このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ThinkPad i Series 1124(2609-93J)

ThinkPad i Series 1124(2609-93J)

2001年02月02日 15時30分更新

文● 鈴木雅暢

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

クラス最高のキーボードは健在
ただし設計の古さを感じる面も

素晴らしい打鍵感を提供してくれるキーボード。ピッチは18mmでストロークは2.5mm。
 さて、CPU以外の面をみていこう。ThinkPad i 1124は、ビジネス向けのThinkPad 240をベースにしたコンシューマ向けのB5ジャストサイズノート。B5ファイルサイズノート全盛の現在ではかなり小さく見える。このサイズとは思えない打ち易さのキーボードの素晴らしさは万人が認めるところで、CFRP素材でカッチリ組まれたボディとともに、ノートPCとしての素性は極上だ。先代モデル2609-73Jでは待望の1024×768ドット表示対応、従来までの「玄人受けするマシン」から脱却し、コンシューマ向けのモバイルマシンとしても魅力的なモデルとなった。



メインメモリを増設するにはキーボードを外す必要がある。キーボードは背面のネジを3本外すことで外れるようになる。
 本機93Jは、基本的には先代73Jの仕様をそのまま受け継いだマイナーチェンジモデル。64MB(最大192MB)のメインメモリ、20GB HDD、ビデオチップのLynxEM4+など、CPU以外の本体スペックはそのまま。変更点としては、前述のように、標準装備されるリチウムイオンバッテリが、3セルの1550mAhのものから、6セル3100mAhの大容量タイプになったこと。このため、バッテリ込みの本体重量は、先代の1.32kgから1.46kgへと増量している。これを装着した状態では本体下にバッテリが張り出す形になる。張り出した部分がチルトスタンドの役割を果たし、ちょうどいい傾斜を作るようになっているため使用上は問題ないが、スタイルや手に持った時のバランスはあまりいいとは言えず、実際は1.46kgという数字よりはやや重く感じる。できれば従来のバッテリを標準で搭載するモデルも用意してほしかった。



6セルの大容量バッテリ(3.1Ah)を標準装備(右)。左は73Jに標準装備の3セルバッテリ(1.55Ah)。
 さて、注目のバッテリパフォーマンスだが、今回は借用できたのが製品版前の試作機であったため、残念ながら正確なバッテリベンチマークは見送った。ただ、試作機を実際に使用してみた印象では、デフォルトのパワーマネジメントの状態でワープロ/表計算を中心に利用した場合には、ほぼカタログどおり5時間程度。また、液晶の輝度を最大に、パワーマネジメントもすべて無効にした状態でほぼ休みなく使用し時々内蔵モデムを使って通信を行うという過酷な状況でも、3時間を超えて使用することができた。カタログの5時間という数字はダテではないようだ。ちょっとした外出ならまったくバッテリ持続時間に気を使うことなく利用できそうだ。

 ただし、1124のベースとなっているThinkPad 240の初代モデルのリリースからは2年近く経つため、やや設計の古さを感じるのは否めないところ。ポインティングデバイスにスクロール機能がないことやUSBポートが1つしかないといった点に物足りなさを感じるし、本体にスッキリ収まる標準バッテリの容量が非常に小さいことも問題点だ。結局、低消費電力を強調できるインパクトのあるバッテリ持続時間を提示するために本体から張り出す大容量バッテリ(本機では標準装備の3.1Ahのバッテリ)に頼っているのだが、本来持っている「小さく」「軽い」という魅力は(特に体感的に)半減してしまっている。

 本気でバッテリ持続時間へのフォーカスをコンセプトとして掲げるならば、ある程度大きなバッテリを本体に重量バランス良く収められるよう考慮して設計した筐体くらいは用意してほしかったところなのだが、そもそもIntelが超低電圧版CPUの開発を表明したのが2000年10月の「Micro Processor Forum」でのこと。それから3カ月あまりという短期間で筐体を再設計できるわけもない。このスケジュールで大容量バッテリを標準装備、しかも7.5時間駆動を謳うための超大容量バッテリまでオプションで用意してのリリースは、「Transmeta対抗のCPUを一刻も早く世に出し、かつ効果的にPRしたい」というIntel側の事情が大きく影響しているのだろう。結局はIntel、そしてIBMの省電力技術を誇るコンセプトモデルだという見方が妥当かもしれない。

 それでも、現在のところ超低電圧版のCPUを搭載するのはこの製品しかないわけであるし、実際5時間という駆動時間自体は魅力的だ。質実剛健なボディやキーボードなどノートPCとしての基礎能力が素晴らしいことにも変わりないので、バッテリ持続時間を重要視する人にとっての有力な選択肢であることは間違いない。



背面。ポートは右からシリアル、パラレル、CRT、ACアダプタ。大容量タイプ(3.1Ah)のバッテリはこのように張り出すことになる。
左側面。バッテリの張り出し部分がチルトスタンドのようになっている。モデムポートの隣にフタ付きのEthernetポート(RJ45)があるが、これは利用できない。
右側面。ポートは右から、PS/2IrDA1.1、USB。CPU冷却用ファンを備えるが、回転制御機能がありほとんど回らない。
CPU 超低電圧版Mobile PentiumIII-500MHz
メモリ 64MB
液晶 10.4インチTFT
解像度 1024×768ドット/フルカラー
HDD 20GB
通信 モデム
サイズ 260(W)×202(D)×26.6~43.5(H)mm
重量 1.46kg
OS Windows Millennium Edition
    関連記事

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン