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信長の野望 嵐世記

信長の野望 嵐世記

2001年02月10日 04時00分更新

文● 中村聖司

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合戦はついにリアルタイムに
だが、かなり消化不良な印象

ぐはー、今川家、千葉家、そして武田家の3カ国から攻められてしまった。こうなると各城への武将配分が難しい。彼らは別に同盟しているわけではないので、3カ国のうち、1、2カ国は引き上げていく。冷静に対処しよう。国人衆頼むぞ。

 次は合戦を見ていこう。合戦システムは、第9作目にしてついにリアルタイム制が採用された。国の形をした数十画面分のどでかいマップを舞台に、敵味方、諸勢力が入り乱れて死闘を繰り広げる。ターン制とは違って敵のターンそのものがないため、プレイヤーは合戦が始まってから終わるまで、絶えず味方ユニットに指示を与え続けていくことになる。これはマイクロソフトの「Age of Empires」シリーズやエレクトロニック・アーツ・スクウェアの「コマンド&コンカー」シリーズといった、リアルタイムSLGに慣れ親しんでいるユーザーにとっては余裕しゃくしゃくで操作できるだろうが、純粋な信長ファン、あるいはターン制SLGファンにとっては、この忙しい合戦システムは劇的な新鮮さに満ちていると感じられるはずだ。



国人衆がどちらにつくかによって、戦況が大きく変わってくる。彼らは兵力、武力とも小大名に匹敵するほどの強さがある。自国および隣接国の国人衆は、すべて「親密」にしておきたいところだ。

 今回の合戦の魅力としては、武将ユニットが独立して存在したり(武田信玄など一部の武将ユニットは、さらに独特なグラフィックスが用意されている)、城や館、松林や砂浜、木の橋といった日本的なオブジェクト群が、具体的な形としてマップに描かれている。この辺のつくりはいかにもコーエーらしいユーザー本位の丁寧さが感じられて、好感が持てる。ただし、肝心のゲーム性はいまひとつで、海外産のリアルタイムSLGとはプレイ感がまるで異なるものに仕上がっている。特に気になるのは、ユニットの動きの悪さで、岩や城、門といったところで部隊が不自然に引っかかったり、命令どおりに動いてくれなかったり、行軍中にいきなりカクカクした動きを見せるなど、部隊をリアルタイムで動かしている快感は、残念ながら味わえない。

橋の上での大乱戦。橋の上に15部隊、30ユニット近くの大軍が互いに攻撃し合っている。こうなるともうプレイヤーは、基本命令を「遊撃(見つけ次第攻撃)」にして、見ているしかない。
部隊を合流させると、とたんに各部隊の士気がわからなくなるので、武将情報ボタンを押してこまめに確認しよう。この際は自動的にポーズがかかるので安心。

 部隊は、武将ひとりにつき、武将ユニットを含めて、最大5ユニットまで編成できるのだが、いざ合戦が始まると、各ユニットがバラバラに動きまわり、さらに武将ユニットに重なったりするので、誰がどこにいて、隣りにいる歩兵型ユニットは敵なのか味方なのかすらわからなくなる。嵐世記のスキルシステムは、複数の部隊を「合流」させて、各武将のスキルを持ち合わせるような形で、強力な1軍を編成するというもの。つまり、常に集団で固まって行軍するのだが、上記のような弱点があるため、大部隊との激戦になると信長(大将の部隊)を後ろに下げねばと思うものの、大量のユニットが交錯して入り乱れ、誰がどこにいるのかまるでわからない状態になってしまう。



名城紹介。これは小田原城。非常に硬いので、「攻城」スキルを持っている武将がほしいところだ。
全部隊の士気を回復させる「気合い」を使ったところ。この辺の演出は実にうまい。

 ユニット個々の動きに関しても不満が残る。たとえば攻城戦の際、門の内側から弓や鉄砲を撃つ戦術は嵐世記でも有効だが、弓隊や鉄砲隊を率いる武将ユニット自身までが攻撃しようとして、勝手に開門し、結果敵部隊が城へなだれ込むという、現実世界ではまず考えられないトラブルもしばしばあった。また、一般兵ユニット(槍兵、弓兵、騎兵、鉄砲兵)は、しばらく行軍しないと、武将ユニットの前に付いてくれないため、不意の遭遇戦では、まっさきに武将ユニットが討ち取られるという事態が発生し、率いる兵がまったく活かされていない理不尽さが募った。この理不尽な仕様はこちらが攻撃の際にも発揮され、仮に敵が万を数える大軍でも、1000を率いる大名直率部隊の先頭にいる大将ユニット(兵力200)さえ倒せば勝ちという荒っぽい印象になっている。特に武将が率いる一般兵ユニットに関する操作体系は、もう少し丁寧にできなかったものかと思う。合戦に関しては、大変残念だが、パワーアップキットに期待したいとしか書きようがない。

「人は石垣、人は城」とは武田信玄の言だが、彼の拠点躑躅ガ崎館(つつじがさきやかた)を攻撃しているのは、当の武田信玄だったりする。

 戦闘に関しては苦言ばかりを述べたが、信長シリーズが好きだからこそである。内政フェイズはまちがいなくシリーズ最高の出来に仕上がっているものの、合戦に関しては、どうひいき目に見ても不備が目立ちすぎる。大部隊を率いる喜び、騎兵に突撃させる楽しさ、敵の裏をかく戦術的なおもしろさ、といったものが今回の信長にはまるで感じられない。純粋な信長ファンには、内政面での充実したプレイが堪能できるため、問題なくオススメできるが、海外産のリアルタイムSLGの洗礼をたっぷり浴びたネット系のプレイヤーには残念だがまるでオススメできない。今回搭載されなかったマップ作成機能や敵AIの作成機能、そしてマルチプレイといった諸機能も含め、願わくばパワーアップキットで、無理であれば10作目での目を見張る強化を期待することにしたい。

絶望的な大軍を前に、白馬に派手な陣羽織という目立ちすぎ(笑)の格好で、ひとり気を吐く武田信玄。彼は武将ユニットが倒れても、一般兵ユニットが身代わりになる「影」スキルを持っているが、これは非常に有効。おそらく、今回の最優秀スキルだ。
武田信虎の不意の突進に耐えきれず、真っ先に戦死した親父。「えー、ほかの部隊は何してたの?」。画面は、まだ10歳ながら家督を継ぐ信長の図。以来、大名を戦場に出すのは止めました。
北条氏綱といった伝説的武将を捉えると、嬉しさもひとしお。しかしそれにしても今回は、大名が非常に捕まえやすい。これは要修正だと思います。
開発元 (株)コーエー
発売元 開発元に同じ
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