的に呼び出される。



Mobile CockpitもCrusoeに合わせてバージョンアップ!

拡大ウィンドウは、ウィンドウ自体をセンターボタンで移動(ドラッグ)することで、表示する場所を変更するタイプ。ウィンドウの位置は動かさずに、拡大表示場所だけカーソルで移動できるモードも用意してほしかった。

 前項でプリインストールソフトは多くない、と書いたが、これはOfficeなど比較的HDDスペースを占有するアプリがないという意味だ。実際、インターネット経由で画像や各種データをHDDに取り込む「Internet Ninja 5.0」(アイフォー)や、取り込んだ画像データを加工する「Photo Express 3.0 SE」、IEEE1394端子経由でDVカムコーダから動画を取り込んで簡易編集を行う「VideoStudio 4.0 SE Basic」(いずれもUlead製)をプリインストールしている。また、カシオオリジナルのFIVA用ユーティリティソフト「Mobile Cockpit」もCrusoe向けに機能拡張され、「同 II」にバージョンアップしている。一番の特徴は、CPUの動作クロックをリアルタイムに表示、パフォーマンス(動作クロックの上限下限の設定)を変更できる「ロングラン」設定だ。
 Crusoeではアプリの起動時など、CPUに負荷がかかると自動的にクロックを最大(600MHz)まで上げ、操作の合間などにはクロックを下げて消費電力を抑える仕組みがある。これをグラフで明示するのが、ロングランメニューだ。初期状態では最大600MHz、最低300MHzとなっているが、負荷がかかると急速に(体感では0.5秒未満で)クロックが最高値まで上がって処理を終えるため、このままでも実用上ストレスを感じる場面はあまりない。
 また、従来のFIVAではひざの上で長時間使うのが耐えられないほどに(机に載せて使うべき、と思われた)、1時間以上連続して使っていると本体底面が熱くなったのだが、新FIVAではほんのり温かみを感じる程度になった。試作機での印象であり、量産機では変わるかもしれないが、この変更点は机などがない場所でもバリバリ使いたいというモバイル指向のユーザーに朗報だろう。

 最後に新FIVAのラインナップをまとめておく。Crusoe TM5600-600MHz、メモリ128MB(実質112MB)、20GB HDDを搭載した本モデル「CASSIOPEIA FIVA MPC-206」が最上位機種。価格はオープンプライスで、予想実売価格は18万円前後。
 普及モデルの「CASSIOPEIA FIVA MPC-205」は、CPUがCrusoe TM5600-500MHz、メモリ96MB(80MB)、10GB HDDを搭載し、ほかのスペックは206と同一。予想実売価格は16万円前後。
 205の本体にPCカード接続の外付けCD-ROMドライブ「MPC-142CDD」(16倍速、実売2万円台半ば)を同梱した「CASSIOPEIA FIVA MPC-205SET」も用意される。こちらは実売18万円弱。また、オプションとしてUSB接続のDVD-ROMドライブ「MPC-245DVD」(実売4万円台前半)、64MBメモリ(実売2万円弱)、128MBメモリ(実売3万円台前半)などが用意される。
 外出先でPCを使う機会が多い方で、長時間使用を考えてCrusoe搭載ノートを探している向きには、ぜひ候補のひとつに入れたいモデルだ。
 なお、評価したサンプル機には含まれなかったが、製品版ではHDDの一部(別パーティション)に機能限定のLinuxおよびMP3プレーヤ、FTPソフトなどがプリインストールされている。これは、本体右側面奥のAB切り替えスイッチによって、起動するOSを変更できるというもの。カシオに確認したところ、Windows Meを起動するまでもなく気軽に手早い操作を実現するため、いくつかのアプローチを検討し、最終的にLinuxを入れることに決めたとのこと。


CPU Crusoe TM5600-600MHz
メモリ 128MB
液晶 8.4インチTFT
解像度 800×600ドット/フルカラー
HDD 20GB
CD-ROM オプション
通信 モデム&LAN
サイズ 223(W)×197(D)×21(H)mm
重量 約0.99kg
OS Windows Millennium Edition
オフィスアプリ

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