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NTT-Com、SDメモリーカード対応の音楽配信サービスを開始

2001年02月01日 22時02分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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NTTコミュニケーションズ(株)(以下、NTT-Com)は1日、松下電器産業(株)(以下、松下)および米Preview Systems社と技術提携し、NTT-Comのデジタルコンテンツ配信プラットフォーム“Arcstar MUSIC”で、SDメモリーカード対応の音楽配信を3月1日に開始すると発表した。

今回のサービスに対応したPC用プレーヤーソフト『SD-Jukebox』がバンドルされる松下のデジタルプレーヤー

配信方式にEMDLBを採用

Arcstar MUSICは、インターネット上で音楽や映像などのコンテンツ配信を行なう際に必要な“コンテンツオーサリング”“配信システム”“著作権保護システム”“課金/決済システム”“カスタマーサポート”などの機能を提供するバックヤードサービス。2000年12月1日にWMT(Windows Media Player)およびReal System形式を採用したサービスを開始、現在各種メーカー22社(レコード会社12社、レコード販売会社6社、放送局4社)が利用している。

今回発表された新配信サービスはEMDLB方式。EMDLBは、松下と米国のUniversal Music Group、Bertelsman Music Group、AT&T社が共同開発した音楽配信方式。コーデックはAACで、コンテンツフォーマットはCARAF。

DRM(Digital Rights Management:著作権保護技術)には米インテル社が開発したIntel ISIS(現在はインテル関連会社の米Convera社に移管)を採用している。Intel ISISは、ユーザーひとりずつに独自の暗号アルゴリズムを持つセキュリティーシステムで、3月1日のサービス開始時は10万人分の暗号アルゴリズムを準備するという。

配信システムは、Previes社の配信システム『ZipLock DDMシステム』と、NTT-Comと松下が共同開発したコンテンツ暗号化システムを組み合わせて構築している。楽曲ファイルの有料/無料ダウンロード機能を提供可能なほか、レコード会社独自のポイントシステムやデジタルクーポン(割引サービス)などにも対応できる。決済方式は3月1日時点ではクレジットカードのみとなっている。

ユーザーは、レコード会社などが運営する音楽配信サイトから、好みの楽曲を購入または試聴するためダウンロードするが、この際のバックグラウンドシステムがArcstar MUSICとなる。ユーザーは楽曲をダウンロードし、PC上で再生して楽しめるほか、SDメモリーカードに楽曲データを書き込み、さまざまなSDメモリーカード対応デバイスでも利用できる。

コンテンツダウンロードを中断し、途中から再開可能

EMDLBは、コンテンツのダウンロードを中断し、その後途中から再開することが可能。現在、J-POPの楽曲1曲分(約3~4分)を56kbpsモデムのダイヤルアップ接続でダウンロードすると15~20分近くかかってしまうため、Arcstar MUSICのシステムを採用した配信サービス利用者の8割が途中でダウンロードを止めてしまっているという。EMDLBはダウンロード中断後、再度ダウンロードする際に中断したところから再開できるので、例えば家でダウンロードを途中まで行なった後、会社で続きを行なうということも可能。

また、ECサイトでよくみかける“バスケット機能”を搭載しており、複数の楽曲コンテンツを選択し、一括購入可能。楽曲以外に、CDパッケージやアーティストのグッズなど、さまざまなコンテンツもまとめ買いできるという。さらに、1つのコンテンツを同時に複数のレコード店サイトで販売することも可能となっている。

EMDLB方式では楽曲データと同時にジャケット写真や歌詞などの関連データも配信できるため、PC用プレーヤーソフトで再生する際、これらの関連データをソフト上に表示できる。PC用のプレーヤーソフトは松下の『SD-Jukebox Ver.2.1』または『ED-Jukebox』、対応デバイスはSDメモリーカード対応のポータブルデバイスとなっている。

SD-Jukeboxは、ダウンロードしたコンテンツをPCで再生したり、SDメモリーカードへ書き込んだりするためのソフト。音楽CDの内容をSDに書き込むことも可能。さらに、SDに書き込んだデータをPC上に戻すチェックイン機能も備えている。松下が発売しているデジタルプレーヤーにバンドルして提供される。現在SD-Jukeboxを利用しているユーザー向けには、アップグレードを同社ウェブサイト上で提供するという。

ED-Jukeboxは、SD-Jukeboxの機能限定版で、PC上でのコンテンツ再生およびコンテンツ管理のみが可能。SDメモリーカードへの書き込みはできない。同社ウェブサイトで無償ダウンロードが可能。ED-Jukeboxユーザーが、松下のデジタルプレーヤーを購入し、付属のSD-JukeboxをPCにインストールすると、ED-JukeboxがSD-Jukeboxに上書きされる仕組みとなっている。ED-Jukeboxで管理していたコンテンツはそのまま上書きされたSD-Jukeboxで利用できる。SD-Jukebox、ED-Jukeboxとも対応OSはWindows 98/Me。

NTT-Comの経営企画部担当部長の松田栄一氏。「EMDLBはコーデックやDRMがいい。CARAFは映像など音楽以外のマルチメディアを意識したフォーマットなので将来的に音楽以外のコンテンツを扱う際に拡張性がある」
松下のデジタルAVネットワーク事業部商品技術部長である香島光太郎氏。「SDメモリーカードの容量は現在64MBだが、今年中には256MB容量のものを発売する。容量拡大にあわせ、映像などさまざまなコンテンツに応用させていき、SDメモリーカードを媒体とした新しいネットワーク環境を提供する」

NTT-Comと松下は、SDメモリーカードユーザーへの配信プロモーションなどを共同で行なうとしている。3月1日時点ではレコード会社数社がEMDLBを採用した新サービスをスタートさせるという。

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